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制作日記:苦手意識に問うてみる(描けなかった絵が描けるようになった話)
正月も終わり、頭を切り替えて制作再開
年末よりテクスチャーアートにも挑戦して、苦手意識のあった風景画も描くようになった。
不思議と苦手意識を克服すると何年も描いてきたかのように、描くものが浮かんできて工夫や改善点も見えてくる。
〈苦手意識〉の原因をエッセイやこのような制作日記で「言葉」として視覚化してみると〈どうすればいいのか〉を考えられるから不思議だ。
スマホ時代なのに、ジャーナルノートや手帳が再び注目を集めている記事を見るが、「手を動かして、考える事」の大切さが見直されているかもしれない。
せっかくAIが教えてくれても、提示された文の意味を理解しないと「分かった事」にはならない。
〈言葉〉を認識する経験も必要だし〈伝え、理解する〉想像力は、一人一人違うので、日々考え経験することが大切だなと切に思う今日この頃。
正月明けから活動してきた事を少し記録したいと思う。
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プリズム見たさに朝焼けと共に目が覚める
それが、作品にもいい影響を与えてくれている
テクスチャーアートのきっかけ
「鱗に見えるな、描きたいな」
正月の初詣。
お参りの長い列に並びながら、境内の大木の幹に惹きつけられた。
一人では腕が回りきらない太い幹に石のようなゴツゴツとした表面。
列が大木に近ずくに連れて、樹皮であるのに岩の様にしっとりと固く、凹凸が不自然でいろいろな色が混ざっている。
(これは、あれだな・・竜みたいだな。でも、身近なモノなら蛇か)
そんな、思いから冒頭の台詞が口から出る事になる。
テクスチャーアートとは、絵の具やペーストを使って、色や質感、凹凸を表現した抽象画。
抽象画とは、目に見える現実の形や色、立体感をそのまま表現せず、アーティストの感性で自由に捉えて表現した絵画。
自分はジャンルで言えば、実在する対象物を具体的に描いた絵画である具象画に近いと思う。
木の幹と人の肢体を融合させて絵を描いていても「木」と「肢体」の形をしっかりとなぞっている。
しかし、「描きたい」と感じた時に浮かんだものを表現するのに適しているのは、具象画ではなく抽象画に近かった。
(描いた事・・ないな)
「描けないんじゃないかな・・」そんな言葉が脳裏をよぎる。
苦手だから描かない、そんな考えはもったいないと去年気が付いたばかりなのに、同じ行動をとりそうになる自分に少し聞いてみた。
「イメージが浮かんでいるのに描かないの?」
「空想上のモノではないんだよ、実際に大木に触れて浮かんだのに何が問題なの?」
思えば、画材の知識は画材店で働いていたので十分にある。
質感もイメージできているし、昨年は1年がかりで色彩感覚を取り戻した。
「何が、問題なんだ」
「抽象画が苦手で描けない」と思った自分を理詰めしてみた。
「あれ、何が苦手だったんだろう」
描けるという事に言葉は浮かぶが、描けないという〈苦手意識〉を立証するものが突き詰めると何もなかった。
〈否定的な思い込みとは案外追及すると弱いものかもしれない〉
画材の知識
絵を数十年描いてきた経験と見てきた経験
描きたくなった理由と対象との触れ合い
描こうと思わせてくれた、イメージの価値
〈苦手〉と思っていた理由だけで、描くチャンスを逃してはもったいない
「神社で浮かんだものだし、思えば今年は〈巳年〉だな」という思いの後押しもあり、めでたくテクスチャーアート「白蛇の衣」が出来ました。
挑戦してみると夢中になる。
「感覚的に簡略化して、好きと思ったことを追及して描ける」
やってみると、満足感があり達成感も味わえる作品になった。
〈好き〉という感覚的な感情を大切にする事は、制作において重要なのだな・・と再確認できた絵になった。
描き終わった後で神社にお礼に行き〈またしばらく、この絵を描きたいです〉とお願いもしてきました。
来週1月21日にショップに掲載するのでよろしければご覧ください。
Instagramのリールでもご覧いただけます。
卯月螢Instagram(作品垢)
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「白蛇の衣①」面白いのでInstagramでリールをつくったら
閲覧が初めて1000回を超えてびっくりしました
