情熱の絵画~小川佳奈子 個展「裸になってなにが悪いVol.5」~
一年以上振りのアートコンプレックスセンター
(信濃町)
コロナ禍という事もあるけれど、私情であまり自由な時間が取れなかったこともある。今は時間は取れるが気力がない・・人と話す事自体疲れてしまうので仕事以外では外に出ない事にしていた。
小川佳奈子さんとは、2019年の初個展で隣の部屋であった事もある話すようになったのだがとても「情熱的な作風だ」と感じた事から個展には出来るだけ足を運ぶようにしていた。
油絵の表現ではあるけれどマチエールが厚くナイフなどを多用されて画面にほとばしる勢いがある・・というわけではない。塗りこんではあるけれど・・特筆すべきは構図とストーリー性である。
恥ずかしながら脚本学校の基礎科を出ているのですがその時に、昭和予期の映画をよく見ていた事がある。今のような綺麗な画面表現ではないけれど人肌の熱さが感じられる人物の動きとセリフなどが印象的だ。
平面なので台詞などは無いが画面上の人物の配置や構図などが昭和初期の映画を見ている様うな印象を抱くのである。ご本人も映画がお好きとの事であるが、現代的な感性と昭和的な構図やストーリー性が相まってとても新しく斬新で力強い作品群である。
冒頭に戻るが、気力がほぼなくなっている状態でなぜ一年ぶりにギャラリーへ足を運んだのか?
今思うに、画家の情熱に触れたいと直感したからにほかならないと思う。年を重ねてくると多くの経験で時に諦めて覚めてしまう事がある。しかし情熱的に無我夢中で動いていた事もあった事もあるのである。
心身共に燃えカスの様な状態であるが、個展を拝見しやる気と元気と忘れかけた情熱を思い出させてくれたように思う。
今回は作品に合わせて額装をされているとの事。
既存の額にペイントされていたり独自に制作されていたものもあるが、どれも作品にあっていて絵画の為の舞台となっている。余り既存の額の加工を良く思わない私でしたがその感性に脱帽しました。
とてもエネルギッシュで、楽しい世界でした。
会期は今週の~25日(日)までです。
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