詩画集Ⅲ 最果てファントム
永久のすれ違い
幾数年の時の中で思うはただ一つの後悔。
相手の心を思いやる・・その些細な事が出来ずに・・
壊れ逝くその心を知らず。
この命が終わるその刹那まで、知らぬ君に出会うまで。
流れる血を見ながら、意識を無くす寸前に鼓膜へ届いたその言葉は
私を永劫の旅路へといざなう事になる。
自身の亡骸は既になく
埃さえ砂塵の果てに、ただ漂うは永劫の孤独。
「悪霊」という、後悔と懺悔にまみれた罪人のなれの果て
樹
残り香
その香りに君を見る
薔薇の香気にも似たその死臭
腐りかけた乳房の開花
群れ狂う夜の蝶
永久に続く砂塵の彼方
交わり
果たさん
永久の契り
PASSION
盲目なる情熱
無暗に無知に熟したる肢体
手繰り掴み、この腕の中
茨さえも甘美な刺激
網膜の女神
渦中の死神
求めるモノは違えども
孤独の枯渇
求める血潮
蜜
夢路のひとよ
香しい高貴なその唇よ
一息ごとに天に昇り
離れる事の息苦しさよ
蜜の様に淑やかな
甘美なるその一夜
流木
運命というにはあまりにも脆い
激流に流される
永久を願う恋人たち
絡め合う愛情
歪め合う恋情
似て非なるその思いのすれ違い
ただ願う
流される果ての
二人の縁
Pain
激痛の羽化
流れる血潮
手繰り寄せ 思い出せ
愛ある痛み
かの時を
魂の住処
深い闇のその深く
横たわる醜悪なその微笑
愛を乞い
情を捨て
貪りつくした、魂の腐敗
腹から溢れた、麝香の累々
むせかえる香りに
留まる魂魄
エルドラドの残骸
腐るだけの富と権力
黄泉への扉に
出でたつ黒鳥
誰の手で作られたか
愛でる主人はもう居ない
虚空を見つめるその瞳に
写るは愛玩された日々
嗚呼
私利私欲のエルドラド
奪い合い殺し合い
虚しく響く
鎮魂の鐘のひとつ
memories
滴る 情事
枯れ逝く恋情
古城を彷徨う茨の思い出
軋む楼閣
抱く愛情
枯れ逝く花に愛を囁く
絡め合い 歪め合う
思い合い 殺し合う
花開く疑い
すれ違う戸惑い
枯れ逝く極彩
撫でる夢路
永久に交わらぬ
思いのつれずれ
交わる
目隠し
崩れる
fall
愛の世界
誰もいない夢の果て
貴方のいない愛の果て
交わり腐り共に逝く
此処は
最果て
愛の世界
again
懐かしい香りに胸を焦がし
触れ合う体温に涙が触れる
忘れがたきひとよ
天より還りし無垢なるひとよ
抱き合う今に
恋焦がれ
身体を捨て魂を削り
彷徨い続けて悪霊になり果て
求める純潔のその肢体
否
今、気付く
別れる為に再び出会い
その深淵の魂に触れ
かわしたい言葉は溢れるばかりに
我、砂塵に還る
見ず知らずの貴女
私を知らぬその眼
その幸せを願わずにはいられない
愛しい人よ
永久に
さようなら
思い出
心を撫でる
細やかな棘
時おり見せる夢の中の誰か
触れる事のないその腕に
知らず微笑み
涙する
藪の中
あとがき
これで心の澱がなくなりました
2017年「深い森」
2018年「天蓋の鴉」
2019年「最果てファントム」
自分の中では一つの物語として描きたかったので・・。
当時は制作も再開したばかりだったし、手段も手探りでしたし・・
思い立ったこの今に再び見直してみてこの様な形に出来てよかったです。
ご覧いただいた皆様
続けて読んで頂いた皆様
有難うございました
第一弾「深い森」
第二弾「天蓋の鴉」