
Time isn't holding up, time isn't after us*映画「アメリカン・ユートピア」
スパイク・リー監督、デビッド・バーンの「アメリカン・ユートピア」を観に。ライブも久方行ってないし、もう長時間立って踊ることなんてしんどくてできないから映画でライブ感覚ならいいかなーと思って軽い気持ちで行った。が、いやもっと深かった。
デビッド・バーンはもう70代に近いのだが相変わらずの伊達男であった。
私は若い男の方が見た目は好きなんだが(そりゃ誰でもそうだろうが)デビッド・バーンはかっこいい。ジジイになってもこんなに渋くてかっこいいのはやっぱデビッド・バーンだからなんだな。
紳士的な雰囲気で話しながら歌う姿は情熱的で他にこんな人いないからかっこいいのだろう。やっぱりどっか神経質な雰囲気が感じられながらしかし穏やかな話っぷり。訳が分からないのがデビッド・バーンの魅力。
音楽もとってもかっこいい(語彙!!)。
歌詞は訳が分からないけど(映画なんで歌詞に日本語字幕ばっちりついてます。訳はピーター・バラカン)曲は聞きやすい。
歌って踊るデビッド・バーンは年齢を感じさせない。
本人とてもまじめなんだろう。物凄くクールで計算されたパフォーマンスを狭い舞台上で100分近くするが全く飽きない。
映画な訳で、構成も素晴らしい。脳みその模型を片手に持ちながら登場。なんだろうと思って話を聞いていると音楽が始まる。この脳みそのくだりはのちのち効いてくる。
音楽も申し分なく素晴らしくて実は映画で見てきた「アメリカン・ユートピア」を聴きながらこれを書いている。音楽は音楽でとても癖になる。
バーンの様な表現をすればきっと「脳の中枢に効いている」のじゃないだろうか?
「アメリカン・ユートピア」は単なるトーキング・ヘッズの音楽を奏でるだけではない。今のアメリカの現状を訴え、自分たちで変えていこうというメッセージが含まれている。
一見題名がデビット・バーンの皮肉なのか?と思わせるがそうではない。自分たちがユートピアを作っていくのだというメッセージなのだ。
映像と音楽を通してスパイク・リーとデビット・バーンがそれを表現している。
私たちの脳みそは不要だと思う回線をどんどんと切断して必要な回線を残して大人になっていく。それを常識と呼ぶのかもしれない。だが、それ以外のことも受け入れてみる、色々な価値観を受け入れる。
グレーのスーツに素足で歌いまくるデビット・バーンの姿にそんな思いがした。
そして最後に颯爽とニューヨークの街中を自転車で駆け抜けていくデビッド・バーンの姿に観た誰もが明るい気持ちになって映画館を後にすることだろう。
いにしえの洋楽ファン必見の作品。
*Time isn't holding up, time isn't after us=今回の「アメリカン・ユートピア」でも歌われている「Once in a lifetime」の中の歌詞。「時間は誰にでも同じにずっと流れている」っていう意味なのだと思う。だから今できることを時流に乗ってしようという事なんだと思うのです。
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