俳の森-俳論風エッセイ第53週
三百六十五、一輪挿しの美美術館で一枚の風景画の前に立つと、そこは自ずから画家の立ち位置ということになるでしょう。画家は実際の景色の中からその場所を選び、そこにイーゼルを立て、風景を描いたのです。鑑賞者にとって絵を見ることは、作者と同じ位置に身を置き、作者と同じように風景と対話しながら、風景のもつ情趣を感受することに他なりません。
俳句を鑑賞する場合も同様ではないでしょうか。殊に写生句においては、ことばに触発されて、読者の想像力が風景を描きだすのです。そこに立ち現れるのは、まさ