倫理政経ポイント解説(政経⑧)
こんにちは。今回は政経(日本の現状と課題①)やります。
日本の農業
●日本の農業の変遷
戦後、日本は自立経営農家を育成するために寄生地主制を防ぐ農地法(1952)や他産業との格差を埋める農業基本法(1961)を制定した。¥
しかし、食糧管理制度(1942)によってコメ以外の作物へ転換せず、うまくいかなかった。
そこで政府は減反政策(1970)を行った。
●日本の農業の現状
農業所得を主とする主業農家の数は激減し、販売農家の経営耕地面積は極めて小さい。
現在、GDPに占める第一次産業の割合は1%程度であり、農業人口は全就業者の3%でしかない。他の国も同様ではあるが、平均経営面積を見るとEUは日本の約6倍、アメリカは約75倍、オーストラリアは約1300倍もある。
●今後の農業
1991年牛肉・オレンジの自由化
1993年GATTのウルグアイ・ラウンド※でコメの部分開放、国内の消費量の一定割合をミニマム・アクセス(最低輸入量)として輸入することを決意。
1995年食糧法施行
1999年コメの全面関税化、食料・農業・農村基本法施行
2011年経営所得安定対策の導入
※関税や貿易に関する協定のこと、詳しくは国際経済で解説
現在、農業だけで付加価値を高めるのには限界があるため、二次産業・三次産業と一体化する六次産業化が求められている。
また、食の安全確保のためのトレーサビリティなど、食料の安全保障も求められている。
消費者問題
消費者の欲望が企業によってコントロールされること(依存効果)
他人の影響によって商品を購入すること(デモンストレーション効果)
企業と消費者の間の情報格差(情報の非対称性)
●消費者の権利
消費者の4つの権利
①安全である権利
②知らされる権利
③選択できる権利
④意見を聞いて貰う権利
●消費者行政
1968年消費者保護基本法(2004年に消費者基本法に全面改正)
1970年国民生活センターの設置
・契約・売買に関する制度
割賦販売法
特定商取引法(旧訪問販売法)
クーリングオフ制度
消費者契約法
成年後見制度
消費者団体訴訟制度
・商品の欠陥・安全性に関する制度
1994年製造物責任法(PL法)
2009年消費者庁
リコール制度
食品衛生法
JAS法(日本農林規格)
食品表示法(2013成立、2015施行)
労働問題
●労働運動
本来、資本者と労働者は対等の関係で労働契約を結ぶ(契約自由の原則)が
実際は労働者が不利を強いられることが多かった。
産業革命以降、資本主義的な労働が急速に広がり、様々な労働問題が生じた。
労働者は労働問題に対し最初はラッダイト運動を代表とする打ち壊しなどで抵抗したが、徐々に労働組合を作ったり、法的な権利を求めるようになった。
20世紀になると、1919年設立の国際労働機関(ILO)を代表とする政府の取り組みがみられはじめた。
1960年から、雇用者数は増加しているが、労働組合員数は1000前後で横ばいであり、労働組合は1970年前後をピークに減少傾向にある。
日本では企業別組合が多いが、ナショナルセンターに加入している人も多い。ナショナルセンター指導のもとで、賃上げなどの交渉を行う「春闘」が定着している。
また、今日では組合のない企業で個人の資格で加入する地域労組も活動している。
●労働権
団結権・団体交渉権・団体行動権(憲法27条)=労働基本権
→これらに基づく労働基準法・労働組合法・労働関係調整法の労働三法
労働基準法の主な労働条件
賃金
男女同一。毎月最低一回、一定の期日。時間外、休日、深夜労働には追加料金。
労働時間※
一日8時間、週40時間以内(法定内労働)
休憩・休日
規定の時間を超えたときの最低限の休憩時間と毎週最低一回or4週間に最低4回の休日
時間外労働
使用者と労働組合または労働者過半数以上の代表との間での書面での協定(三六協定)が必要。
有給休暇
6ヶ月継続勤務かつ8割以上の出勤で付与
年少者
15歳未満は禁止、18歳未満は深夜労働を禁止
女性
産前6週間・産後8週間の休業の保障
※一定期間の平均が週40時間以内なら特定の日に法定時間を超えて労働させられる変形労働時間制や、労働者が始業・終業時間を決定できるフレックスタイム制もある。
労働三権の付与
区分 団結権 団体交渉権 団体行動権
民間 ○ ○ ○
一般の国家公務員 ○ △ ×
現業職員・行政執行法人職員 ○ ○ ×
一般の地方公務員 ○ △ ×
地方公営企業の職員 ○ ○ ×
警察・消防・自衛隊 × × ×
●労働事情の変化と現状
・労働事情の変化
○大戦後の日本
終身雇用制
年功序列型賃金制度
○近年の日本
成果主義的賃金制度
裁量労働制
非正規雇用の増加
ワークシェアリングの推進※
※ワークシェアリングとは・・・1人あたりの労働時間と賃金を減らして仕事を分かち合う制度
・今日の労働問題
○若年層の雇用
人件費節約のための非正規雇用増加に伴って、新卒の求人が減り、若年層の正規雇用割合が減少した。
定職につかないフリーターや、進学や就職をしないNEETなどがみられてきている。
○女性と労働
女性の社会進出と男女平等の推進のため、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法が制定された。
○中高年の雇用
2004年の高年齢者雇用安定法によって雇用機会の拡大が図られた。
○障害者の雇用
1960年の障害者雇用促進法によって法定雇用率などが定められたが、十分ではない。
○外国人労働者問題
雇用の不安定さ、不法就労など課題は多い
○その他の課題
完全週休二日制は実現しつつあるが、男性の育休取得率や時間外労働による過労死などが問題化しており、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が求められている。
今回は以上です。閲覧ありがとうございました。参考になれば幸いです。次回は日本の現状と課題②やります。スキしてくれると励みになります。
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