「楽しい」と言うのは不思議ですね
「円窓」良いなと思った気持ちで描いた空
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「空を描かないんですか?」
そんなに、〈空の色〉について違いを細かく語れるのに・・
色彩心理を学んでる時〈青〉の項で空の話になった。
振り返れば〈橙〉の項では夕日の話になったと振り返る。
〈空の色について〉私は、事細かく色の違い季節での見え方の違いを話していたらしいのだ。
急に聞かれて思ったのは「私は空が描けない」だったと思う。
空をちゃんと意識して見るようになったのは、ここ最近。
それ以降の記憶では「空」は苦手なものだった。
強い光に目が弱い事もあるが、あまり上を向かない生活をしていた。
〈何かを考えると下を向く〉
〈自分に自信が無いから下を向く〉
〈太陽が眩しいから下を向く〉
ついでに、光除けにサングラスや帽子を外出時に利用することが多い。
心身共に「空が苦手」なので「空は絵が描かないし描けない」と言うのが、数年前までの私の常識だった。
自分の限界を知る出来事で「空」を見るようになってから、意識的に空を見るようになった最近は〈早朝の朝焼け〉〈昼間の蒼空〉〈夕闇の雲の色〉を見るのがほぼ趣味になっている。
最近、サンキャッチャーを買ったので、プリズム見たさに良く窓を開けて朝日を浴びる。
そんな時、不意にその時の問いが頭をかすめた。
「空は描かないんですか?」と・・
自分自身に問うてみた「好きなのに描かないのか?」
「どうして描かないのか?」
建物は苦手なのは分かっている。
漫画を投稿していた学生時代に遠近法が理解できずに嫌いになった。
動物が苦手なのも知っている。
見るのは好きだが、描けるほど触れ合ったことが無い。
〈空は風景だから〉〈建物も風景だから〉空は苦手。
「いや、風景画を描くではなく、空の良いと思ったところを描けば良いのでは?」と考え方を変えてみた。
「好き」であるなら「空の良い所を伝える為に描いて見ては?」
好きなところをフォーカスした描き方。
区切ったという印象が無い、そんな図形。
「丸だな」
丸の中に描こう
そうして「円窓」が出来上がった。
ただ無心に「空の良い所を色で描く」
〈風景〉ではなく〈良いと思った空を描く〉
それだけで、苦手意識が抜けて色を〈良い〉思うまま描く事にした。
「ああ、自分が空を描くというのはこういう事か」
明確な理由付けをするのではなく〈良いと思ったこと〉を思ったままに描く。
幼い頃にできていた事をなんで今まで出来なかったのかと、気が付けた作品になった。
調べてみると「円窓」は禅の悟りを意味する〈円相〉を由来とする丸い窓だそうだ。悟りや心理・仏性・宇宙全体・無を象徴するらしい。
難しい事は良く分からないが〈無〉と言うのはなんとなくわかる。
感情は、身体が環境から受け取る情報をもとに生ずる反応
感覚は、感覚器官が外界から受け取る情報
感情は言葉があり、感覚は言葉が生まれる前の心の反応
「感情から言葉を無くしたら感覚になるのかな」
数枚を描き終えて、そんな思いをもった制作になりました。
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雲の複雑な色合いがとてもいいなと思った空です
1/21にショップに上げる予定です
追記:セッションに行っていろいろ悩む意味が見えてきた
平穏な年末年始を過ごし新しい絵の制作を始めた最近
昨年より自信をもって活動できるのでは?
そう思った矢先にみた悪い夢で「自分の深層心理の声を聞く」
夢診断で見てみると「現在に対する不安」に思い当たる事があった。
急遽、セッションのイベントに参加を決め、予約をとってセッションに行ってきた。
「自分の事は自分が良く知っている」が自分では見る範囲が限られる。
鏡を見て背中が見えない様に、セッションで自身の心の奥や考えを考察するように対話をしてきた。
昨年は準備の年、今年は活動の年
自分では気が付かなかった、考え方と苦手意識に気付き、それを踏まえた
〈伝える方法〉考え直す事に至る。
「自分の制作で伝えたい事」
改めて考える事で違う視点を知る事で、夢を見た本当の理由が分かるかもしれない。
〈夢は脳の整理整頓〉
目的の為にもう少し、あと一歩、踏み出せる制作がしたいなと思います。
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