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女勇-JOYU- project 寫眞展 Ⅱに行きました

 2024.2.23から開催されている女勇-JOYU- project 寫眞展 Ⅱに行きました。

 第一回目も気になって居ましたが、日程が合わず行くことが叶わず。

 第二回目の開催の発表に反応した際に、第一回目に参加していたフォロワーの方からの激推しがあったので、優先順位を上げて見に行くことにしました。会場はギャラリー・ルデコ、渋谷駅の新南口付近にあります。以前Foveon展で行ったことがありましたが、この展示も大変素晴らしかったです。

 ちょっと後悔したのが、この「写真展のコンセプトがなんなのか」というのをちゃんと確認してから行くべきでした。

俳優も、声優も、演じるという意味で「女優」であると捉え、彼女たちを『女勇-JOYU-』と表し撮影しました。 衣裳は、女勇一人一人のためにデザインし製作。 ’’芯の強さ・凛々しさ・勇ましさ’’を感じ、心惹かれた10人の、ジャンヌ・ダルクのような凛々しい姿を是非写真を通して感じてください。

https://twitter.com/JOYU_projectより

 これを頭に入れていなかった為に、会場で見てるときに何を表現しようとしてるのかが飲み込めずにいて少しもったいないことをした。これらを踏まえての振り返りです。

 会場はルデコの3Fと4F、受付は4F。Foveon展の時は3Fだけだったので、規模が大きめと感じる。まず、4Fで受付するとポストカードを受け取り、裏に時間を記入して貰って制限時間が1時間との説明を受けます。
 受付がある4Fから順路が始まり、3Fに降りて最後にオフショが並ぶ順番になっている。1時間以内であれば階の移動は自由に出来て、各階の入り口でポストカードの時間を確認して入ることが出来るといった感じ。

 順路の最初にあるのは、スタジオで撮影された新品の衣裳に身を包んだキャスト。黒の背景布に輝く白い衣裳、そこに負けない美しい肌。
 白飛びギリギリを狙った黒白のハイコントラストなライティングに思わず目を奪われてしまう。照明を直接見ているかのような感覚を感じるほど白が眩しい。
 もう片方は黒の背景布に紛れてしまうかのような黒い衣裳、そして際立つ白い肌のコントラスト。黒つぶれしない絶妙なトーンの中にある衣裳や金属の絶妙な光沢から重厚感を感じる。
 豪華絢爛な衣裳から浮かび上がる凜々しい表情、そしてピントが合っている瞳から感じる力強さに釘付けになる。なにより印刷の質が最高、特に吸い込まれそうな漆黒は重厚感がたまらない。順路を進んでいくと様子が変わり、衣裳がボロボロになり、肌も傷や汚れた物になる。説明が特にないため、「あ、ナニカと戦った後なんだな」という受け取り方をするしかない。

 会場には実際に着用していたボロボロになった衣裳も展示されている。

 写真とウェザリングされたボロボロの衣裳を交互に見比べていると、布の質感や凹凸、金属の錆や鈍くなった光沢などの情報量が増えて、より写真から感じる印象が重たくなってくる。
 そして一貫して印象に残るのはやはり「目力」だろう。

 3Fに降りると一気に雰囲気が変わる。4Fがスタジオで撮影されたものだったのに対し、この階にあるのはすべて外でロケ撮影されたものだ。
 4Fの作品から色を感じなかったが、3Fに入った途端、痛いくらいに高彩度の作品が目に入ってくる。当然、衣裳はボロボロ。
 色鮮やかで壮大な背景からそのキャストがどんな戦いをしていたのかという想像が出来る。なんとなく、戦いが終わった後のような、エピローグを見ている感覚だ。そして最後に物販エリアと撮影風景の映像、オフショットの展示がされて終了となる。

 ざっくりとだが、展示の様子を文章で振り返ってみた。ここからは、この女勇プロジェクトが何を表現しているのかを考えていきたい。
 まず、ヒントとして与えられているのがTwitterのbioにある企画の説明文。

俳優も、声優も、演じるという意味で「女優」であると捉え、彼女たちを『女勇-JOYU-』と表し撮影しました。

https://twitter.com/JOYU_projectより

 そして、最初は新品の衣裳なのに途中から明らかに「ナニカ」と戦ってボロボロになっている。一体なにと戦っているのか。
 女優という仕事の中で敵、もしくは戦う、相手取る、対峙するものはなんだろう、と考えたときに一番の強敵になるのは「演じる役」「キャラクター」なのではないかと思う。役を貰う、役作り、役に入る、役を演じるために苦労しなかった人などいないだろう。
 最初の輝かしい衣裳はデビューの姿、もしくは新しい役を貰い、これから向き合う姿と言って良いかもしれない。そこからボロボロになっているのは、役に対峙し戦った、戦い続けている彼女たちの女優としての姿を「女勇」として表現しているのだと思い至る。

