第190回 カイゼンとチョウセン
1、地域の歴史好きに何を提供するか
今の職場に入ってから公民館講座として
地元の歴史を知ろう
というような企画を続けてきました。
毎年少しずつバージョンアップしてて
最初は町内の史跡巡りからはじまって
関連のある近隣市町村の史跡まで足を伸ばしたり
土器作りなどの体験活動にも挑戦してもらったりと広がってきました。
自分で自分の仕事を増やしている感じで、だんだんきつくなってきたところもありますが、
歴史に興味がある地域の方々と繋がりができた手ごたえは充分に感じています。
2、さて次の手は
そして来年チャレンジしたいこと。
それは地域の歴史、という枠にとらわれない講座。
考古学を学んでいるものとして専門にしていることを中心に話をしたらどうだろう、ということ。
例えば私の研究のスタートは中世の陶磁器でした。
中国から貿易によってもたらされた陶磁器はブランド品として、持っていることがステイタスでした。
中世の初め頃は白磁が主流で、お酒を注ぐ為に使われる梅瓶(めいぴん)という器が重宝され、九州で言えば太宰府、東北では平泉でよく出土します。
鎌倉幕府ができる頃からは青磁の時代。蓮弁(れんべん)の文様が施された茶碗が各地の武士の館から出土し、床の間を飾っていたことが想起されます。
戦国時代には青花(せいか)と呼ばれる染付で絵が描かれたお皿がかなり増えてきます。大名だけではなく、富裕層には手が届くようになったのかもしれません。
出土地点は最終的に廃棄されたところですが、それを追っていけば当時の流通網に迫れるのでは、という話を1つの地域で検討したのが卒業論文でした。
こういう話ってあんまり聴くことないですよね。
公民館の研修室で、30人くらい対象だったら需要ありませんかね。
3、最新の話題を掘り下げ噛み砕いて
何より、自分が一番好きな分野だから楽しく話できると思うんですよね。
もちろん、地域に全く関係のない話ってわけでもないですし。地域の遺跡からも中世陶器はたくさん出土しています。
各地の博物館に行った時に、陶磁器の見方が変わって面白く思えるかも知れませんしね。
私も学生のころ習いたての知識を試しに博物館行くのが楽しかったものです。
その喜びを地域のみなさんにも知ってもらいたい。
もちろん、陶磁器の話では貿易陶磁だけではなく、国産の瀬戸や常滑(とこなめ)の話もいくらでもできますし、
板碑や五輪塔に関する話で中世人の信仰に想いを馳せることができるんですよ、という話もかなりの熱量でお話しできます。
ほんとは最近流行りの室町時代の人物評価が変わってきた話もしたいのですが、これはあんまり身近でなさすぎて受けないかもしれませんが。
実現できるかわかりませんが、密かに画策してみようかと思います。
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