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育児はもっと自由でいい
■激動の世代の子育て
育児はもっと自由でいいと思うのです。
もちろんそれは教育を放棄するとか、親の勝手で子どもを振り回すということではありません。
例え兄弟・姉妹であってもそっくりな双子であっても、個人である以上そこには個性というものが存在し、個性がある以上、その子のための教育のアイデアは日々の生活の中に転がっています。そういえば我が家での育児のルールはふとしたことがきっかけだった、なんてことはないでしょうか?
もしそれが専門家から見て奇抜な育児であったとしても、きちんと教育の目的さえ定めていれば、それは子どもにとっても親にとっても効果的で楽しい教育になると私は信じています。
ここで少し私たち夫婦のことをお話ししようと思います。
私たちは1980年代に生まれ、幼少の頃からゲーム機に囲まれて育ちました。
世間ではBSEを発端とした食への危機感、リーマンショックによる不況、東日本大震災という未曾有の災害、スマホ・タブレットの普及に伴うSNSの発達、そして新型コロナウイルスのパンデミック……と、価値観が次々と変わる中で子どもを産み育てています。
私たちを含め、今、子育てをしているおとうさん・おかあさん達には、お互い大変だったねと褒め称え合いたいくらいの激動の時代を歩みながらの育児なわけです。
まだまだ終わりは見えないけれども、出来ることならば子どもが巣立っていくその日に感謝されるような後悔のない育児でありたいと願っています。
もちろんそれは私だけではなく多くの親が願っていることでもあります。
しかし、こんな予測不能な未来の中で果たして我が子が社会に羽ばたいていけるのか?と、漠然とした不安も同時に抱えているのではないでしょうか?
私は不安です。けれどそれは当たり前のことです。
なぜなら、育児を完了してから再び子どもを産み育てる人なんて希有ですし、もし仮にそんな方がいたとしても月日が経てば社会が変貌しています。
私を含めて、子どもを育てている親の誰しもが育児初心者であり、子どもに対して試行錯誤となってしまうのは当たり前なことで自然なことであると腹を括っているのです。
最近はSNSの発達により、様々な教育法、そのレビュー、育児の成功例、または失敗談、多くの情報が氾濫しています。
それらの情報が悪いものだとは言いません。知ることは何事においても強い武器となります。
しかし、自分にとって役に立った本が他人にとっても役に立つ本とは限らないように、知り得た情報の全てが自分たちの育児に活きるわけではありません。
不思議なものです。
もちろんこの本書も数多の情報の中のひとつですので切り捨ててもらっても構いません。
けれど、そっと閉じる前に『子育てはダブルスタンダードで良い』ということはせめて感じて閉じてもらいたい。
どういうことかというと、「あちらの方法では良い結果が出そうだ、だけど相反するこちらの方法も良い結果が出そうだ」その場合、どちらを選択しても良いのです。何十年とわたり確立された教育法はあれど、それが我が子において優れた教育法であるかどうかは未来を覗いてこない限り分からないのですから、どちらを試してもいいのです。
子どもは常に成長しています。そして子どもを取り巻く世界も急速に変化しています。教育法も、発達心理学も、精神医学も、日々進歩している以上、育児は常に試行錯誤の中にしかありません。
しかし、答えはいつでも「目の前にいる子どもの笑顔」という形ですぐそこに見つけることができます。
我が子を無視しなければ、例え矛盾があろうともどんな育児であっても良いと思うのです。
■マインクラフトで育児
私たちの息子であるつっつ君は、マインクラフトというゲームをプレイし、それをYouTubeで配信する「つっつクラフト」という活動を通して教育的成果を上げてきました。
マインクラフトとは、2019年にテトリスを抜いて「世界で最も売れたゲーム」です。
世界が全てブロックで成り立っていて、建築したり農業をしたり敵を倒しながら冒険するサンドボックスゲームで、一言で言えば、仮想世界でブロック遊びを楽しむゲームです。
そんなマインクラフトをつっつ君は2歳の頃からプレイしています。
これには教育的理由が存在します。
まず単純にマインクラフトには物理的制約がない点です。
子どもの作りたい欲求を叶えてあげるとき、大量のブロックが必要となる場合があります。
しかし経済的にも収納的にも限りというものが存在します。
限りあるものの中で工夫させてみるという見方もありますが、まずは制限のない自由な遊びがあってこそのものだと思います。
そして片付ける必要がないというのも重要です。
片付けをしない子どもにイライラすることはありませんし、床に落ちたブロックを踏んで痛い思いをすることもありません。
データ上に保存できるということは、忙しいおとうさん・おかあさんたちの空いている時間に子どもの作った作品を褒めてあげることができるという利点もあります。
先進的な保育園・幼稚園では子どもの作ったブロック作品を壊さずに飾るということもあるように、残すことは達成感や満足感を得られます。
もちろん片付けるという行為も大切な教育ではありますが、作った作品を残すということも等しく大切な教育なのです。
■YouTubeで育児
つっつ君は、4歳の誕生日を期にYouTubeでマインクラフトのプレイ動画を配信することになったのですが、YouTubeで配信となると「ユーチューバー」という言葉がまず思い浮かびます。
しかし、私たちはユーチューバーという言葉に捉われず、つっつ君がユーチューバーのようにゲーム実況の真似事をしているのを見て、「ならば実際にやらせてみよう」という軽い気持ちで配信を行いました。
もちろんこれにも教育的理由が存在します。
幼児期には「敏感期」という五感や言語など特定の物事に対して強い興味を持つ時期が必ず訪れます。
ユーチューバーが実況プレイをしているのを見て、自分も同じように架空の視聴者に向けて実況プレイの真似事をしていた当時4歳のつっつ君はまさに「発語の敏感期」だったのです。
であるならば親が積極的に介入し、発語の手伝いをすべきだと思ったのです。
実況を始めた当初は自分のやっている事を説明することから始まりました。
最初は「パクパクパクパク、キノコ食べた」など、やっている事を説明することから始まりました。
次に「看板(に書いてある文字)は"扉は気をつけて"なの」と作ったものを説明するようになりました。
そして最終的に「みんなで赤い畑に乗ってご視聴ありがとうございましたって言うの」と見る人を意識した説明ができるようになりました。
このような3つのステップを踏んで、わずか5ヶ月の間につっつ君の言葉はめきめきと上達していきました。
またYouTubeで発信したことで思いがけない効果も得られました。
つっつクラフトの視聴者の中には、コメントをくれる人たちが沢山いました。コメントをもらったつっつ君はとても喜んで、さらにおしゃべりに対して意欲的になっていったのです。
発信する→評価される→モチベーションが上がる→そしてまた発信するという、
親の評価だけではなく第三者からの評価も得ることで、学習のサイクルを作り、自信を付けることが出来ました。
さらに、幅広い世代の人たちと交流することで学校や幼稚園では得られない貴重な経験も得られました。
『ゲームで教育を行なった』と言うと、信じられなかったり、またはそのゲームが何か特別なものなのではないかと疑うかもしれませんが、育児に対するひとつのアイデアとして「ゲームを楽しみ配信すること」がつっつ君にとっては非常に効果的な教育法だったのです。