#15 ホリプロアイドル集団「HiP」
1990年代〜2000年代の女性アイドルを振り返る「ガールズポップス」。数多くの人気女優が所属している芸能事務所「ホリプロ」。その名を一躍大きく広めるきっかけとなったのが、1976年に新人発掘を目的に開催された「ホリプロタレントスカウトキャラバン」で、第1回グランプリの榊原郁恵をはじめ井森美幸(第9回)、足立梨花(第32回)、小島瑠璃子(第39回)などを輩出してきた。中でもホリプロ三人娘として知られている深田恭子(第21回)、綾瀬はるか(第25回)、石原さとみ(第27回)は現在でも第一線で活躍しており、今もその人気が衰えることはない。
深田恭子と綾瀬はるかは、ホリプロの女性アイドル集団「HiP」の一員として活動していた時期があった。知らない読者に向けて説明すると、読み方は「ヒップ」で、「ホリプロ・アイドル・パラダイス」から名付けられている。近年はネットニュース等で深田恭子・綾瀬はるかが在籍していたアイドルグループとして紹介されることが多いが、正確には駆け出しのアイドルを集めたファンクラブの名称であって歌って踊るアイドルグループではなかった。今回はHiPについて振り返っていく。
HiP = 歌って踊るアイドル集団ではない
HiPは1998年の夏にホリプロタレントスカウトキャラバン出身者を中心に若手女性タレントの成長を応援していこうという趣旨のもとで新山千春・深田恭子・優香・酒井彩名・大森玲子の5人で結成された。結成時はそれなりに話題となり、1998年10月20日号の「週刊プレイボーイ」には折り込みで“終わらない挑戦。”をキャッチコピーにポスターが封入され、グループの存在をアピールしていた。
ところが、結成とほぼ同時期に深田恭子がドラマ『神様、もう少しだけ』でHIVに感染した女子高生役を演じて大ブレイクを果たし、優香も「週刊ヤングマガジン」をはじめとする数々の少年誌で表紙を飾るグラビアアイドルとして認知されるようになり、メンバー内で格差が生まれるようになった。そのためグループ唯一のレギュラー番組であった『HiP HOP パラダイス』もスケジュールの都合で出演できないことも多かった。
その後はホリプロタレントスカウトキャラバンや夏のお嬢さんコンテストで入賞した平山あや・堀越のり・綾瀬はるかなど次世代アイドルが続々と加わり、ソロ活動で多忙になった新山千春・深田恭子が卒業するといった入れ替えを繰り返しながらレギュラーを務めるラジオ番組と年1~2回程度で行われるファンクラブイベントで活動していたが、結成時をピークにイベントの規模は縮小していった。
結局、2003年の夏に行われたファンクラブイベントを最後にHiPは活動停止状態となり、ファンクラブはそのまま休会となった。酒井彩名・平山あやが女優として活躍する一方で大森玲子は週刊誌に掲載されたプライベート写真が原因で事務所との契約を終了し、野村恵里・西端さおり・藤本綾もほどなくして退社した。
当時、綾瀬はるかはグラビアを中心に活動していたが、2003年からはドラマにも出演するようになり、2004年7月期ドラマ『世界の中心で、愛を叫ぶ」で大ブレイクを果たした。
2021年現在もホリプロに所属している新山千春・深田恭子・優香・酒井彩名・平山あや・綾瀬はるかという豪華な顔ぶれで一回限りの再結成イベントが行われる日が来るのだろうか…。
新山千春(結成時メンバー)
初代リーダー。
1995年、第20回 ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞(グランプリは佐藤仁美)。
1996年、映画『お日柄もよくご愁傷さま』で女優デビュー。
2004年、元プロ野球選手の黒田哲史と結婚。
2014年、離婚。
過去には『嗚呼!バラ色の珍生!!』や『タイムショック21』にレギュラーで出演。
深田恭子(結成時メンバー)
深キョンの愛称で知られている国民的女優。
1996年、第21回 ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞。
1997年、ドラマ『海峡』で女優デビュー。
1998年、ドラマ『神様、もう少しだけ』で大ブレイク。
1999年、「最後の果実」で歌手デビュー。オリコン初登場4位を獲得するヒットを記録。
2012年、大河ドラマ『平清盛』でヒロイン・平時子役を演じた。
ドラマ『ルパンの娘』、映画『下妻物語』、『ヤッターマン』など数多くの作品に出演。
優香(結成時メンバー)
2代目リーダー。
1997年、スカウトをきっかけにホリプロ初のグラビアアイドルとしてデビュー。
2000年、グラビアアイドルからタレントに転身。
2016年、俳優の青木崇高と結婚。
過去には『志村けんのバカ殿様』や『王様のブランチ』にレギュラーで出演。
テレビ・映画・舞台・CMとマルチに活動。
酒井彩名(結成時メンバー)
3代目リーダー。
