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【ブルアカ】『エデン条約編』を読んだよメモその2【初見】
決算期を間近に控えた年明け、一匹のありが、スマートフォンを必死にタップしていました。すると、そこを通りがかったきりぎりすが声をかけました。
「こんなクソ忙しい日に、何をしているんだい」
「ブルアカのデイリーとスタミナ消化をこなしているんですよ」
ありはそう答えると、視線を手元の端末に戻しました。
「こんなコンテンツ飽和の時代に、真面目なこったなぁ」
きりぎりすは、ありをばかにして、笑いながら見送りました。
「ぶるーあーかいぶ」というゲームは、バトルをやらなくてもメインストーリーが読めるゲームなので、きりぎりすは育成を真剣にせず、映画館にいったり女児アニメのライブに行くために東京に行ったりサブスクで海外ドラマを観たりして、ぶるーあーかいぶを起動すらせず遊び呆けていました。
やがて、エデン条約の締結の日がやってきましたが、きりぎりすは途方に暮れていました。
「詰んだ」
きりぎりすは、自室の部屋で震えていました。「パジャマ姿のヒナたんすこなんだよなぁ」と呟く元気もありません。
きりぎりすは、ありを訪ねることにしました。
きりぎりすは、ありがせっせと育成に励んでいたことを思い出したのです。
「ありさん、ヒエロニムスが倒せんのだが」
きりぎりすは恥ずかしそうに言うと、ありは、
「きりぎりすさん。あなたは、ロクに生徒の育成もせず、ログインもせずにアロナを悲しませていたではありませんか。自業自得です。ブルアカから逃げるな。SHHisのG.R.A.D.も早く読めやカス」 と答えました。
きりぎりすは、怠惰な自分の罪に気づき、自分が清渓川に沈められる姿を頭の中で想像して、死の予感に涙しました。
「ブルーアーカイブはゲームである。ゲームを遊ばない者に慈悲はない」
タイムラインでよく見かける成人男性がそのように自分を責める様子を幻視して、きりぎりすは改心してぶるーあーかいぶの育成を再開したのです。
というわけで、『エデン条約編』3章を読ん……読み切ってないんですけど、25話以降を読むの下手したら数ヶ月後とかになりそうなので、今のうちに書いておこうかなぁ、って。
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『ブルーアーカイブ』というゲームのメインストーリーは、実装順と作品内時系列がちょっと特殊なことになっていて、自分はおそらくそれに反した順番で読み進めているような気がする。なのでこのショックを制作陣が意図したタイミングで受けてはいない、という前置きの元で言うなれば、ブルアカは「人は銃で撃たれれば死ぬ」という当たり前を突きつけてきた。ただそれだけのことに特大のショックを受けるよう、ずっと最初から仕組まれていたのかもしれない。
ヘイローを頭上に掲げる彼女たちは人外めいた生命力を持ち、弾倉全ての銃弾を受けても「一時間は動けない」程度で済んでしまう。だからこそブルアカは“透き通るような世界観”と銃火器を同居させることができたし、誰も死なないという安心があったからこそ愛すべき生徒たちが銃を構える姿に何も違和感を抱かなかった。
という前提を根底から覆す、「人は死ぬ」という当たり前。ブルアカの世界とて人は死ぬ。当たり前だったはずなのに、ゲーム側から巧妙に隠蔽され、私たちもそれを見て見ぬフリし続けた。そのセーフティを自ら剥ぎ取って、死の香りを全編にコーティングしてみせた『エデン条約編』は、ブルアカが自ら自身を相対化するような、異常のエピソードと言える。
だって、ガシャで引き当てて、カフェで絆を深めメロビを愛でまくった美少女に「おまえ一歩間違えたら人殺しやで」と言ってのけるソシャゲがありますか????いやまぁエイプリルフールに「これパラレルワールドやから」とアイドルを殺しまくるアイドル育成ゲームがあるんですが
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『エデン条約編』は、聖書のモチーフに満ち満ちている。これまでも「アリウス」「方舟」「アトラ・ハシース」などのワードが出てきたけれど、3章ではついに「公会議の再現」というシチュエーションを用意し条約を捻じ曲げるという展開が訪れる。ちょっと調べてみたけれど、ブルアカって普通に日本/中国以外でもバンバン配信されているらしい。だとすると、アリウス派の扱いとかその顛末で、国ごとや宗派で受取り方が全く違ってきそう。
後の方の話になるけれど、アリウススクワッドの皆もトリニティやゲヘナに並々ならぬ憎悪を抱きつつ、その憎悪が「誰かのもの」であることに気づいていく、という落とし所が待っていて、地味に怖い話。自分の中の怒りや憎しみが誰かから植え付けられたもので、それに従った結果取り返しがつかない事態に陥ってしまい、もう引き返せない頃になって感情そのものが自分のものでないと気づく。引き合いに出すのも失礼な話かもしれないけれど、宗教2世の方にとっては「生まれてきてからずっとそう教わってきたもの」が社会の常識から外れていて……みたいな話を思い出す。
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それにしても、ミカですよ。「クーデターの首魁が生徒として自分の学び舎にいる」という異常事態ですよ。彼女もまた学生なのだから、先生=大人は彼女を守る責任がある、というブルアカ倫理に則ってのことだとはわかるのですが、いくら何でも凄すぎる。あと初めての有償ガシャで引いたアツコもアリウスの一人じゃん!
