スッブがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!『#バーフバリ絶叫』 #クマラ来日 レポin新宿ピカデリー(6.29)
今最もオタクの夢が叶うコンテンツといえば、『バーフバリ』である。王国民(ファン)の軽率な「あんなこといいな♪」ツイートが割とマジで結願してしまい、配給会社ツインの方角に向けて五体投地で最敬礼を行う者も少なくはないだろう。監督&プロデューサー来日に完全版、グッズにLINEスタンプなどなど、その種類は多岐に渡る。
そして、まさかの一報が王国民を震撼させたのは6月23日の土曜日のこと。クマラ・ヴァルマ役のスッバラージュ氏の緊急来日が決定し、6/28・29連続で2劇場、計4回の舞台挨拶付絶叫上映が発表されたのである。当人のビザの関係もありギリギリまで調整していたと聞くが、よもや一週間の猶予もない突然の発表に、王国民は歓喜と緊張感に包まれた。
クマラは日本マヒシュマティでも特に人気の高いキャラクター。その中の人との謁見となれば、座席の争奪戦が熾烈なものになることは、誰もが予想していただろう。発表が急だったこともあり、どのように有休を取得するかで頭を悩ませた者も多い。あるいは、遠征のための計画を練る者も。最初で最後になるかもしれない謁見ゆえに、当日の座席はかなりのプラチナチケットだったのだ。
チケットの販売は6月26日(火)の0時(=6/25の24時)。筆者が狙うは29日20:10の回だったが、仕事を休めない民が集うであろう激戦地だ。かつての絶叫オールナイトや創造神謁見回を思わせる混雑ぶりを見せたが、幸運にも前列の席を確保することが出来た。今回は4回に別れていたためか、希望する者のほとんどには席が行き渡ったようで、先ほどまでの緊張が次第に安堵に変わっていく。
一方、またしてもチケットの高額転売が発売数分後には発見され、それも最前列が含まれていたことで、多くの民から怒りの声が挙がった。その際に通報に動いた民のおかげで価格も落ち着き、いわゆる定価での譲渡もTwitter上で盛んに行われ、一目会いたいという気持ちが報われる良い雰囲気が流れていた。こうした転売を目論む輩には、「儲からない」と思われれば勝手に消えてゆくだろう。悲しみを生むような仕打ちだけは、どうか止めていただきたい。
計4回に別れた都合上、舞台挨拶の全てを網羅するには至らないものの、それらの思い出はたくさんの写真と共にネットの海に広がっている。ここでは、筆者が参加することが出来た6/29夜の部に起きたとんでもない奇跡を、いつもより語彙力瀕死めで語っていきたい。当日まで何やかんやあって、なんと最前列右端ブロック通路側の席をお譲りいただくことになってしまい、それはもうすごいことが起こってもう大変でした。一言一句を書き留めようとメモ帳を持参したのに、終了後に振り返るとそれは真っ新なただの新品でした。それくらいの大事件が起こったので、本文の信ぴょう性は保証しませんのでご注意ください。
こちらの回は上映前に舞台挨拶が行われることもあり、スタッフも早めの着席を促すも、最前列では有志が作った横断幕が張られ、よもや映画鑑賞とは思えぬ盛り上がりであった。それでも、着席が遅れると舞台挨拶の時間が短くなることがアナウンスされると、皆急いで着席し背筋を正しており、もうただ事ではない緊張感だ。そして、前説での短い注意事項の後、ついにスッバラーシュ氏が我々の前に姿を現したのだ…!!
なんと劇中の衣装で登壇したスッバラージュ氏に、劇場に駆けつけた民は発狂。各自持ち寄った特製うちわ、そして緑のペンライトで、氏をお迎えした。氏はその様子を見て手を振り返すと、劇場では黄色い声援が一斉に挙がる。
氏はその様子を見て何度も「ありがとう(Thank you)」と呟き、感謝の意を何度も伝えてくれていた。質疑応答では、日本で美味しかった食べ物を尋ねられると、「ラーメン」と答えた後、ツインのTwitterでアップされていたあんみつも話題に上る。いたく気に入られたのか、「日本はsweetな国」と評すると、またも民から歓喜の声が挙がる。次に、「子どもの頃から夢だった」と語る新幹線の思い出や、クマラの年齢は好きなものを問われると「監督に聞かないと…」と困った顔を見せるなど、こちらの母性本能をくすぐる愛らしさに民はノックアウト状態だった。
撮影の裏話として、デーヴァセーナに対しクマラは純粋な好意(pure loveと聞こえた)があったとしつつ、ラージャマウリ監督からはプラバース(バーフバリ)、ラナ(バラーラデーヴァ)と三人の内一人だけが結ばれることを聞かされていたという。また、前日のチネチッタでの回でうっかり?話題になったスピンオフについては、「クンタラから日本へ旅する話をやりたい!スワンボートで!」と展望を語ると、民から期待の拍手が劇場に木霊した。
それから幾つかやり取りがあったのだが(興奮しすぎて覚えていない)、後半では緊急プレゼント企画として、氏のサイン入り完全版パンフレットが一名に振る舞われると発表。当選者が檀上に挙がると民は「おめでとう~!」と称え、氏も握手にハグと大盤振る舞いで、当選者の方の魂が抜けてしまわないか心配になる一幕もあった。この度は誠におめでとうございます。
短い時間もあっという間に過ぎていったが、最後に氏は今回の来日でたくさんの思い出をもらったと語り、死ぬときまで(俳優として)皆さんを楽しませたい、また日本に来たいと宣言してくれた。その言葉に、その場にいた王国民の全てが報われただろう。私たちは「クマラ・ヴァルマ、ジャイホー!」の大声援で応えると、なんと氏はその場で伏して、最大級の感謝の意を示したのだ。インドでは神様の御前や宗教的儀式でしか行わないそれを、日本の観客のために行ってくれた。感謝を伝えるべき我々が逆に最大級の感謝を伝えられてしまい、不意を突かれ涙が零れた者は私だけではないはずだ。
その光る目元に感動していると、氏は檀上を降りて、最前列の観客に握手をするファンサービス!どうやら予定外のことだったらしく、関係者の皆さまの動揺が伝わったものの(仮に怪我人が出たらこのようなイベントは二度とできなくなるからだろう)、これ以上の至福があっただろうか。ちょうど出入り口側の最前席に座っていた私の方に歩いてくると、前回の夕方の部に参加された民に託された特製うちわに気づいて笑いかけてくれた後、氏は自ら手を伸ばしてくれたのだ!!えっ!私に!!!!????いいいいいいいいいいんですか!!!!!!!!!!?????????
