第180回 経済の専門家が説くミライ
1、読書記録 13
閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 (集英社新書) / 水野 和夫 #読書メーター https://bookmeter.com/books/11812977
著者は経済学の専門家で、証券会社のエコノミストを経て、内閣の審議官を務めた経歴を持っています。
経済学的に見て、これから世界はどうなっていくのか、我々はどこに向かって進んでいけばいいのか、そのヒントにと思って取り上げます。
2、二つの方向性が交わる
これまで、グローバリゼーション、自由主義経済という、どこまでも広がっていく世界に未来を見てきました。
第二次世界大戦、東西冷戦を経て、世界は対立より結びつきを選んできました。
広域的に結びついた流通経済、インターネットを介してどこまでも広がっていく情報。
拡散こそ善、結びつきこそ進歩と膨張を続ける世界と逆の方向の動きが見え始めています。
わかりやすい例は欧州の結びつきから距離を置こうとするイギリスのEU離脱。
世界をリードしてきたアメリカのトランプ大統領が標榜する保護主義的な政策。
「閉じていく」プロセスに世界が突入していると著者は解きます。
これに加えて個人的には「ブロックチェーン」技術の進展がインターネット世界も変えていくのではないかと思います。
SNSを通じて共通項で結びついた関係性も、きっかけはボーダレスですが、コミニティーやサロンという形で囲い込まれ、ある意味閉じた方向性を持っているのではないでしょうか。
3、また示された地域経済のあり方
この「歴史の危機」に著者が示した日本が進むべき道。
それは「定常経済圏」
必要な食料やエネルギーを自給し、人々の生活は小さな地方を単位として資本が自己増殖しない経済システムを構築すること。
以前紹介した「里山資本主義」と共通する思想
があるのではないかと感じます。
膨張が限界を迎えて、色々なレイヤーで結びついた関係性がレイヤーとして複雑に重なり合う。
そのレイヤーの一つに、実経済としての小さな地域があるのでしょう。
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