第47回注目の取り組み〜縄文土器文様と古墳クッション〜
1、導入
縄文土器の文様のオープンデータ化
というぱっと見でよくわかない記事がありました。
気になって発信元の自治体のHPも確認しました。
要は
縄文土器に描かれた文様について図化したものをWebで公開しますのでどんどん使ってくださいね。
営利目的でも申請してくれればOKですよ。
ということみたいです。
これまでにない取り組み、ということで注目されています。
2、デザインは誰のもの?
気になったことがいくつかありますので少し整理してみようかと思います。
まずは、縄文土器の文様は誰のものか。
以前のnoteでも触れましたが、出土品は基本拾得物なので一定の手続きをすれば市町村が最終的な所有者になります。
とは言え、国民共有の財産(市町村民の、ではなく)である以上は自治体が独占的に肖像権を主張していいものか、という気もします。
今回は自治体が作成した「土器の文様を図案化したもの」であるので、著作権は自治体にあることは争いはないでしょう。
例え一人の職員が作成した図案でも、職務の一環で作成したものであれば、当然権利は組織に属します。
万が一、同じ縄文土器から同じような図案を作成して権利を主張したらどうなるのでしょう。
ちょうど機能東急ハンズで古墳クッションなるものを見つけました。
古墳一般のイメージで形を作るなら問題はないのでしょうが
これは◯◯古墳の形!と限定しているものもあります。
例えば箸墓古墳。一説には卑弥呼の墓ではないか、とも言われています。
ですが、陵墓参考地(皇室関係者のお墓)として宮内庁の管轄になっているので調査があまり進んでいません。
そのデザインを使用することについては宮内庁の許可をとったのでしょうか。
Webサイトを見ると公共の研究所が監修ということなので、その辺りは整理されているのでしょうね。
3、自ら稼ぐこと
逆に営利目的でも申請だけでいいのでしょうか。
文化財の維持管理には非常に予算がかかります。
公共の博物館資料館で黒字のところがどれだけあるのでしょう。
むしろ資金力ある組織からは使用料を取って少しでも文化財の方に資金を回せないものでしょうか。
とは言え、私も同業者なので、ある程度の使用料があったとしても、使途を限定して使えるお金になるわけではなく、事務手続きの割にはそれほどメリットを感じないこともあるのではと思います。
それでも
文化財でも、歴史文化でも工夫次第では自ら資金を調達して、維持管理だけでなく、新たな取り組みを行う予算を獲得できるのです、
という例が欲しかった気もします。
もちろん文化財の価値を損ねてしまうほどでは本末転倒ですが。
公共の仕事だから安くて当然、無料でもいいだろう、では歴史文化も安っぽくなりませんか。
少なくとも私はお金を払ったことを後悔させないようなクオリティで歴史文化を体感してもらえるような仕組みづくりを模索していきたいと思います。