第127回 美術館の役割
1、西洋美術館で奇妙な冒険
NHKの「探検バクモン」8月29日放送回で国立西洋美術館の探検ツアーという企画をやっていました。
ゲストが敬愛する漫画家、荒木飛呂彦さんだったこともあり、録画して本日鑑賞しました。
2、実業家の想いと戦後政治家の矜持
西洋美術館はル・コルビュジエという世界的な建築家が設計したことで知られ、ヨーロッパの6カ国に散らばる建築物とともに世界遺産に認定されています。
その収蔵品の大部分は川崎造船所の社長などを歴任した実業家、松方幸次郎が集めたコレクションの一部で、
第二次世界大戦後にフランス政府に接収されたものの、個人の財産は所有者に返還されるとの考え方から、戦後に一部を除いて「寄贈返還」された、という経緯があるようです。
これには吉田茂ら当時の政治家の尽力があったことと思います。
モネの「睡蓮」をはじめ、ルノワールやゴーギャン、ロダンなど美術史で語られるような巨匠の作品が目白押しです。
番組の中で、松方氏の
日本人に一流の芸術品を見せたい、という思いが語られていましたが、その志が今も受け継がれていると思うと感慨深いですね。
3、西洋美術は異質だからこそ価値がある
また番組では、学芸員の方から美術館の役割について語られる場面もありました。
西洋美術に表出されている西洋文化を理解しようとすることは異文化を理解する助けになる。
素晴らしい考え方です。
多様化を認め合うことが大事になってくるこれらかの時代に、その役割はさらに増していくことと思います。
専門とは縁遠いためか、西洋美術館には学生時代に一度訪れたきりですが、いつかまた訪ねてみたいと思います。