1996年、第21回 ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞(グランプリは深田恭子)。
2007年、L'Arc〜en〜Cielのtetsuyaと結婚。
過去には『おはスタ』(おはガール)や『THE夜もヒッパレ』にレギュラーで出演。
ドラマ『エースをねらえ!』、『アタックNo.1』、『花より男子』、映画『バトル・ロワイアルⅡ 鎮魂歌』など話題作に出演。
大森玲子(結成時メンバー)
1996年、第21回 ホリプロタレントスカウトキャラバンでピュアガール賞を受賞(グランプリは深田恭子)。
1998年、アニメ『魔法のステージファンシーララ』で声優デビュー。同アニメの主題歌を担当。
2003年、写真週刊誌に男性とのプライベート写真が掲載。
2004年、ホリプロを退社。
U-15アイドルとして歌手・声優・バラエティ・グラビアとマルチに活動。
過去にはバラエティ番組『DAIBAッテキ!!』や『どうぶつ奇想天外!』にレギュラーで出演。
平山あや
第一次追加メンバー。
1998年、第23回 ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞。
1999年、ドラマ『可愛いだけじゃダメかしら?』で女優デビュー。
2019年、速水もこみちと結婚。
映画『ウォーターボーイズ』、『陰日向に咲く』、ドラマ『働きマン』、『ごくせん 第3シリーズ』など話題作に出演。
過去にはバラエティ番組『森田一義アワー 笑っていいとも!』や『平成教育委員会』などにレギュラーで出演。
野村恵里
第二次追加メンバー。
1996年、第21回 ホリプロタレントスカウトキャラバンでピュアガール賞を受賞(グランプリは深田恭子)。
2001年、ミュージカル『リボンの騎士 〜少女薔薇の英雄伝記〜』で主演を務めた。
2005年、ホリプロを退社。
ファッション誌「ピチレモン」で3度の表紙を飾る専属モデルとして活動。
過去にはバラエティ番組『ペット大集合!ポチたま』にレギュラーで出演。
堀越のり
第二次追加メンバー。
1998年、第2回 夏のお嬢さんコンテストでグランプリを受賞。
1999年、アニメーション映画『逮捕しちゃうぞ the MOVIE』の主題歌を担当する期間限定ユニットのNITROに参加。
2011年、一般男性と結婚。
2012年、ホリプロを退社。
優香の妹分としてバラエティ番組『愛のエプロン』や『くりぃむナントカ』などにレギュラーで出演。
西端さおり
第三次追加メンバー。
1999年、第24回 ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞。
2000年、「Try To Wish 〜キミに必要なもの〜」で歌手デビュー。シングル3枚、アルバム1枚をリリースし、アニメやバラエティ番組のタイアップにも恵まれていたが、ヒットに恵まれなかった。
タレント・女優としても活動。
2005年、ホリプロを退社。
藤本綾
第四次追加メンバー。
2000年、ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞(同期は綾瀬はるか)。
グラビアアイドルとして数々の表紙を飾るなどポスト優香として積極的に売り出された。
2002年、UEFAチャンピオンズリーグで中継を担当。
バラエティ番組『THE夜もヒッパレ』や『いきなり!黄金伝説』に準レギュラーで出演。
2005年、ホリプロを退社。
岩科麻由子
第四次追加メンバー。
2000年、第25回 ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞(同期は綾瀬はるか)。その後はグラビアアイドル・女優として活動。
2001年、デビューからわずか1年でホリプロを退社。
綾瀬はるか
第四次追加メンバー。
言わずと知れた国民的女優。
2000年、第25回 ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞。
デビュー直後はグラビアをメインに活動。
2004年、ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』で大ブレイク。
ドラマ『ホタルノヒカリ』、映画『ハッピーフライト』、『今夜、ロマンス劇場で』など数々の作品に出演。
西田夏
第五次追加メンバー。
2000年、第4回 夏のお嬢さんコンテストでグランプリを受賞。
グラビアアイドルでありながら元チェキッ娘の久志麻理奈らと共にHPJG(ホリプロ女子プロレス軍団)を結成し、NEO女子プロレスに参戦したことが話題のなった。
2003年、ホリプロを退社。
以下、HiPの活動経歴(加入・卒業時期, イベント等)について振り返っていく。
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