いや、マジでこれ筆者の妄想か何かかと今でも疑っているものの、少しひんやりとした大きな手の感触はまだ覚えていて、隣席にいた王国民から「乙女」と評されるほどの声が出てたんですって私。すごいよね。あぁこの世に生きているんだ、実在してるんだ、って思っただけでも泣けて仕方なかったのに、笑いかけてくれて手も握っちゃったよ…。人生の中でも五本の指に入るほどの嬉しい出来事に、いい歳した会社員が人目をはばからず大号泣。たいへんお見苦しい場面がございましたことをお詫びいたします。
見よ!これがスッバラージュ氏と握手した手である!!!!
剣を握る戦士の手ではないが、スッブの手は握った、正真正銘の“手”である。ただの手と思うことなかれ、なんかもう尊い手である。いや、ただの成人男性の手なんですけど。
というわけで、興奮冷めやらぬまま、絶叫上映に突入した。前日の新宿ピカデリーでは「バラーラデーヴァ王応援上映」という、これはこれで最高のお祭りがあったのだが、今回は「クマラ応援上映」として、緑色に彩られた劇場の風景が印象的であった。
元々クマラは人気があり、比例して歓声も大きいキャラクターであるが、今回はいつもの倍近い声量で、愛の声がスクリーンに投げ込まれていた。クンタラ時代の臆病なクマラ、アマレンドラと出会い王族の使命に覚醒したクマラ、バーフとデーヴァセーナの幸せを願う優しきクマラ。そして、その優しさゆえにバラーラデーヴァの罠にかけられ、命を落とすクマラ。その殺害シーンでは、これまでのどの回よりも悲痛な叫びが挙がり、誰もが心優しき勇者の死を惜しんだ。
思えば、アマレンドラがクンタラを訪れ、デーヴァセーナと恋に落ちることがなければ、彼は非業の死を遂げることはなかっただろう。自然豊かなクンタラで妻を娶り、子どもを儲け、そして安らかに眠る人生とて、あったはずなのだ。それでも、真の勇者になったクマラはそんなこと悔やんだりしないだろうし、だからこそ私たちはクマラ・ヴァルマのことが大好きなのだ。民を守るためになけなしの勇気を奮う姿に涙し、まるで自分のことのようにバーフとデーヴァセーナの結婚を喜ぶ彼の笑顔に、私たちは癒されていたのだ。そしてそれは、演じるスッバラージュ氏の人柄あっての説得力がもたらした奇跡であり、むしろ氏の性格がトレースされたのではないかと勘繰ってしまうほどに、唯一無二のキャスティングとキャラクターの一致であることを、どうしようもなく意識してしまう。
そしてついにエンドロールが終わるころ、緑のペンライトが暗闇を照らし、「クマラ・ヴァルマ、ジャイホー!」の大号令が自然と観客席から流れる。はるばる日本に来てくれて、感謝の意を伝えてくれたスッパラージュ氏への、最大の賛辞になっただろう。クマラ・ヴァルマというキャラクターがここまで愛され、そして今回の謁見に至ったことは、バーフバリ・ムーブメントの中でも大きな出来事であった。作品を愛することがここまで大きな形で報われることの尊さを、日本マヒシュマティ王国民は何度も実感してきた。
その奇跡を実現に導いて下さった配給会社ツイン様、劇場の川崎チネチッタ様と新宿ピカデリー様、バーフバリムーブメントの立役者であるV8Jスタッフの皆さまに、厚く御礼申し上げます。あの場にいた全員にとって、忘れがたい思い出になったはずです。
そして何より、最高のキャラクターを生みだしてくれた『バーフバリ』制作陣と、スッバラージュ氏に、愛と信頼の花束を捧げます。願わくば、次は桜咲く季節にお会いできることを祈っております。ありがとう、クマラ。
(19.06.27追記)桜が咲いたよ、スッブ。
2019年の春も無事に桜が咲いて、あの日から一年が経った。日本のことまだ憶えていてくれるかな。また来てくれるかな。桜が見える公園で、スワンボートに乗れたらいいね。また会おうね、スッブ。
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