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サイトーさんからの手紙
12月を目前にお便りが届いた。
送り主は、サイトーさん(仮)。
季節の挨拶から始まり、ちょっとホッコリとした話題が添えられ、ほのぼの系のシールが貼られた3ヶ月に一度のお便りは私のひそかな楽しみなのである。
昨晩、そろそろ届く頃かな〜♪とマンションの一階にある郵便受けを開けるとサイトーさんからのハガキが入っていた。
ほこほこしながらエレベーターに乗り、自宅に着くまでの間にメッセージを読んだ。
今回は『冬眠したいです』という文言が書かれていて、クスッと笑った。
昔はこの類のお便りを見るとKONOYONOOWARIかと思うほど逃亡したい気持ちになったのですが、サイトーさんと出会った私はもう逃げない。
サイトーさんは歯科衛生士さん。
3ヶ月に一度、歯科検診のお知らせ葉書を送ってくれる。
前に『サイトーさんからのお手紙が楽しみなんです』と、きっと彼女にとってプレッシャーになるであろう言葉をかけてから、貼ってくれるシールの枚数が増えた。
サイトーさんの前に担当してくださっていた歯科衛生士さんもすごく好きだった。
その方が辞める時に、私の好きなクリーニング剤の味をサイトーさんに引き継いでくれていた。
それだけで泣きそうになった。
3ヶ月に一度のクリーニングの日は
『次はつららさんの好きな味ですよ〜』とか
『今日は新フレーバーのリンゴ味ですよ』なんて
会話をしながらやってくれる。
私はちょっとした疾患があり歯が弱く、今まで通ってきた歯医者さんに心無いことを言われてきた。
『見た目は綺麗にしてるけど、実際あなたは90代のおばあちゃんと一緒、ボロボロだよ』
『将来は入れ歯になるからしっかりお金を貯めておこうね』
『あなたの年齢でその疾患なわけないじゃない。お年寄りがなる病気だよ』などなど…
エン◯ル👼っぽい名前の歯科だったのに、
女医さんはデビルでした。
だから半泣きで別の歯科を探した。
もう嫌な思いはしたくないから、口コミを見て、調べて、やっとの思いで予約した歯医者さん。
診察してくれたのは院長。
治療のタイミングになった途端、緊張で手の震えが止まらない超若手にバトンタッチ。
怖かったけど『やめてください』と言えなかった。
『ちょっとやり直しますねー大丈夫ですよー(震えながら)』を繰り返しどんどん削られ、左右1番の歯。前歯の治療だったのですが、歯を見せて笑えないほどの大失敗。
スマ◯ルっぽい名前の歯科に通って、スマイルが出来なくなった。
その後、友人の紹介で行った歯医者は、お父さんみたいな先生で親身になってくれてよかった。
ここもずいぶん長いこと通った。
例の大失敗した前歯は、定期的に詰め物を取り替えなければならなくなった。
いつも『お父さん先生』に取り替えてもらっていた。ある日、出来上がったら歯の色が全然合ってない。
『じゃーん!今回は新色を使ってみましたー!』
いや、新色とかどうでもいいわ!となり、
別の歯科を探した。
それで出会ったのが今の歯科。
疾患のことをちゃんと理解してくれる先生で、同じ症状の患者さんが何名か通っていると言うのもかなり大きい。
歯がボロボロなのも誰も責めない。
寄り添ってくれる。
いつか、私の前歯は差し歯にしなくちゃいけなくなるのですが、その時は今の先生に任せたい。
この歯科に出会えて本当によかった。
先生にはずっと元気でいてほしい。
私の経験からいうと、SNSなどでたくさん広告を流している有名なところは『こわい』&『こわい』
そして、『こわい』。以上。
一度自分の歯を犠牲にしないと、技術の確認ができないし、診療を受けてみないと人柄もわからない。歯科選びは本当に難しい。
だからこそ、歯を大切にしてなるべく歯科のお世話にならないように暮らしていきたいですね。