未だ(既読時点では)ゲヘナを憎む理由が明かされてないミカ。彼女がどんな怒りを抱えていて、どんな過去があったのか。それが明かされるか否かもわからないけれど、対ゲヘナの旗印として掲げられることを拒絶したり、セイアの死が誤報であると知って抵抗を止めたりと、彼女は彼女なりのやり方でティーパーティーを守ろうとした。その真意を知ってセイアも「もっとミカと話せばよかったな(要約)」と語るあたり、今回は「信じる」ことが大きなテーマになっている。他者を完全に理解すること=楽園を証明することは不可能でも、目の前の誰かを信じることはできる。個々人が完全でないから、手を取り合って一緒に歩いていく、そんなハッピーエンドを目指して。
でもさぁ、これは俺をブルアカに誘った連中が前もって説明してないのが悪いんですが、「エデン条約完結からミカ実装までは時間が空いている」事実をちゃんと教えようね!!!!なんでこの子ずっと生徒名簿にいるの!?!?ってなるでしょ準備体操しないと。
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あとやっぱここ、狂おしい気持ちになっちゃったな。確か2章で「引退」を仄めかしていたけれど、「風紀委員長」という戒律を守り、皆のお手本とならねばならない立場にいて、その心は疲弊していたのでしょう。だからこそ、エデン条約を締結して、自分が必要なくなるよう平和のため尽力した。その努力を踏みにじられて、つい弱った姿を見せてしまう。……やっぱだめだな、このヒナ見て「かわいい」とか言ってられんわ。
なので、作中の先生は圧倒的に正しいですよね。生徒が困っていたら手を差し伸べる。ヒナの強さでうっかり見落としていたけれど、彼女もまた「子供」なのだから、歩けなくなったら寄り添ってあげるのが大人の役目だ。でもここで先生(&アコ)の期待に応えていつものヒナが帰ってくるのも、いいなぁ。終わったら食べたいものお腹いっぱい食べさせてあげたいな。すたみな太郎って知ってる????
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スッゲェ〜〜〜〜〜ここでやるんだ!!!!!とデカい声出しました。まさかタイトル回収を務めるのがヒフミになるとは。最初のメインストーリーに登場したのもそうだし、その演で対策委員会が助っ人に来たことも含めれば、彼女がいなければアリウスに負けていたんだろうな。自分でも認める平凡で普通の女の子が、「青春」というありふれた(しかし尊い)日常を示すワードで作品を締めくくるの、めちゃくちゃ綺麗だな。
一方で、アリウスの少女たちにとって、これ以上の絶望はないでしょう。自分たちを裏切った白洲アズサには身を案じてくれる仲間がいて、条約転覆を果たせなかった自分たちはアリウスから居場所を失ってしまう。であれば当然「死」の可能性すらある。誰かのハッピーエンドは、誰かにとってのバッドエンド。彼女たちもキヴォトスの学生であるとするなら、先生は手を差し伸べなくてはなりません。ですが、テロリストは大手を振って歩けるでしょうか。
というか、『ブルーアーカイブ』における罪とは何か、ちゃんと考えた方がいいのかもしれない。誤爆とはいえラーメン屋を爆破したハルカとミカやアリウスが同じ度合いで罰されるべきなのか、考えだしたら頭こんがらがってきた……。
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エデン条約はあくまで子供たちの対立。であるからこそ外部からの大人の介入に対しては全力で抗う。待ってました、“大人のカード”の登場です。しかも今回は「好きにパーティを編成する」権利になるわけですから、もう凄い。これまでのストーリー上の戦闘はイベント戦みたいな扱いでしたが、ここだけは違う。自分で育てた、自分が愛する生徒で、巨悪に立ち向かう、最高のカタルシス。これまでの全てをぶつけて、明るい未来を勝ち取ろう。
🔥行くぞテメェら👊
「こんなクソ忙しい日に、何をしているんだい」
「ブルアカのデイリーとスタミナ消化をこなしているんですよ」
ありはそう答えると、視線を手元の端末に戻しました。
「こんなコンテンツ飽和の時代に、真面目なこったなぁ」
きりぎりすは、ありをばかにして、笑いながら見送りました。
「ぶるーあーかいぶ」というゲームは、バトルをやらなくてもメインストーリーが読めるゲームなので、きりぎりすは育成を真剣にせず、映画館にいったり女児アニメのライブに行くために東京に行ったりサブスクで海外ドラマを観たりして、ぶるーあーかいぶを起動すらせず遊び呆けていました。
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いや勝てんが??????
メインストーリー読めんのだが????
つづく
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