行政書士試験対策~記述から始める法学試験入門(1)
本連載では行政書士試験の記述問題対策・・・というより、
記述問題への対応を学び、基本的な法的思考を学んだうえで、
短答対策をしていこうという従来とは逆の発想による内容です。
従って、法学の学習経験がない人やいまいち行政書士試験やビジネス法務
実務検定(1級~3級)の得点が伸び悩んでいる人にも有用かと思います。
私はnoteは初心者ですが、行政書士試験は合格している者です。
記述が得意だったので、このような試みを行いたいと思います。
とはいえ、家事育児をこなしつつなので、本質を捉え、ポイントを絞って
5回ぐらいでまとめ上げたいと思います。
皆様のヒントになることがあれば幸いです。
事例概要
AはBに対してA所有の甲建物を3,000万円で売ることを依頼した。
Bはこれに同意した。甲不動産はいつB所有になるか。
今日のポイント~要件と効果と法的根拠
さて、事例を見て以下のように考えた人は短答癖、あるいは法的な思考で
解くということが怪しい人かもしれません。
① AB間は売買だから、契約時だ!
② AB間の登記に関する情報がないな・・・
③ 普通に考えればBが同意したときじゃない?
今回のテーマは
法学の基本となる要件と効果、そして法的根拠について
です。
講義:法的思考① 条文を分解する
法学のスタートはまず条文です。
そのため、まずはポケット六法でもデイリー六法でもよいので、
六法を開きます。
そうですね、まずは民法という法律の555条を開いてみて下さい。
(民法555条)
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、
相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、
その効力を生ずる。
さて、条文を見たら、条文を分解します。
どう分解するかというと、「要件」と「効果」に分解します。
「要件」とは、必「要」な条「件」ぐらいに思っていてください。
どういう場合にその条文が使えるのか?という部分です。
例えば、先の民法555条は・・・
(民法555条)
売買は、
① 当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、
② 相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、
その効力を生ずる。
上記①、②が要件に当たる部分です。どういう場合?と考えると良い
でしょう。
次に「効果」ですが、この重要性はまだ実感できないと思いますので、
一旦は「効果」とは要件を満たしたときにどうなるか?ぐらいで抑えて
おいてください。
先の例では、
(民法555条)
売買は、
当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、
相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、
その効力を生ずる。
要件以外の部分ですね。売買はその効力を生ずる。
つまり民法555条は、売買契約というものがどんなときに成立するかを
示した条文だといえます。
このように、まずは条文を要件と効果に分解する。
法学の最初の学習はここから始まります。
実践:法的思考① 条文を分解する
え?そんなん分かってるって?
問題みりゃこんなの売買だってわかるだろ?って?
では、先ほどの問題に移りましょう。
(事例再掲)
AはBに対してA所有の甲建物を3,000万円で売ることを依頼した。
Bはこれに同意した。甲不動産はいつB所有になるか。
おそらくそう考えた人は問題文の太字部分、「売ること」と書いてあるから
売買契約だと感じたかと思います。でもそれは安直、というよりトーシロ。
法律の専門家になるならきちんと「法的根拠」を示してください。
つまり、なぜ売買契約が成立するといえるのか?という部分が説明できるかがポイントになります。
(事例に対する説明)
AとBの間には売買契約が成立している。
その理由について以下説明する。
民法555条においては、その要件として、
① 当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約すること。
② 相手方がこれに対してその代金を支払うことを約すること。
が求められている。
本件では、①当事者の一方であるAが、財産権たるA所有の不動産の所有権を相手方であるBに移転することを依頼しており、②相手方であるBは、その依頼に対して代金である3,000万円を支払うことを同意したのであるから、
要件①、②を満たしており、民法555条に基づいてAB間には売買契約が成立しているといえる。
ほら、専門家っぽいでしょ?
私が思うに一般人と専門家の違いはこの説明にあると思うのです。
医師だろうが、弁護士だろうが、その理由が説明できて初めて専門家です。
きちんと専門家としての思考で動ける人になりましょうね。
今日のまとめ
意外と書き始めると大変だと思い知ったので、今日はここまで。
ポイントをまとめます。
(今日のポイント)
① 法律学習のスタートは条文から始まる。
② 条文は「要件」と「効果」にわける。
③ 事例は法的根拠を示す。
また、今回の中で不明確な点があるかと思います。
これは課題として(そして私の備忘録として)、解説しますので、
楽しみにしていてください。
(今日の課題)
① なぜあの事例で民法「555」条という数値に気づけたのか?
② 法的思考②以降の話
③ 説明をあんなにすらすら書けるものなのか?
④ 行政書士試験ではあんなに文字書けないゾっ
⑤ 判例、ねぇ!判例は!!
書いてほしいこと募集中
行政書士試験や法学を初めて学んでいて困ること。
そのほか、幅広く疑問等があれば記事でも取り上げたいと思いますので、
気軽にコメントやいいねいただけると幸いです。
では、お疲れさまでした! ^^) _旦~~