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TCG未経験だけど、TVアニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』を全部観る(DMクエスト&DDM編)

これまでのツナ戯王

アニオリ回だぜ、兄サマ!

 デュエリスト・キングダムにて見事優勝し、遊戯は双六の魂を取り戻し、城之内は妹の手術費を手に入れた。こうして童実野町に帰ってきた遊戯たちの前に立ちはだかるのは、レベッカ・ホプキンス。……誰??

 『遊戯王』に関してはズブの素人だが、週刊連載漫画のアニメだったら心得はある。ついにやってきた、アニオリ回。アニメの進捗が原作に追いつき、未映像化の原作ストックを貯める期間などに挟み込まれる、原作にはないオリジナルエピソード。当時の事情については明るくないので詳細は不明だが、思い返せば王国編ではほとんどの場合1デュエルを2話で描いており、それでも40話以上(すなわち一年近く)放送していたわけだが、ついにやってきたらしい。無から湧いてきたキャラクターが、無から湧いた因縁で主人公たちの前に現れる、そんな小休止のエピソード。

 このレベッカ嬢、12歳にして飛び級の大学生という天才少女にして、デュエルモンスターズの全米チャンプの称号を勝ち取った。しかし一方で、自前のテディベアに話しかけるなど(アニメ的な)年相応さも持ち合わせている、そんな少女。彼女は祖父のアーサーが所持していた「青眼の白龍」のカードを双六が奪い取ったと吹き込まれ、それを取り戻すために遊戯にデュエルを挑むのだが、そんなデマを吹き込んだのはあのキース・ハワード。なんでこんな遅効毒を仕込んでるんだよアイツは。

 というわけで、視聴者全員が「誤解」だと確信しながら見守ることになる遊戯VSレベッカのデュエル。あえてモンスターを墓地に送り、「黒き森のウィッチ」「シャドウ・グール」のコンボで遊戯に挑むも、ラストは遊戯があえてサレンダーすることで彼の(そして双六の)真意を知り、見事和解。嵐のように現れて、脱兎の如く去っていくという、なんとも不可思議なエピソードだった。

逆襲のBIG5

 レベッカのエピソードを済ませても、まだアニオリ回は続く。今度はあのBIG5が相手とくれば、原作既読者のワイ将、困惑、である。

 原作を読んでいる頃から気になっていたのだけれど、とある会社の重役が「BIG5」って呼ばれてるの、絶望的に嫌だろ。自分がハチャメチャに偉くなったとして、「ククク……今日からお前もBIG5の一員だ……」「おはよう、BIG5の3……休暇は楽しめたかな……?」とか言われたら、最悪だろ。ゼーレみたいにモノリスを用意せえ

 そもそも(その2)、原作の時点で「CEOである海馬を下した遊戯にペガサスが勝つことで海馬コーポレーションの社長を入れ替えさせる」のも、とんでもない話ですよ。株主の意向とか反映しないタイプだし、愛社精神の欠片も感じさせない無能っぷり。しかもこのTVアニメ版では海馬に対し「自分たちのゲームをクリア出来たら(クビを)受け入れる」と偉そうに海馬を挑発し、自分たちが会社をペガサスに譲渡しようとしたことを責められると「社長が遊戯に負けるからですよ」「会社の信用を取り戻すためだ」と言い張る。あの、会社のCEOがカードゲームに負けることで失墜する会社の信用ってなに?????と頭クラクラしていたわけだったが、ここで有識者より解説が飛んできた。

遊戯王の世界は後々「財界・政界・デュエル界」と呼ばれるくらいデュエルモンスターズの権威が強大になるので界隈のトップを走る企業のCEOが負けたとなると重大な信用問題に発展する

https://twitter.com/amamiharukasan2/status/1680400500334952450

 マジか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。というわけで、ペガサスがいなくて後ろ盾が何もない会社の重役5人集VS会社の社長というよくよく考えたら最初から勝ち負けが見えている縦社会のデュエルが始まるかと思いきや、愛しのブルーアイズと共に海馬が「ドラゴン族・封印壺」に閉じ込められ、モクバのヘルプを受け遊戯たちも「デュエルモンスターズクエスト」に挑戦することに。

 ロールプレイングゲームの如くモンスターを倒せば硬貨が得られる世界で、遊戯たちは舞に出会い、冒険を進めていく。そして何やかんやありましてついにラスボスと決戦。その名も「ファイブ・ゴッド・ドラゴン」……なんかこう、もっとあるだろ!!!!!!!!

 いや、カードのイラストだとまだマシだな……。アニメの5龍、カットによって体つきがマッチョだったり小太りになったりと不安定な身体に、あまり生気を感じさせない五つの首が、日本語で喋るせいで、なんかもう疲れてきた。2〜30年近く会社員やってきて、数々の修羅場を乗り越えて、重役にまで上り詰めた男たちが、自分たちから「BIG5」を名乗り、あまつさえドラゴンにまでなって、ファンタジーの世界で生贄を捧げさせている。子どもに見せられるか?そんな姿を。

 BIG5、出てくるだけで嬉しくなるボンクラさを纏った永遠の少年ということで、今度こそ粛清。海馬も社内に面倒な奴らがいなくなって、さぞスッキリしたことだろう。……ゴメンなんだか今回筆が乗らないです。

御伽の輝き、瞬き

 ようやく原作由来のエピソード、「ドラゴン・ダイス・ダンジョン編」がアニメ化されたわけだが、ゲーム名は「ダンジョン・ダイス・モンスターズ」に改名され、その他のオリジナル要素も多いせいでほぼアニオリ回みたいになっている。

 みんな大好き御伽龍児の数少ない主役回なわけだが、双六に強烈な憎悪を燃やし、双六の店の向かい側にゲームショップを建てるほどの復讐鬼となった御伽父が、なんとアニメには未登場。御伽の動機も「自作のダンジョン・ダイス・モンスターズを認めてくれたペガサスを遊戯が倒したせいでゲームを広めるチャンスを失った」ことを恨み襲いかかってくるという改変がなされている。

 さらに原作では、千年パズルが破壊され闇遊戯が表に出られず、したがって遊戯が御伽とのゲームに挑戦し、最後は決死の覚悟で千年パズルを再び組み直すという、「相棒」との確かな友情を示す重要エピソードだったわけだが、なんとそれすらも廃止。いつもの如く闇遊戯が闘い、恐るべきスピードでDDMのルールを理解し、御伽を倒すという筋書きになっている。

 毒親からの支配ではなく、ゲーム好きが行き過ぎてしまったが故の復讐と、ゲームを通じての和解。原作よりも爽やかで、ゲームの勝敗が生命に関わるという童実野町らしさが脱臭され、良く言えば見やすくなったアニメ版の改変。しかし、遊戯と闇遊戯の友情を描くエピソードの削ぎ落としは、後々の展開に説得力を欠くのでは……?と思っていると、次回予告にてキースさんの再登場が確定し、パズルを奪い取ることが明かされる!!あぁ、御伽龍児の印象がまた薄くなっていく……。

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