第189回 次の次がどうなるかが重要だ
1、次の日本代表決まる
また世界遺産関係のニュースが入ってきました。
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄両県)を、世界自然遺産の候補として国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)に再推薦することを決めたと発表した。
とのことで、先日のnoteでも触れた玉陵の国宝指定に続いて、沖縄県の文化財に明るいニュースが続いています。
登録なるかどうかは、これからですが、対象となった島々に残された貴重な自然が、注目され保存されていく原動力になってくれることを願っています。
2、世界遺産登録推薦の光と陰
一方で、今後一つの国から推薦できるのが1件だけになったことから、
同じく推薦を目指していた
「北海道・北東北の縄文遺跡群」
は来年度以降に見送られたことになります。
報道によると、地元からは落胆の声が上がっているようですが、関係者は
準備期間が一年与えられた
と前向きに捉える声もあがっているようです。
実際近年の世界遺産登録は難易度が上がっています。
昨日のnoteでも触れた平泉においても、浄土思想と関連する文化財群の位置付けを指摘されたり、
潜伏キリシタンにしても、当初は近世から現在にまでの信仰形態を射程にしていましたが、「潜伏」という特異な状況であった時期に絞って価値を明確にした経緯があります。
3、価値の証明
今回の縄文文化はどうか、というと
青函海峡を挟んで広がる豊かな文化があったことは間違いありませんし、三内丸山遺跡の集落で明らかになった考古学的事実は目を見張るものがあります。
それでも世界的に見て顕著な普遍的価値を有しているかというと、個人的には疑問が残ります。
ちなみに世界遺産の登録基準として挙げられるものは10件ほどあります。少し長いのですが引用すると、
(1) 人類の創造的才能を表現する傑作
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
(5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。
(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの。
(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。
となります。
ただし、これは度々議論が繰り返されて出来上がってきたものですし、複数の要件を組み合わせて評価がなされることが多いようです。
縄文文化がどれを要件にしているか、わかりますか?
日本国内においても縄文文化の素晴らしさをどれだけ認知されているでしょうか。
我らがミヤギも、霞ヶ浦沿岸も、東京湾も貝塚密集地としてしられていますし、
火焔土器で名高い新潟も、黒曜石の産地で知られる長野も縄文文化を語る上では欠かせない地域です。
これらと比して北東北・北海道の縄文文化がどう優れているのか、という説明はもう少し磨き上げることが必要なのではないでしょうか。
議論が盛り上がることで縄文文化の素晴らしさが認知されていくと嬉しいですね。
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