アイソトープ治療その3 治療後の経過 | バセドウ病体験談#12
治療後の経過
もともと数値が安定しないタイプだった、私のバセドウ病。
アイソトープ後も数値が安定せず、2018年11月に治療をして、断薬にたどり着いたのは2022年6月でした。
ちょっと細かいですが、治療後1年のTRAb推移です。
TRAbの基準値は2.0未満(IU/L)ですが、2018年の夏に再発しているためもともと高値で、2018年11月の治療当日では8.7でした。
アイソトープ治療前のメルカゾール服薬禁止期間にまた再発、3月には10.1まで悪化。そこからはゆるやかに下がり、約1年後の2019年11月には5.9まで下がりましたが基準値には届かず。
そこからずっとTRAbが下がりきらず、断薬になった2022年現在も基準値内には収まっていません。
そんな不安定な経過ですが、順を追ってお話ししたいと思います。
2週間後に体調が悪化
インターネットでアイソトープ治療について調べていた時、治療から2週間後に数値が悪化するケースがあるということを見かけました。主治医からは特に何も聞いていなかったため、そのようなケースがあるのか聞いてみたところ「そういうこともあるかもしれないが、人それぞれなので何とも言えない」とのこと。
結果として、私は2週間後に酷く体調が悪化。今まで体験したバセドウ病の症状が短期間で嵐のようにやってきて、嵐のように去っていった感じでした。
前もって悪化の可能性を知っていなければ、かなり焦って不安になったと思います。きっと主治医としては、不明確なことは患者に伝えられないというスタンスだったのでしょう。
ネットの情報は不確かなものが多いので鵜呑みにするのは危険ですが、今回は非常に助けられました。
きっと2週間後の悪化だなと分かっていたので「バセドウ病の症状がみんなでお別れ言いに来たみたい」と冗談を言いながら過ごしていました。例えるなら、舞台の最後に役者さんが手を繋いで全員出てくる演出のようなもの。動悸さん、抜け毛さん、疲労感さん、その他大勢の皆さん、さようなら!という感じでした。
1年経っても不安定な日々にがっかり
インターネットの情報をみていると、アイソトープ治療をすれば徐々に低下症傾向になり、約1年後には安定するという情報が多いように思います。
冒頭でもお伝えした通り、私の場合は1年経ってもTRAbの数値が下がりきらず、メルカゾール卒業の夢は叶いませんでした。治療後どのくらいの期間で数値が安定するかは人によって違うのです。
1年経てば元気になると勝手に信じていたので、これはかなりショックでした。私の場合は、アイソトープ治療にあたりメルカゾール断薬をした際に再発したのが響いたのかもしれません。主治医としても「再発の経緯があるからメルカゾールは慎重に減らしましょう」という治療方針でした。
パニック障害やうつ状態の症状があり心療内科にも通っていましたが、心療内科の先生も「まずはバセドウ病の数値が安定することが一番ですね」と毎回のように仰っていました。心療内科の先生は甲状腺疾患にも詳しく、バセドウ病の血液検査の結果も毎回確認してくれました。
甲状腺疾患が心の病気に深く関わっているのを考慮してもらえるのは、当時の私にとってありがたいことでした。
眼科の定期検査は無事に卒業!
