第107回 今あるものを大事にする
1、お盆はきっと親族関係の確認儀礼
みなさん、今年もお盆がやってきましたね。
普段カレンダー通りの勤務の私ですが、明日15日はお休みをいただいて、家族で実家に帰ってきました。
弟たちも帰省し、子ども達も従兄弟が集まった嬉しさではしゃぎすぎたせいか、なかなか寝付いてくれませんでした。
それでも、自分たちが子どもの時のようで懐かしさを感じることしきりです。
2、中世の武士もかくありなん
中世の歴史の本を読んでいると、武士たちが日本の各地に領地をもらっていることがわかります。
当初は現地の有力者を代官として、土地からの収益だけ得ていましたが、次第に当主の弟など分家として別れて領主として現地に住むことようになります。
例えば、武田信玄で有名な甲斐源氏武田氏は、今の山梨県を本拠地にしていますが、安芸国(現在の広島県)や若狭国(現在の福井県)にも分家として戦国時代まで続いていました。
当初は「いざ鎌倉」というように一大事があって召集がかかれば、本家の当主の下に馳せ参じて一体的な軍事行動をしたのでしょうが、次第に状況が変わってきます。
南北朝時代、観応の擾乱など武家が二手に別れて離合集散を繰り返すようになると、一族が敵味方になることも多くなってきます。むしろ当主の座を狙ってあえて敵方につくようなことが頻繁にあります。
そんな一族も最初は仲睦まじい関係だったんだろうな、とか考えてしまいます。遠く離れた領地に別れる夜の盃は和歌を詠んだりして(鎌倉武士はけっこう教養なかったようですが)、涙の別れだったのではないかと想像してしまいます。
きっと有事の際は助け合うのが一族だ、困った時は頼っていいんだよ、とか言いながら。
そんな関係も世代を経て、愛着が薄くなってしまう、そんなこと当たり前ですけどね。なんだか少しセンチメンタルです。
3、気を抜くと失われてしまうようなモノ
私の住む地域ではお盆にも家族揃ってお墓詣りをします。9月のお彼岸と近いのにね。
本家的なとこにも顔を出して、次々お客が来るのであまり迷惑をかけないようにと長居しないで帰る。
そんな関係が当たり前になっている家なので、昔から農家ですが中世武士の世界もこうだったのかなぁ、と思いながら毎年同じような他愛もない話に相槌を打ちます。
お盆休みはいつまでなのか
とか
仕事暑くて大変だね
とか
子ども大きくなったね
とか
日本人が何百年も行って来た親戚付き合いの形だと思うとなんとも愛おしい。
代替わりしても続けていければと思う。