私が『ファインディング・ドリー』を観て泣く理由
突然ですが、あなたは”短期記憶障害”をご存知ですか?
”短期記憶障害”とは、短期間で起きた新しい情報を収容する脳の海馬機能が低下することで、最近の出来事が記憶できない障害のことで、今日の日付や曜日、ご飯を食べたこと、友人と話をしたことなどが記憶として留まらず、覚えてられないという特徴を持つそうです(参考:御所南リハビリテーションクリニック 記憶障害とは?接し方や対策について理解しよう)。
実は、あの有名なディズニー映画『ファインディング・ニモ』のキャラクター、ドリーには短期記憶障害があるのです。
この映画の日本語版で、ドリーは「何でもすぐに忘れちゃうの」と自己紹介してくれるので、日本人にはあまり知られていないのですが、英語版で、ドリーは、”I suffer from short term memory loss."と言っており、”短期記憶障害”であることが明言されているのです。
(上の写真の引用元:Disney Music )
確かに、ドリーはいろんなことを忘れてしまいます。今の今まで話していた相手のことをすっかり忘れ、人(魚)の名前をすぐに忘れ、自分が泳いでいる理由も忘れてしまいます。
その一方で、文字が読めたり、数字を数えられたり、長い時間を過ごしたニモやマーリンの名前を覚えたり、歌を覚えていたりするので、やはり、”何でも忘れてしまう”わけではなく、新しい情報を覚えられない”短期記憶障害”であることがドリーの様子から分かりますね。
そんなドリーの忘れていた家族に会いに行く冒険物語が『ファインディング・ドリー』なのです。
この作品は本当に素晴らしくて、ドリーの頑張り・成長はもちろん、ハンク・マーリンなどドリーと関わる周りの人(魚)の成長が丁寧に描かれていて、どのキャラクターにも「頑張ったね、すごいよ、お疲れ様。」と言いたくなります。
また、「あなたのことが1番大好きで、ずっと応援している。」そんなメッセージが伝わってくる強い家族愛が描かれています。親と子のお互いを大事い思い合う様子が本当に素敵だと思います。
さらに、海の絵がめちゃくちゃキレイで、しかも、前作『ファインディング・ニモ』と敢えて似せた絵になっていて、美しすぎない、という魅力があります。
”障害”がこの映画の1つの重大なテーマであるように、障害のある人(魚)も、周りの人(魚)も、障害を受容し、乗り越えていく様子が描かれていて、分かりやすいのに、深い、良い意味で重たい作品だと思います。
そんな素敵な作品、『ファインディング・ドリー』には、私がいつも泣いてしまうシーンがあります。それが、ドリーが再会した家族に謝ってしまうシーンです。
「ごめんなさい、ごめんなさい、覚えていられなくて。覚えよう覚えようと思っているのに、忘れちゃうの。ごめんなさい。」と。
ドリーは、自分が忘れてしまったから家族とはぐれてしまったことに申し訳ないと思っているんですね。
泣かなくていいんだよ。ドリー。泣く必要ないんだよ。だって、ドリーは忘れてしまう、どうにもならないことがあって、それでも一生懸命頑張って家族を見つけたんだから。と私は思いました。でも、ドリーは家族を忘れてしまったことを悲しく思い、そんな自分を責めていたんだなあと、ここで初めて気づきました。
ドリーは忘れてしまいます。他の人(魚)から、冷たいことを言われることもありましたが、それでも、ドリーはすぐに忘れて(忘れていないこともあったかもしれませんが)、明るい調子で振る舞うので、ドリーが悲しんでいることに私はまったく気づかなかったのです。
ドリーは忘れることがとても嫌だった、そのために人(魚)と上手く関われないのがすごく悔しくて、辛かったのだと私はこのシーンで感じ、悲しくなり、でも、それを抱きしめ、「謝らなくていい」と言ってくれるパパママに感動し、強い家族の絆にまた泣くのです。。。。。
ドリー。。ドリーはいつも教えてくれます、”自分にはどうしようもできないことがあって、そのせいで、自分が傷ついたり、他の人に迷惑をかけてしまったりすることもある。でも、自分にできることでなんとか頑張れば、どうにかなることもある。そして、それを応援し、認めてくれる人がいる。”と。
本当に『ファインディング・ドリー』は私の大好きな作品です。
多くの人に観てほしいなって思う作品です。