私の通っている伊藤病院では、アイソトープ治療後はオリンピア眼科で定期的に検査を受けることになっていました。わずかな確率ですが、アイソトープ治療によりバセドウ病眼症(甲状腺眼症)が悪化する恐れがあるためです。
眼科でも血液検査を行い、TSAbの値のみ調べました。こちらも基準値には届かず高値でしたが、アイソトープ後は高値になるものなので眼症の自覚症状がなければ問題なしとのことでした。
眼科では血液検査のほかに、視力検査、眼圧検査などの基本的なものから、目の写真をあらゆる角度から撮影して異常がないか調べたりもします。一通り検査が終わると診察です。
私は眼症の方は問題なしだったので、1年後には定期検査の必要はありませんと言われました。眼科を卒業できたのは嬉しかったです。
転院、そして絶望…
しばらくは、メルカゾールとチラーヂンの両方を服用して調整する時期が続きました。
メルカゾールとチラーヂンは真逆の作用を持つ薬ですが、一緒に飲むのはよくあることのようです。
でも、専門外の医師からするととても不思議なことのようで、近所の内科では「真逆の薬なのに一緒に飲むんだね」と不思議な顔をされることも。
やっぱり専門医でないとバセドウ病の治療ってわからないものなんだなあ、と実感した瞬間でもありました。
それから引越しやコロナの流行なども相まって、伊藤病院から近所の病院に転院しました。
伊藤病院では主治医との相性があまりよくなかったのですが、新しい主治医はバセドウ病以外のことも一緒になって考えてくださる先生でした。
ですが初診の時に「アイソトープの量が足りなかったのかもしれません。」「メルカゾールはずっと飲み続けることになるかもしれませんね。そういう方もたくさんいます」と言われ、雷に打たれたようなショックを受けました。
転院前は全くそんな話を聞かなかったので、なんで私はアイソトープをしてしまったんだろう、だったらしなくてもよかったのでは…と酷く落ち込みました。
メルカゾールからヨウ化カリウム丸へ
主治医からはバセドウ病以外にも線維筋痛症などの疑いを伝えられていたところに、コロナ後遺症が重なりました。
2019年に仕事を辞めて以降、寝たきりの生活が続いて、やっと回復してきた2021年に再び寝たきりの生活に逆戻り。
徐々に、西洋の薬は強すぎて体が受け付けなくなっていました。
そんな折に出会ったのが漢方薬局さんで、西洋の薬から漢方による治療に切り替えていきました。
当時に私には、漢方がとても合っていたのです。
中医学は西洋医学と根本から理論が異なっていました。毎回1時間近くカウンセリングというか、中医学の講義をしてくださるのですが、その度に目から鱗がぽろぽろ。
もともと中国の思想が好きで、大学では中国文学を専攻していたくらいなので、楽しくて楽しくて仕方がありませんでした。
そして「もう私にはメルカゾール必要ないかも」と思い、主治医に相談して、メルカゾールからヨウ化カリウム丸に切り替えたのでした。
ヨウ化カリウム丸はメルカゾールのような薬とはちょっと違う性質で、単純にヨウ素を補給するようなイメージです。
とにかく試しにやってみて、ダメだったらメルカゾールに戻す、ということになりました。
それからしばらく服用を続けて、TRAbは下がりきらないもののその他の数値が安定してきたので無事に断薬となりました。
断薬が新しいステップのように感じられて、数値は落ち着いていなくても、やっぱり少し嬉しかったのを覚えています。
TRAbが下がらないのに安定って?
ここでひとつ疑問が。
TRAbが下がりきってないので本来ならば亢進状態になるはずですが、その他の数値は薬で抑えていないにもかかわらず、低下症寄りを維持しています。
そもそも寛解したなら、TRAbも下がりきった上で他の数値が落ち着くはず。
私は何度も再発を繰り返していますが、今までの寛解は少なくともそうでした。
…はて??
主治医の先生が仰るには「体の中で亢進状態と、それを抑える作用が一緒に発生していて、バランスをとっている状態かもしれない」とのこと。
火事は起きてるけど消火活動も一緒にしているので、見た目には落ち着いて見える、みたいな感じです。
本来ならば火事(亢進状態)に対する消火活動は薬で行いますが、薬がなくても体の中で勝手にそういうことが起きているわけですね。
バセドウ病歴は長いですが、そういう状態が存在することを初めて知って、とても勉強になりました。
ちなみに、そういう状態を明らかにする検査は保険適用の一般的な検査では行っていないものの存在するのだそう。大学病院などの研究機関で特殊に行われる検査なのかもしれませんね。
さいごに
3回に渡りアイソトープに関することをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
私の体験談が何か少しでも参考になれば幸いです。
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アイソトープ治療の体験談は「その1」「その2」「その3」に分かれています。ぜひこちらの記事もご参考ください。
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バセドウ病体験談の記事まとめ↓
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