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構造デザインの講義【トピック8:立体構造のデザインを科学する】第5講:テンセグリティの力学とフォルムの可能性
建築を超えた構造システムの革命、テンセグリック構造
東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です
トピック8:立体構造のデザインを科学する
第5講:テンセグリティの力学とフォルムの可能性(ココ)
テンセグリティ構造の発見と実用化
テンセグリティ・Tensegrityは、tension(引張・張力)とintegrity(統合)の造語です。
バックミンスター・フラー(建築家、構造家、発明家、思想家、・・・)によって提唱された構造システムです。
(バックミンスター・フラーは、「宇宙船地球号」の考えを示しました。地球の資源問題、環境問題に通ずるものです。)
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(写真:archidaily, https://www.archdaily.com/)
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圧縮材(パイプ)はお互いに節点を持たず、引張材(テンション材)は姿を消すことで、パイプが浮かんでいるように見える
(写真:archidaily, https://www.archdaily.com/)
テンセグリティ構造の定義と、実際の建築物
テンセグリティ構造は、圧縮材がお互いに節点をもたず、細い引張材は存在を消すことで、圧縮材が浮いたような構造体に見えます。
しかし、この定義を完全に満足する建築物を作ることは、容易ではありません。
建物の構造体とする場合、屋根や天井、壁、床などを支える必要があります。
細い線材からなるテンセグリティ構造を骨組として、これらの構成要素を無理なく構築することが難しいためです。
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テンセグリティの原理・定義を完全に顕現した構造体とした建築物は、必ずしも多くはありません。
橋梁の構造体に、テンセグリティのような構造を見ることはできますが、圧縮材がお互いに節点を共有していることがあります。
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(写真:pixabay, https://pixabay.com/ja/)
軽やかさと、空間を構成する要件を持たせた、テンセグリティのような構造体は、テンセグリック構造と呼ばれることがあります。
様々提案がありますが、例えば、立方体を基本ユニットとして、外周部に圧縮材を配置して、内部の引張材が補うような構造体です。
このユニットのレイアウトにより、平面や立体、曲面などの構造・空間を作ることができます。
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ユニットの外周部に圧縮材を配置することで、ガラスなどを取り付けることが可能となる
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ユニット外周部に圧縮材を配置することで、膜材を取り付けることが可能となる
ハイブリットテンション構造として
圧縮材と引張材の組み合わせは、サスペン・アーチ構造、張弦梁構造、などがあります。
テンセグリティ構造、テンセグリック構造も、使用する部材は同じですが、構造の構成が異なります。
しかし、いずれも、軽快な表現、構造体の軽量化、明快な力学、そして信頼性の高い構造体として、利用されることがあります。
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それぞれの部材は力学的な役割で明確に区別されて使用されている
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