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第20回名古屋市手話研修フォーラムに参加しました

日時 11月12日(日)13:00〜16:00

場所 名身連聴覚言語障害者情報文化センター
こちらに参加してきました。
参加のきっかけは、会場になっている名身連福祉センターで手話の勉強をしているからです。(略称がまちまちなのですが、行政の掲載時でもまちまちです。”めいしんれんちょうげんセンター”が一番使われているかなと)
手話関連の発表会なら参加したことがありましたが、ファーラムは初参加です。

なぜ手話を勉強しているの?

これに関して先に表記しておきます。
私はまだまだ初心者レベルですが手話を勉強しています。

直接的なきっかけは
コロナ禍によりzoomによる手話教室が開講されていたことです。
主催が名身連聴言センターでした。zoomでの経験は勉強になる部分が多く、もっと勉強しようと思い、オフラインで直接学ぶ、手話奉仕員の教室に通っています。

動機的なきっかけは
正直に話せば・・・とあるゲームで耳の聞こえない魅力的なキャラクターがいて、筆談しかできないキャラでしたが、そんな人も現実世界にはいるんだなと知ったことが一番初めです。苦労すること、どんな心情でいるのか、もちろんフィクションですが色々と考えさせられました。

そして、自分が人生で成し遂げたい目標があり、それに近付くためにそれを達成するのに、誰かを置いてきぼりにしたくないという思いが強く
少なくとも手話を使えたら、今よりもたくさんの人の役に立てるし関わっていけるはずだと考えたからです。
点字を勉強するか迷っていましたが、上記の通りzoomでの講座がたまたま目についたので先に手話を始めました。

教室での勉強は、感情表現が元から不得意な自分には難しいしうまくいかないことがほとんどです。
ですが、ここで恥をかいたからやめて、その先の未来で関われたはずの人の力になれずに後悔するのはもっと嫌です。
私のルーツはそのうち書くでしょうが、一言で表現するなら諦めが悪いので頑張っています。

公演題材 講師

日本手話と日本語対応の手話の違いは…
関西学院大学 手話言語センター 主任研究員 前川和美さん

※写真撮影、動画撮影は禁止だったので文章のみです。
表紙の画像はAI生成したので若干心霊現象が発生しております。

流れ

会の紹介→役員の自己紹介→名古屋市の手話通訳合格者の表彰→公演
 公演の具体的な内容
聴覚の話、言語の話、文化の話→実例の紹介
→日本手話、日本語対応の手話との違い

サマリー

音の聞こえない、聞こえにくい人たちのことを、昔は聴覚障害という、どちらかというとマイナスのイメージの表現しかなかったが、ろう文化というものが宣言されてどう変わったか。
日本で使われている手話には大きく2種類あってその違いについて説明。
ろう者との関わりについて実例で解説。

会の紹介

これは事前のプログラムに書いていなくて、それも話すんだと思ったのですが
名古屋市聴言障害者教会
こちらの方々の会長と副会長の方が挨拶をされました。

ろうの方々と関わったことがある人でないと理解が難しいかもしれませんが、手話に関しては歴史的に地理的に教え方や使い方がたくさん変化してきています。
長いスパンではなく、人の一生の長さの単位で変化が起きています。
要するに、世代と地域によって教育が全く異なるわけです。
この話を書いていくと長いですし、逸れてしまうのでこの辺りで。

会長副会長は口話を使われる世代でした。手話に対して口を連動させて発声もつけて話されていました。
ろう者に対して聴者という表現をしますが、おそらくその方は初見では、何をいってるのか分からなくてびっくりしてしまうと思います。
うまく話せないんだなと、おそらく感じると思います。名古屋市出身の自分は小学校の段階で地域のろうの方との交流会があったので、そこでそう感じたことがあります。
慣れてくると何を話しているか分かるようになります。

勘違いしないで欲しいのが、否定したり貶したりしたいわけではなく
正直にどう感じたのか、それからどう変化したのか、その素晴らしさや可能性を読んでいる方に伝えたくて書いています。

一方、手話を学んだことのある人の目線になると
実にわかりやすいです。何を話しているのか、手話でわからない単語の意味を予測したり口の形や発声からほとんどわかるので、〜を話しているんだなと理解できます。

というわけでお二人とも何を話されているのか理解ができました。おそらく手話だけの表現になると、今の私の実力では細かい単語が分からなくて、表情と表現から方向性だけは読み取れても、細かい意味は勘違いしてしまうかなと。

そして手話通訳の資格試験の合格者の表彰がありました。
これは勉強している身からするとすごいなの一言です。
試験自体も勉強すること自体も難しいと思います。日常的に触れていることが難しいので(近親者や親しい人にいない場合は特に)継続的な勉強をしながら実力を上げていき、それを保っていくことに努力が必要なことがよくわかります。