 そして先ほども触れた、どの写真から「目」がとても印象に残るのは、その戦いの様子を「目」で表現している。だからなのか、怖いくらいの力強さを感じる。「目は口ほどにものを言う」、女優として表現力の見せどころだろう。
 3Fで外ロケになり一気に写真の中の情報量が増えるのは、役に向き合ったことで体の一部となり、役者としての自分の世界観が広がった結果なのでは無いかと思う。色が少なかった4F写真との対比で彩度が高めなのがそれを強調しているような印象を受ける。

 この写真展が面白いところは、見る人によって映っている目の奥に想起する物語が違ってくる部分だ。というのも、この写真展に来ると言うことは参加キャストいずれかのファンだろう。そのキャストが今まで演じてきたキャラクター、役を知っていることになる。
 そうすると、今まで演じてきたキャラが脳にちらつく。そういえばこの人は「あのとき、あのキャラとどう向き合って、どういう表現をしていたか」。目の前にある凜々しい、もしくは険しい、悲しそうな表情をしている作品と向き合っていると「○○役の○○」ではなく「女優としての○○」として見ることになり、より一層ファンとしてキャストへの理解が深まるのではなかろうか。逆に、今まで名前しか知らなかったキャストでも「あの写真がどうも記憶に残るな…」から始まり、活動を知ろうとするかもしれない。私はこれきっかけで何人か気になるキャストをチェックしている。

 この写真展で印象に残った部分を語っていこう。
 まず普段触れているコンテンツでなじみの深いキャスト、伊達さゆり、小林愛香、降幡愛。
 そしてこの展示でちゃんと作品として触れた、⻘木志貴、⻄葉瑞希、岩田陽葵。(敬称略)

 最初に伊達さゆり、入場して一発目に存在感があった。白の衣裳も相まって、やはりこのメンツの中で一番芸歴が短いというのもありフレッシュさがある。だが、芸歴が短いといってもそれが果てしなく”濃い”ことをこれでもかと見てきた。
 最近だと日曜ドラマにも指名でキャスティングされるなど演技の幅を広げている。周りのキャストに比べると表情の作り込みが甘い部分も感じたが、その写真をセレクトされて展示されていると言うことは、それ込みで今の伊達さゆりを表現していると思う。

 小林愛香、黒い衣裳が似合いすぎている。それも津島善子として、ヨハネとして約9年も黒の衣裳でかっこよく見せるというテーマに向き合ってきた経験からなのか、表現に迷いがない。
 このテーマで自分を魅せるにはどのアプローチで行けば良いのかが身に染みついていることがわかるし、その目からは自信が見えた。故にあまり語るところがなかったりする。純粋に美しくかっこいいです。

 降幡愛、参加キャストの中で一番印象に残ってる。降幡写真工房の経験からなのか、カメラを前にしたときの被写体としての様変わりするギャップが有りすぎる。
 私が女性声優の写真集で一番評価してるのが「いとしき」。1年掛けて四季を表現する為に撮り下ろすというこだわりの強さと、その表現に見合うクオリティの写真が並び、印刷がとてもいい。
 普通の女性声優の写真集と毛色が違うため、これを上回る私があっと驚く女性声優の写真集は出てこない気がする。
 アーティスト活動で80'sCityPOPをメインに活動しているが、それも見せ方のこだわりがすごい。普通は当時の曲から要素を引用して現代の価値観に合うようにアレンジして作るものだと思うが、当時の音をそのまま再現して新曲を作っている。
 ウケるかどうかじゃなくて自分がこれを表現したいからこうする、というのをできる人だからなのか今回の写真展でも抜群の存在感を放っていた。

 ⻘木志貴さん、世界観への入り込みがとてつもない。涙を流しているカットが数個あったが、否が応でも戦いの中で切ない別れがあったという物語を叩きつけてくる。腹筋が、すごい、腹筋が。

 ⻄葉瑞希さん、一番𝑺𝑬𝑿𝒀な衣裳だったが一切いやらしさを感じなかった。美しい。特に3Fにある野外ロケ写真は光がハマっていたのか、構図のバランスが良かったのかとにかく迫力があり、しばらく目が離せなかった。ポージング技術の高さからくるものかもしれない。

 岩田陽葵さん、唯一といっていい笑顔の写真がセレクトされていた。他の人はかっこいい表情だったり影を感じるものが大半のために、笑顔というコントラストが非常に印象に残っている。
 女勇というテーマにおいてこの人は笑顔をセレクトされるような人、演じることに笑顔が必ずセットになる。そういう人なのだろうかと印象を受けたのが面白かった。たしか4Fの作品で涙を浮かべていたカットがあったきがするがそのコントラストもあり、とても良い笑顔だと感じた。

 前回を見ていない&女勇というプロジェクトについて何も知らなかったので最初はただ女勇というコンセプトに沿って勇者のコスプレしたキャストの写真展だと思っていた。
 しかし、見に行ってみるとなかなか面白い発見があり、大変勉強になった。このnoteに書いてることは私が見て感じたことをどういうことなのだろうかと考えた結果であって、あくまで一つの感想だ。
 記事を公開するのが写真展の開催期間の終わりになってしまったので、この記事きっかけで見たいと思った方は3回目の開催がなされたときに是非見に行って貰いたい。

とても勉強になる写真展でした。


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