第213回 社会貢献と歴史

1、 一見すると良いことかな

長野県は長野市松代に佐久間象山やその弟子たち、松代藩主の真田幸貫など7名の銅像が新しく建てられたとの報道がありました。

AOKIグループ創業60周年を記念した社会貢献活動の一環として行われた事業で、銅像を建てることで、今の時代を生きる人々が将来の日本のあり方を考えるきっかけになれば

との趣旨だったようで、それ自体は素晴らしい思想で文句はないのですが

なんともモヤモヤしたのでnoteで思考を整理したいと思います。

2、銅像になるほどの人物

佐久間象山は幕末の思想家で、備前の山田方谷と並び称され、多くの志士に影響を与えました。

吉田松陰や勝海舟、橋本左内に長岡の河井継之助、会津の山本覚馬、坂本龍馬などがよく知られています。

伝統的学問に精通しつつも、西洋の技術を学び大砲の鋳造に成功するなど実践にも取り組んでいました。

その開明的な思想から維新志士から狙われ、最期は京都で暗殺されてしまいます。ただ彼を切った河上彦斎は幕末四代人斬りとまで言われて恐れられていた程の人物でしたが、象山の事績を後に知って後悔し、人斬りを辞めてしまったとも言われています。

志半ばで散ったとは言え、弟子達が成し遂げた功績の大きさから高く評価され、創作の世界でも魅力的に描かれることが多い印象です。

これだけみても郷土の偉人として顕彰されることには何の異論もないことは言うまでもありません。

3、ここにも現場と決定権者の意識乖離が

モヤモヤしたのは、一民間企業が、社会貢献の一環として実施した、という点。

結論としては、もっと有効な社会貢献のあり方があったのではないかということ。

銅像1基建立するのにどれだけの費用がかかるかわかりませんが、7基となると安くはないことでしょう。

そのお金があったら教育に福祉にと使うことができるのではないでしょうか。

今年全国で話題になった小学校の教室にクーラーを設置することや、給食費無償化、子ども食堂の実施などに使えるような形での寄付はできなかったのでしょうか。

うちの町の内情で恐縮ですが、傷んだ文化財の補修の予算がなかなか付かなくて、民間の助成金にダメ元で応募しようとしています。

企業の本業に絡めるのであれば、苦学生向けにリクルートスーツの支援をした方が企業イメージが向上することは間違いないでしょう。

現場の実情を知って支援のパッケージングをする一方で、社会貢献したい企業や富裕層に情報を届けることのできるコーディネータ的な組織が必要なのではないでしょうか。

だれか一緒にやりませんか。

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