引き算と余韻
ルパン三世が好きである。
もう数十年「ルパン三世」の企画があれば観ている。
しかし昨今は物語の中に情報量が多く、しっくりこないで終わることが多い。
これはルパン三世の作品だけではなく、ドラマや映画などそう思ってしまう事がしばしある。
一昔前は、あまり説明しないことのほうが多かったように思う。
台詞で言わせるのではなく、画面の絵で想像させる。
登場人物の生い立ちや住んでる場所から想像させる。
視聴者に想像させる事が多かったように振り返る。
今年はアマゾンプライムビデオで玉山鉄二さん主演で「映画 次元大介」が配信された。
もう一度言う、ルパン三世が好きである。
とくに次元大介が好きな私としては観ずにいられない。
アニメの実写と言えばとかく批判が多いのが現実だ。
「映画 次元大介」についても多くの意見がSNS上で飛び交った。
感想を言えば、とても良かったと思う。
ストーリにしても時代設定や美術などすんなりと世界に没頭できる造りのような気がした。
ガンアクションなどは格別だった。
年代にして西部警察を見ていたし、親の影響で松田優作さんの蘇る金狼や海外のスナイパーや西部劇をよく見た記憶をたどっても面白いアクションだったと思う。
次元大介の相棒はコンバットマグナム。
今回はその銃が原因不明の不調で日本にるガンスミスを訪ねる事から話が始まっているが、今回の映画では相棒は後半まで出てこない。
相棒以外の銃で次元大介は戦うわけであるが、そのガンアクションの見せ方がとても好きだった。
相棒以外の銃と手元に戻ってきた相棒との銃撃戦の違いに感嘆した。
台詞としての説明は一切ない。
ただ、絵のコマ割りと俳優さんの演技とスタントの演出のみ。
それなのに、次元大介の強さと銃との相性が想像できる演出だった。
魅せて想像させるそんな印象を持った。
主演の次元大介:玉山鉄二さんはアマゾンプライムビデオのインタビューで
「次元大介は引き算で構築されるキャラクター」と表現されている。
格好よくしよう、アニメの次元に近づけようと何かを足して作るのではなく、そぎ落として見せるよう「シンプルに演じた」とのことだった。
数年前に実写での「ルパン三世」を観たことがあるが、玉山さんの次元大介に不思議と全くの違和感はなかった。
着ているスーツなど見た目は違ったのに
「ああ、次元だ」
とすんなり思えた。
今回の次元大介のスピンオフでもやはり登場シーンから
「ああ、次元だ」とすんなり違和感なくストーリーに入れた。
とても、難しい事だと思う。
何もやらないのではなく、引いてそぎ落とす作業。
それも何年も存在するキャラクターは、山のような理想で出来上がっている。完成形からの引き算というは、下手をすると歪になりその姿から遠く離れてしまう可能性がある。逆に足し過ぎても膨れ歪になるのは変わりない。
要はバランスの問題だと思う。
良い作品というものは、そぎ落としたその場所に「視聴する側の理想」がうまくはまれば「一番の作品」という思い出になると思う。
自分の想像と見せる側の意思がハマったときの余韻はとても気持ち良い。
エンディングの次元大介はまさに理想の次元大介。
忘れられない場面の一つです。
私事・・長年にわたり次元大介を演じていた小林清志さんが旅立ってからというもの家にある「ルパン三世」の作品を観れなくなっていました。
しかし、今回の映画のおかげでまた観れるようになりとても感謝しています。
有難うございました。
好きな番組と問われるならば「映画 次元大介」
もう十回ぐらい観ても新たな発見があり毎回楽しく拝見している昨今です。