ブックバインディング その2 角背
◆角背(かくぜ)
角背は文庫本を利用したくるみ製本を作ります。
文庫本のカバーと表紙を外して、2mm厚のボール紙で表紙と背を作ります。クータと見返しで本文(文庫本)と合体させます。
①本文の寸法を測る(天地・左右・束(つか=厚さ))
②表紙をはがす
③カバーを綴じ込み用に切って背側に和紙を貼り、本文の背に貼る
④見返しを切って貼る
⑤花ぎれを貼る
⑥寒冷紗を貼る
⑦クータを作って貼る
⑧うーす(紙の帯)で巻いておく
⑨表紙ボール紙を切って加工する(平2枚、背1枚)
⑩クロスに表紙ボール紙を貼る
⑪表紙と本文の背をつけて溝を作る
⑫見返しを貼る→プレス機に挟む
項目の数もすごいですが、全てが正確な作業を求められます。1㎜もずれていたら、ずれすぎでやり直しです。きちんと緻密に作っていくことが美しく仕上げるポイントだと先生は言っていました。
そして、ボンドやのりで貼るのですが、しっかりつけたいと思うと多くつけすぎてしまい、はみ出したり、違う場所が汚れてしまったりします。手も、のりでべたべたになりますが、先生からエプロンで手についたのりを(毎回違う箇所で)拭くように言われました。確かに手拭き用のタオルより拭きやすいですが、びっくりしました。
表紙ボール紙の加工とクロスの貼り付けは、デザインによってさまざまな処理をします。ここでもいかに美しく仕上げるかに気を配って、パーツ部分以外の厚みをそろえたり、角を明確に作り込んだりして、作業が細かいです。丁寧にやってもなぜかクロスがずれてしまうこともありましたが、きちっとできたところは確かにきれいで、先生が厳密さを求めていたのはこういうことなんだな、と実感しました。
背にはホットペンで書名と著者名を書きました。転写に時間がかかって大変と言われていたので、じっくりやったら文字がにじみました。そんなにびくびくやらなくても良かったです。でもかっこいい。
花ぎれも、いかにも本!っていう感じでテンション上がります。
制作中はとにかく時間が足りないです。早く正確な作業をやり続けなければならず、ずっと焦りながらこなしていました。家でできるようなパーツの作成などは、できるだけ家でやっていきました。
でもクロス張りの本は一気に高級感が出て、普通の文庫本だったとは思えない見た目に感動します。
その3 丸背につづく
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