そして本編です。

言語としての手話

講師の前川さんは大学で勤務されているからなのか、発表がアカデミックでした。おそらく学術的な立場で講義をするときには決まった文法や望ましいストーリー手順があります。
話の構成がとてもよくまとまっていて、分かりやすかったです。たくさんの勉強会に参加させてもらっていますが、その中でもプレゼンのうまさを感じました。
もちろん手話にて表現されています。
題名にもなっている日本手話です。こちらは口話はほとんどなしで、表情や強弱や位置関係を考慮して意味が変わってきます。

サマリーで書いたように
以前の日本では、例えば医学的な観点から聴覚が基準となる値を満たしていないので障害と表現されてきました。
なので基本方針として治療を行うだったり、聞こえる人に合わせて生活できるように教育方針が組まれていたりしました。
その流れを一新するかのような主張がろう宣言でした。手話を文化的なコミュニケーション手段として、権利をきちんと主張するようになったわけです。

海外と日本ではまた扱いが異なっており、講師の前川さんは宣言に出会ったのが95年だったそうで、当時の日本ではろうの方たちからの反対の動きが強く受け入れられるのに時間を要したそうです。
この辺り?と思われたかもしれませんが、そこまでの常識として設定されきた文化の流れと、おそらく文章で明文化させた主張の難しさが要因としてあるのではないかなと考えました。

文化の話

次は前川さんの感じた文化の違いの話を聞かせてもらいました
この分野に関しては手話教室の先生にも教えてもらっていることが多いです。
今までは発信できなかったのでこれからはできるだけ投稿するようにします。

報告する文化と察する文化
社会的な構造、というか高度成長期のやることが決まってて効率こそ求めるものって文化も多大に影響してそうなのですが・・・
一般社会の察する文化、というのが聴者の文化にはあります。
これに対してろう者は報告を細かいところまで全てするという文化があります。
これがすれ違い勘違いを生むという話をされました。

・例えば 状況は手話教室
教室に遅刻してきた生徒がいたとしたら
どうして遅刻してきたの?と聞くとします

生徒は道が混んでいたり予定がずれて遅くなったのですが、それは言い訳だったり重要ではない言わなくていいと考えてすみませんと謝罪だけします。
先生は、理由を知りたいので一方的に謝られると何か悪いことを生徒がしたのか、なぜ謝っているのか、と考えるそうです。

場面によっては理由が大事だったり正直に話す人もいると思うのであくまで一例ですが、ろう者文化だと理由を正確に伝えるそうです。
意思疎通の勘違いが起きないようにするためだそうです。

・例えば 家を出たところ近所の方に出会った状況
おはようございます、こんにちは、こんばんは
挨拶の後にどこかお出かけですか?と聞くとします。

これに対して、ちょっとその辺りに、なんとなくです
みたいに答えるのが聴者。
目的があるので、スーパーにだったり百貨店だったりコンビニだったり場所まで答えるのがろう者。
このような話も伺いました。

社交辞令であって相手がそこまでいらないって考えで、あえて話さない人も多いと思うのですが
知っておくと、手話を勉強し始めて重要にするべき箇所について理解が深まります。

実例の紹介

他にも端的にエピソードを紹介されていました
この辺りの話はアイデア出しだったり発想の柔軟性にも活かせるのかなと感じたので覚えている限りで書きます。

聴者 そろそろ休憩しましょう?お茶でも飲みませんか?
ろう者 お茶ですか?
→これは例えばコーヒーが飲みたいなーと感じるそうなので、具体的な飲み物まで具体的にした方が良いらしい。

ろう者 飲みに行こう
聴者 仕事なので→これは仕事だから遅れるのか参加できないのか分からないので結局どうするかまでつけて欲しいそうです。

聴者 (部屋が)暑いね
ろう者 そうだね
→これは察して空調の調整や飲み物は出せないという説明でした。冷房つけて欲しいなどど言って欲しいそうです。
これは自分もそんな反応してしまうので遠回しに言わなくていいよ、とは思っています。

聴者 9時10分前に集合ね
ろう者 9時7、8分くらいに集合なんだな
→これは有名な例です。おそらくみなさん8時50分目安に集合なんだなと考えると思います。
ですがあくまで意味だけ解釈をすると9時10分の前、になるので数分前になるわけです。
9時には揃っておきたいと考えての聴者発言だなとわかるには察さないといけないので、これで集合できないことがよく起きるそうです。

面接にて
聴者 うちにはもったいない(要するに体よく断りたい)
ろう者 そんなことないです。大丈夫です。(表現の通りに受け取ってしまう)
これは聴者でもそう思ってしまうのではと感じました。表現だったり補足をつけたりするのも大事なのだなと考えさせられます。

あと、他の書籍でも見ましたし、聞きました。
好きという表現。
ろう者は恋愛感情の好きしか基本的に考えないそうなので
友達や好感度があるよって意味で安易に相手のことを好きと表現すると勘違いが生まれるそうです。
ここに例として挙げたものは文化による違いなので、他にも海外だったり違った地域の組織ではそこでの文化がまた別にあります。そこを考えてお互いに理解していきたいところです。

