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ビジョナリーなひと

 このnoteを読んでくださっている方の中には、アメリカはサンディエゴにあるHigh Tech Highが舞台の映画「Most Likely to Succeed」をご覧になった方は多いかもしれません。
 この映画の中で、私が大好きなシーンは、ある学生に対して、「あなたが優れているのは、ビジョナリーなところだよ」と、教師がウォーム・フィードバックを与えるところ。その後、エキシビションでは完成を見なかった時計の完成に向けて彼は、再始動する。

 

 今年、私自身が、イシュー&ビジョン・ドリブンした(つもりな)のは、紛れもなく、中学2年生の「特別活動の時間」の構想と実行だ。  
 「総合的な学習・探究」の時間に注目が集まる昨今、全国の中高は、「特別活動」で、どんなことをやっているのだろう?

 本校の場合、良くも悪くも「学年裁量」という(聞こえの良い)慣習によって、行事以外では、特段引き継がれたものは、何一つなし。そう、つまりは、ゼロからのスタート。
 新学期がスタートするタイミングで、自分にこの役回りをやらせてもらえないかと、(半ば強引にw)志願した。

 まず行ったのは、学習指導要領に基づく、目線合わせだった。20代から50代までの教員が所属する学年部。これまでの経験も大事な時はあるだろうけど、迷ったときこそ、ここに立ち返ってくることを求めた。自分としては、太字のところを、特に大切にしたいこととして、強調して伝えた。

 集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ、様々な集団活動に自主的、実践的に取り組み、互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上の課題を解決することを通して、次のとおり資質・能力を育成することを目指す。
(1)多様な他者と協働する様々な集団活動の意義や活動を行う上で必要となることについて理解し、行動の仕方を身に付けるようにする。
(2)集団や自己の生活、人間関係の課題を見いだし、解決するために話し合い、合意形成を図ったり、意思決定したりすることができるようにする。
(3)自主的、実践的な集団活動を通して身に付けたことを生かして、集団や社会における生活及び人間関係をよりよく形成するとともに、人間としての生き方についての考えを深め、自己実現を図ろうとする態度を養う。

中学校 学習指導要領 特別活動 目標

 生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けて行くことができるよう、特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。その中で、生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択できるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。

中学校 学習指導要領 第1章総則

(3)一人一人のキャリア形成と自己実現
ウ 主体的な進路の選択と将来設計
目標をもって、生き方や進路に関する適切な情報を収集・整理し、自己の個性や興味・関心と照らして考えること

中学校 学習指導要領 特別活動 各活動・学校行事の目標及び内容


 特定の行事のみは決まっていても、そこに至るまでの計画など全くないのだから、構想しながら実行もしていく、つまりは走りながら…ってヤツだ。これはこれで、結構な大変さだった(きっと理解を得られなかったこともあったと思う)。
 その際、有効だったと思っているのは、自分の考えていることを、どこまでもオープンシェアすること。学年の島での雑談、クラスルームへの投稿、共有しているドキュメントへのメモなどなど…これらをあの手この手で、とにかく記録として残すこと。

 残念ながら、学校という組織は、途中経過をシェアすることに慣れていない(これは間違いなく生徒にも伝染している)。さらには何かにつけて評論家気取り…失礼ながら、こうしたオールドタイプ的思考に、徹底的に抗ってやろうと誓った。あとは年柄年中、対話の起点に、LHRを置いてやろうと企んだ(結構、悪い奴なんだ自分はw)。


 ところで、本校の中2は、三学期に弁論大会を控えている(ナニコレ珍百景でも紹介された、少年式の本校版)。昨年度は案の定、生成AIを利用して、そこで出てきたテキストをそのまま読み上げるっていう生徒が続出したっぽい。原稿作成において生成AI活用の有用性は、私自身もちろん見込まれると実感として分かっているので、内心では生徒たちイイぞイイぞ!と思っているのだが、今の本校の現状を鑑みると、その手前のところに、もっと十分な仕掛けが必要だ。

 そこで、年明けの特別活動の時間には、何よりも生徒たち(あわよくば教員も)が、「自分自身と向き合う機会」を捻出しようと、色々と準備を重ねてきた。この過程ももちろん、秋口くらいからずっとオープンシェアしてきた(改めて読むと、恥ずかしいな…こりゃw)。

メモ(240916・1017)
 話すこと、聴くこと、に関するワークショップを実施してみてはどうか?
→講師依頼をした際に、教員研修なら引き受けるという反応が多かった(教員研修の方に力を入れているという先方の意図もすごく腑に落ちた)

メモ(241017)
 2月に控える弁論大会に向けて、外部講師を招いたりして「話すことや聞くこと」にフォーカスしたワークショップの実施に向けて議論・検討、打診を重ねてみましたが、なかなか実施が難しそうです。力不足ですみません。
 その後、色々考えまして、中2の三学期、「将来のこと、やりたいこと、なりたいこと」を語り合う弁論大会を下支えするようなロングができたら良いのかもしれないと思ってきました。生徒たち個々人が、自身の内面に迫ることで、より中身の濃い弁論になるのではないか?自己開示できる心理的安全性が、弁論の場や準備の過程を温かいものにするのではないか?こんなことを、職員室で先生たちと対話してて思いました。
 そこで、色々調べたりしていく中で、個人的に注目している学校の一つである追手門学院高校の探究科で取り組まれている「価値観プロジェクト」が参考になるかもしれないと思いましたので、一度シェアさせてください。
 https://www.otemon-jh.ed.jp/o-drive/project/2773/
 https://www.otemon-jh.ed.jp/o-drive/project/3265/
 https://www.otemon-jh.ed.jp/o-drive/
 コラージュや動画はあくまで手段なので変わってもよく、それ以上に、子どもたちの価値観が何かしらのカタチに残ることが重要かなと思っています。最近は、テンプレに頼らない制作が必要な気もしています。今後、担任会や学年部の先生方とアイデアを揉んでいけたらと思いますので、叩き台をアップします。ご意見いただけたら幸いです。
 ※自己開示については、方法や注意点などをカウンセラーの先生方にアドバイスをもらいます。

メモ(241017・23)
カウンセラーのアドバイス
- スクイグル法
 導入、ほぐし
- 文章構成法
 「私は、〇〇」10〜15くらいの枠組みを提供してから制作すると良い
※コラージュ作品について話すなら、グッと話しやすくなる(造形対話)

メモ(241125)
美術教員のアドバイス
- 中2の三学期に抽象画に取り組む
 感情や形容詞(甘い・辛いなど)
 昨年度は粘土・今年度は模様で表現、鑑賞まで行う予定
- 形より色の方が表現が湧いてきやすい
 中1の時に色鉛筆の塗り方を学んでいる

メモ(240807)
神山まるごと高専
- デザインの授業
 教室の外
 気に入ったモノ・コトの色探し
 引きで見ると風景と同化
 https://toyokeizai.net/articles/-/678176

メモ(241226)
Feel度Walkもありかも
- 総合公園を利用
- 課題発見力だけでなく、自己理解も促すことができそう

オープンシェアした記録の一部、他の先生方のコメント等は割愛

 

 皆さんがつとめる組織では、オープンシェアが基本となっているでしょうか?
 来年はもっと大風呂敷を広げていきたいと思います。
 2024年、ありがとうございました。

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