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2022年、学びの場づくりへ

サード・プレイス

年始の読書

浅野大介氏の話を直接聞いたのは、2018年の秋のこと。同僚が立ち上げた研究会での講演だった。「未来の教室」が走り始めたばかりの頃に、話を聞く機会を持てたことは、改めて良かったなと感じる。当時はまだ、STEAM Libraryも構想の段階だったような記憶がある。

書籍の中で紹介されていて、個人的に興味深く読んだのが、「第5章 サードプレイスという「未来の教室」〜「夢中になる」を正当化してくれる、「本当の居場所」が必要だ」

「夢中になるを正当化してくれるサード・プレイス」
様々な分野やレベルで「サード・プレイス」を用意する必要性を感じます。
(略)
高校生が「高校生らしくない」才能を磨き合う場は増えていますが、まだまだ足りません。そして様々なサード・プレイスを通して就職も変わればいいです。プロスポーツが若い才能の発掘に血通をあげるように、企業が高校生・大学生を育てるのを当たり前に。

『教育DXで「未来の教室」をつくろう-GIGAスクール構想で「学校」は生まれ変われるか』

浅野さんはこうも続けている。

「誰もがそれぞれ満足できる」ためのサードプレイス
経済産業省の教育政策は、教育機会確保法を尊重し、その理念の実現を進めています。ここで私たちが意図するのは「学校教育の否定」でもなければ、「現存するオルタナティブ・スクールへの無条件の礼賛」でもありません。目指すのは、多様な普通教育機会の選択肢を増やすことです。
(略)
また、そもそも不登校状態の子たちは、「いまの学校」という学習環境に違和感を明確に表明し「自分の居場所はここじゃない」と意思表示した子たちです。この子たちを個別最適に伸ばせるオルタナティブ・スクールは、巡り巡って「いまの学校」に大きな影響を与える存在だと捉えて、ここでの教育イノベーションを後押しすべきです。

『教育DXで「未来の教室」をつくろう-GIGAスクール構想で「学校」は生まれ変われるか』

ここで感じたのは、「誰一人置き去りにしない」教育システムって、工業社会の発想では、改めて難しいよねって話であって、今の職場に不満タラタラという訳では、決してないですからね(笑)

呑めば、都

ところで、私にとってのサードプレイスといえば「酒場」だ。
それを教えてくれたのは、マイク・モラスキー氏。まだお会いしたことがないのだけれど、この書籍から学ぶことは本当に多い。何より酒が呑みたくなってくる。

モラ先生は、内沼晋太郎氏との対談で、「サードプレイス」についてこんなことを語っている。

基本的に人が個人として迎えられている場所のことだと思っています。店や店主に個性とかポリシーがあると、それに魅かれる人たちが集まるようになり、自然と「久しぶり」「いつもどうも」なんて会話が生まれる。そして時間の経過とともに、客が店主と一緒に店を育てていくんです。
コミュニケーションと言っても、別に積極的に他者との対話に挑まなくてもいい。例えば、私が通う居酒屋のある常連客は、ほとんど無口なんだけど、いつも楽しそうに酒を飲んでいる。つまり彼もその場に参加していて、場の雰囲気に貢献しているんですね。
では場の意義とは何なのか。同じメニューを家で作り、同じ本を自宅に送ってもらえたらそれでいいかと言えば、決してそうではない。都市生活というのは日常的に他人に囲まれています。だからこそ、居心地がよくて、自分自身を肩書きや立場を抜きにした一個人として認めてもらっていることを再確認できる「場」が大切なんじゃないでしょうか。
(略)
新たなことに出会って初めて「こんな世界、こんな物の見方があったのか」と気づくことはよくありますよね。私は大学の授業の一環で、学生たちが自分で見つけた飲み屋や大衆食堂などに一人で入り、居合わせた人たちと交流してみるという課題を出しているんです。いろいろな人に出会い、違った見方に接することで、自分自身を知り、また相手の立場を想像する力が身に付く。それによって世界に対する理解が少しは広がったり、深まったりすると思うからです。コミュニケーションがバーチャル化している時代だからこそ、普段はつながりのない人たちとつながる「場」が、いっそう重要になっているのではないでしょうか。

(対談)内沼 晋太郎氏 x マイク・モラスキー氏
「サードプレイスのすすめ ―日常にひとさじの非日常を」

Edcampという場

個人的には、edcampってこれに近いなと思っている。
ある人は、edcampを「シラフの飲み会」と例えていたりするくらいだから、あながち間違いってはなさそうだ。

Edcampは、参加者主導で行われる、教員をはじめとする教育関係者による、教育関係者のための、プロフェッショナルディベロップメントのカンファレンスです。Edcampでは、集まった参加者が、自分たちで当日のセッションの内容を決めていく、アンカンファレンスという手法を用います。各セッションのテーマは、授業の手法をはじめ、校務運営、教育分野におけるイノベーションなど多岐にわたり、参加者も教員をはじめとして、非営利組織、研究者、行政、企業など様々。2010年にフィラデルフィアで第1回が行われて以来、これまで1000回以上、80以上の国と地域に拡大し、10万人以上の教育関係者が参加してきました。今週末も、来週末も、世界中のどこかでいくつものEdcampが行われています。

Edcamp Japan

先生、もっと勉強してください

Edcamp Ichikawaでの出来事

2018年の春休みのことだったと思うが、edcampが日本各地で開催されるようになってきた(というより…その存在を私が知った)頃、何を思ったか、千葉県市川市の日出学園で開かれた Edcamp Ichikawa にいた。

どんなセッションがあったかとか、参加者にどんな方がいたかとか、正直ほとんど覚えていないのだけれど、参加者の方(恐らく教員ではなかった)にサラッと掛けられた、この言葉だけを今でもはっきりと覚えている。

「先生、もっと勉強してください」

何についての話題だったのか、そもそも私に対してのものだったのか、それすら覚えていないのだけれど…間違いなく、この言葉が私のここ数年をつくってきた。

自分たち、86・87世代じゃん

コロナが少し落ち着きを見せていた、11月の松山。久しぶりに集まった4人で、おでんをつついていた。

「えっ、同級生なんですか?一個上だったんですか?」

盛り上がってきた頃、初めて知ったのが、自分たちが同世代だという驚きの事実だった。
酔っ払っていてはっきりとは覚えていないが、「僕らで何かしましょうよ」と誰かが言い出した。

そう始まりは、いつも酒場からなのだ。

edcamp Matsuyama

この4人プラス1人の5人の同世代なら、求めていた学びの場づくりができるかもしれない、そう思ったが吉日…いや翌日、edcamp Matsuyamaの立ち上げを決めた。

このメンバーが起点となってつくられる、学びの場が、どんなものになってゆくのか?来る1月23日(日)、松山でもいよいよedcampが始まる。

おっと、その前に1月4日(火)20時から、キックオフのキックオフをお楽しみください。edcamp マスターの野中潤先生をお呼びして、皆でワイワイガヤガヤします。


おっ…この note ゆるゆる続いている(笑)

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