日本手話と日本語対応の手話

そしてこちらの題材です。

少し自分で知っている範囲の両者の違いについて
手話は少し前に流行ったので映像作品で見たことあるよって人もいるかと思います。ドラマではsilent、星降る夜に。映画ではコーダあいのうた。世間で注目されていく中、実は日本で使われている手話は主に2種類あるよ、という話です。
コーダは海外の作品だしリメイクだよってツッコミはいいです。

手話に関してはろう者独自に使ってきた表現や文化を元にした日本手話と、日本語としての互換性を考えて構成してある日本語対応手話とあります。
日本手話は文法は決まっていても、おそらく決まりきった単語表現がなくて(日本手話の地域による表現の差がかなりあります)
日本語対応手話はできるだけ統一した表現をするし日本語の文法からすると理解しやすいけど、ろう者に通じない状況になったりします。
なんでって思われるかもしれませんが、言語として2種類あるので両方わかる人と片方しかわからない人といるわけです。

今回は、その2種類の手話はどう違うのか新しい切り口で紹介してもらえました。
それはズバリ
線上性か同時性か、です。

線上性というのは音声日本語の方、要するに日本語対応の方です。
手での表現で音を並べるようにします。

同時性というのは日本手話の方。
手、顔、体、それぞれ同時に表現をします。

具体的な例文は
「私は必死に勉強したので合格しました」
これでした。

対応手話の場合
私 は 必死 勉強 〜から 合格 した
細かいところは違うかもしれませんがイメージとしてはこのような感じで、ほとんど日本語の文章そのままに感じると思います。

日本手話の場合
私 必死 合格
  勉強 ぱ(完了)
このようになります

どういうことか解説をすると、日本手話では手と同時に顔や肩の動作で意味を変化させています。
時間として短いけど、代わりに同時に見ないといけない箇所が増える感じです。

細かい意味とか解説はまた逸れるのですが、この特徴をわかりやすく説明してくれました。
自分が説明する際は、同時性ではなく、手の動きが同じでも付随する表現法によって意味が変化するよ、と言っていました。
今回教えてもらった同時性は分かりやすいので参考にして今後説明できたらなと思います!

学んだこと、感想

今回、講演後に講師との懇親会という企画があり
そちらも参加予定にしていました。手話は勉強していますが、ろうの方との交流は教室以外に全くなく、食事はどのようにしているのか、どのような会話をするのか、動作の違い、集団時の行動はどうしているのか、例えば飲食店で困ることはなんだろうと、色々と知らないことを知りたかったです。

しかし、残念ながら懇親会は中止になりました。予定の関係で難しくなったそうです。
なので学んだこととしては講演の流れと会場に来られていた方達の動き方でしょうか。
講演の30分前に開場で、15分前に受付をしにいきました。
驚いたのが、この時点で事前予約して受付していないのが自分だけでした。
そこまで遅く行ったわけではなかったのですが、みんな早いんだなと思いました。

あとは事務手続きに関しても
文章がおかしかったり、対応が常識的ではないなと感じてしまった部分があったのですが、おそらく文化的な違いがあると思います。
ここはまた勉強を続けて、こうだなと分かった時点で書いていきたいです。

あと世代として全体的に自分よりは上だなという方がほとんどで
3人組っぽい大学生がいたことにも驚きました。
その子がインクルーシブ教育とろう者との関係性に関しての論文を書くのに悩んでいる質問もされていました。

哲学的な論理思考に近いのですが、その問題や要素を掘っていくと、悩まれている箇所はちょっと本質とはずれていて、悩んでいる箇所の問題の解決策と活動すべき問題は別なのではないかなと
それを手話で説明する自信がなかったので発言はせず、話しかけもしませんでした。
この辺、英語に自信ないから海外の人に対して会話ができない、に近いので要改善です。

説明する段階で、かなり通じるのかなという不安な表情をされていたのが印象的でした。
どこの大学って話はされていませんでしたが、言語の数が文章だったり音声の方が多いので、そちらではニュアンスが伝えられるけど手話では難しいという気持ちが出てたのかもと思いました。

その年齢でこうしたいって決められている子は応援したいけど世の中を変えるのに必要な要素も実力もまだまだで、毎回毎回の反省を力に変えて日々精進していきます。

最後に

手話って勉強してみると新しい発見があったり自分に必要なことが分かったりします。面白いので興味があれば教室など通ってみてはいかがでしょうか。
手話奉仕員の講座、って検索すると地域の行政主体の募集ページがあるはずなので通える距離のものがあれば!

貴重な聴講の機会をありがとうございました。

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noteでは日々学んだことをまとめていますが、読書や勉強会の参加を仕事にしており、時間のない経営者向けに代行でこなしています。
その時々によって提供する速さや内容が変わるので詳しいことは要相談なのですが、興味があれば以下に連絡をいただけると嬉しいです。

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