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たとえ店員さんに嫌われたとしても、私は「ドミノピザのカルボナーラ」が食べたい。

※本文は、文中に登場する企業様からのPR案件などではなく、著者個人の日記になります。一切の報酬等は受け取っておりませんので、安心してお読みいただけます。

筆者注

 先日、宅配ピザをお願いした。ピザはお店で食べる贅沢品という印象が幼少期から強く、故に宅配ピザを頼むという行為にはとても勇気がいったけれど、お仕事の付き合いで頂戴したクーポン券の期限が近かったこと、当時九州地区は大雨続きで気が滅入っていて、下がったテンションを盛り上げるために豪遊したろ!!と気が大きくなってしまい、その勢いのままピザを頼んでしまったのである。

 今回選んだのは、ドミノピザさん。前述の通り宅配ピザ界隈に疎く、とくにお店にもこだわりがなかったため、ただただクーポンがあるから、という浅い理由で選ばせていただいた。

 ピザだけでも豊富な種類があって、あれも食べたいこれも食べたいと、メニューを見ながら悩む工程すらも楽しい。結局、Mサイズのハーフ&ハーフで、大好きなマルゲリータと興味本位でマヨじゃがの組み合わせをチョイス。トマトとチーズの王道一直線を往くマルゲリータは鉄板として、マヨじゃがはマルゲリータと交互に食べるにはいいアクセントを与えてくれる、ちょっぴりジャンクな味付けがたまらない。そうそう、ピザってアトラクションだよなと再確認しつつ、クーラーの効いた部屋でキンキンに冷えたハイボールが進むこと進むこと。野菜が足りていないし明日のお腹事情が心配だが、今はただ目の前の快楽を貪っていたい。そういう夜もあるのだ。

 という幸せな時間を過ごしていたのだが、気が大きくなり過ぎていたのか、それともクーポンを使い切らないと!という貧乏性が働いたのか、サイドメニューとして「濃厚チーズのカルボナーラ」も併せて頼んでいた。Mサイズのピザに加えて、パスタまで食そうというのか。成人男性が一日に摂取していいカロリーとか炭水化物の量を越えている気がするし、何より私自身は本来小食なのだ。本来ならばピザだけでも挑戦なのに、追いパスタはもはや「暴挙」と言って差し支えないレベル。ピザは人をおかしくさせる効能でもあるのか、メニューを選んでいた数時間前の自分に、嫌味の一つでも浴びせてやりたくなる。

 それはそれとして、先程からカルボナーラソースのいい匂いが鼻腔をくすぐり、ないはずの空きを胃が無理やり調整しているのを感じる。人間とは三大欲求には逆らえない奴隷なのだと認識しつつ、意を決して封を開けると、濃厚なクリームチーズの香りがダイレクトに脳を刺激する。もう我慢できねぇ、いただきます!!!!

https://internetorder.dominos.jp/

 当時はこうして記事を書くつもりもなく、写真の一枚も撮影していないため、ここからはドミノピザ様のホームページから拝借した情報と写真のみで、お話していきたい。まず驚いたのはそのボリュームだ。「サイドメニューなんで控えめに……小分けしやすく……」などという弱気を一切感じさせない、容器いっぱいに広がる麺とソースの海。容器を持ち上げた際に重みを感じたが、なるほどこういうことかと思わされる物量だ。一人でガッツリ食うも良し、多人数で分け合うも良しと、様々な状況に対応し得るボリュームは消費者としてありがたいの言葉に尽きる。

 擬音にするなら「ドンッ!!!」が相応しいほど容器に鎮座するカルボナーラだが、ヘンに飾り気がないところも風格を感じさせる。なにせドミノピザ公式サイトの紹介文も「クリームチーズのカルボナーラソース、燻しベーコン、ブラックペッパー」だけと究極にシンプルであり、旨さの前に美辞麗句は不要、と言わんばかりの職人気質が潔い。

 一口食べてみると、その個性が浮き彫りになっていく。最大の特徴は、太めの生パスタである、ということ。私自身、パスタならフィットチーネ、和の麺ならきしめんのように、もちもちして歯応えのある麺が大好物だのだけれど、この生パスタはパーフェクトだった。太い麺は調理から配達まで時間が空くことを考慮してか、時間を経てソースとよく絡まっており、一噛みするほどにチーズの風味が口内を満たし、太麺はかなりの食べ応えで満足感を与えてくれる。あれだけ胃が悲鳴を上げていたのに、もう一口、もう一口と手が止まらず、あっという間に完食してしまったほどだ。

 旨かった。正直に告白すると、食べる前はナメていた。ピザ屋のパスタなど付け合わせ、イタリアン料理チェーンであることを強調するための埋め合わせだと。だがこのカルボナーラは本気マジだった。これ単体でも満足感があり、主役級になれるだけの旨さがありながら、それでも一歩引いてピザを引き立てるような、縁の下の力持ち。パーティーの主役として堂々と真ん中に置かれるであろうピザの横でひっそり輝く、至高の二番手。

 だが私にとってその日のディナーのMVPは、このカルボナーラだ。ピザも旨かった。だが、私の脳裏に深く焼き付いたのは、アルデンテに茹でられた生パスタを噛み切る快感と、濃厚なチーズの風味に溺れたあのわずか数分間の出来事だったのだ。あえて言おう、このカルボナーラなら、料理店とも闘える、と。

 それ以来、ことある事にドミノピザを頼むチャンスを伺っている。さすがにMサイズのピザ&パスタを一人で食すには、胃の容量もお金も足りていない。なので「ピザを頼んでいい口実」があれば即ドミノピザのwebサイトなり出前館のアプリを開けるよう気を張っているのだけれど、残念ながらその機会は訪れていない。あの魅惑のカルボナーラとは、まだワンナイトの関係に留まっているのである。

 あぁ、愛しのカルボナーラ。いっそのこと、カルボナーラだけ頼んでみようかと思いつつ、それはそれで気が引けてしまう。何せ、ピザとパスタでは調理の工程がまるで違うので、作る側としてはまったく別の作業が一つ増えるに等しく、要は「面倒くさい」に違いないのだ。

 故に、もし万が一このnoteがアホほどバズって、ドミノピザにカルボナーラの注文が殺到するなどといったことがあれば、私はドミノピザで働くすべての従業員から命を狙われ、身体の穴という穴全てにあの太麵を差し込まれるだろう。先日観た映画『マッドハイジ』にもそういうシーンがあったように、私はチーズまみれになってあの世へ旅立つのだ。

 ただ、どうだろう。もし天国では生前に好きだった食べ物をたくさん食べられるのだとしたら、私はあのカルボナーラをリクエストするかもしれない。それくらいの旨さだったからだ。天に昇るような旨さのカルボナーラ、ドミノピザにて働くすべての従業員様の気苦労と企業努力を背に受けながら、ぜひ一度味わっていただきたい。

 それにしても、腹が、減った……。

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