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映画「八月の物語」のはなし

実は2年前に他のブログで書いた記事だったのだけど、今やそちらのブログは誰も見やしないし、でも映画の方は良かったからここでもう一回誰かに興味を持って貰うためにブラッシュアップ。

もともとお話好きである私。今では家でドラマ三昧。

近頃はずっと映画鑑賞などする暇がなく、連続ドラマは録画してみるということが好きでないのでTVをつけた時間にみるか、家族がとっているものを一緒にみることぐらい。なので、最初から最後まで見続けることがほぼない。

…そう書いたのは2年前。今や気になるドラマは無理やり時間を割いてでもみる。なぜなのか?それは

「おっさんずラブ」

これだけはしっかりとみることが出来た。私に放送時間を忘れさせなかったこの番組はだから凄いのだ。
そして今やこの「おっさんずラブ」からお気に入りの俳優を追って行った結果(林遣都→「High&Low」山田裕貴・前田公輝)すっかり録画して作品をみる人に変わってしまった。

「おっさんずラブ In The Sky」では戸次重幸さんにはまり過去のちょい役作品までみているが、私のいち押しは土屋太鳳ちゃんが主役の東野圭吾原作「カッコウの卵は誰のも」だ。

戸次さんはだいたい死体か嫌味な役が多くてあまりかっこいい役が貰えない。ハンサムという形容が似合うから嫌味な俗物的な役になってしまうのかなぁと思うのだが……。

そんな中「カッコウの卵は誰のもの」ではスーツがビシッと決まった太鳳ちゃんのナイトの様な存在で出ている。こんないい役貰えるならもっと前に貰いたかったねってところだがいたしかたない。

「ジェネラル・ルージュの凱旋」を推す人もいるだろうけれど、あれは西島秀俊さんが主役なので勝てる訳がない。それに戸次さんは長い髪型より短めが好きだから私の推しはこちらの作品となる。

前振りが長すぎる。今日書きたいことはこんなことじゃない。


期待せずにみたものがたまたまとても良かったので紹介。

今をときめくディーン・フジオカの幻のデビュー作。


せつない、、、、、これ一言の映画。

そのせつなさは初恋の切なさ。

振り返る青春の思い出。

そのせつなさには美しい思い出しかない、一番素敵なお話しなのだと思っていい。

誰もが一度は経験するであろう甘酸っぱい想い、汚れなき恋ごころ。

相手が若かりしころのディーン・フジオカ。甘い王子様系イケメンであるのでなおさらな訳だ。

映像が淡く、流れるフェイ・ウォンの歌声。

(ちょっと脱線してしまうがここでフェイ・ウォンと「恋する惑星」のこと)

本題になかなか行かずごめんなさい。脱線につぐ脱線。これが私の悪いところ。わかっちゃいるが書いてしまう。でもこの音楽についても書かずにはいられない!

フェイ・ウォンと言えば、大好きな映画「恋する惑星」(1980年代)の主題歌を歌い、自らも出演している。

香港ムービーもウォン・カーウェイくらいしかみていないので(「恋する惑星は」カーウェイ作品)、フェイ・ウォンがその後どのような音楽活動を行っていたのか知らなかった。今回の作品も今よりずいぶんと昔になるが、それでも「恋する惑星」から20年もたっているので、どうしてたー!?って思いになった訳です。

「恋する惑星」は他に金城武やトニー・レオンも出ていて同年代だった私はあこがれた訳です、香港、ステキ♡

でその勢いで旅行行ったりしちゃった若き日の思い出がありますねー(これはいらない話だが)。

話を本題(「八月の物語」)にもどす!!

「八月の物語」(2006年)の出だしで懐かしいフェイ・ウォンの歌声が聞こえたので見たのだが期待しないでみて、見終わったあとに「せつねーなー」となった訳。

そのせつなさと同じくらい重要なのが根底にある貧しさ

語られていないが彼らの関係に重要性を持たせている。それは話のところどころに言葉以外で語られている。

少しネタバレになるが

主人公玉意(ユイ)は父子家庭。父親は身長が伸びた彼女に制服を新調する金もない。

一方ディーンの役、平安(ピン・アン)。洋服仕立ての見習いをしている。母に仕送りもしている。

ある晩、玉意が父親に

今日は他で泊まれ

と家に入れて貰えないシーンがある。結局行く当てがなくてバイトをしている(彼女はここで洋服のアイロンがけのアルバイトを夏の間している。その代わり制服を新調してもらう約束がされている)洋品店の前に立つのだが中で寝泊まりする平安に入れて貰う。

平安には働き先で寝る部屋は用意されていないので、職場が寝場所となっている。

夏の暑い夜、冷房などなく眠れない。優しくうちわであおいでくれる平安。

辛くても寝れば忘れられる

このひとこと。グッとくるのだ。共感されているのが分かることば。

ことばの偉大さを感じるひとことなのだと見ているこちら側思うのですよ。玉意じゃなくても救われる。好きになっちゃうでしょう、こんなこと言われたら、のひとこと。

平安は玉意が何もいわなくても何があったのかおおかた気がついている。そしてこのひとことで玉意が自分にどんな感情をいだいたのかもうっすらと気がついているのだろう。

夏が終わる。アルバイトも終わる。別れのシーンでも何も言わず別れる。

自分と彼女はまた違う人生を歩いている。そんなことをきっと平安は分かっている。だから何も言わない。

誠実な男なんだな、きっと。

貧しさがふたりを一緒にすることがなかった原因のひとつなのではなかろうか。

実は作品の中ではもうひとり、玉意の同級生が出てくる。その子は玉意の対局をいく存在として扱われる。

平安にとっては自分とは全く違う世界に住むあこがれの存在だったのかもしれない。

結局平安はどちらをみていたのだろう?というのを最後でなんとなく匂わせながら終わる辺りも初恋感がある。

1時間ほどの小作品となっている。ディーン抜きだったとしても内容がいいから見て欲しい。


主題歌「紅豆」

映画にとっても合っていて、さすがのフェイ・ウォン。


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鶴木マキ
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