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『リコリス・リコイル』、よかったね〜〜〜〜😀😀😀

 いや、本当、マジでよかった。正直なところ「JKがジョン・ウィックやってるアニメがあるよ」と言われて過言〜〜〜〜〜って馬鹿にしていたのに、いざ観てみたらトントン拍子にハマってしまった。どれくらいハマったかと言うと、二日で2話〜13話まで駆け抜けて、先程小説版を購入し、サントラ目当てで円盤に手を出すかずっと悩んでいるくらいには、ロスに苦しめられている。リコリコ終わらないで〜〜〜😭😭😭😭

ストレスフリーな物語が関係性への耽溺を促す

 『リコリス・リコイル』というアニメ、折り返しの6話まで観た印象としては「描きたいものが明確でいいな」ということだった。それはもちろん、千束とたきなの関係性、これに尽きると思う。

 まず対照的な色彩と性格のキャラクター造形は言うまでもなく、二人の可愛らしいやり取りは命を奪い合う凄惨な日常への清涼剤として機能していて、終盤を除けば毎話彼女たちのホッとさせる会話劇に「花の塔」のイントロが流れてエンドロールへと向かう、まるで『シティハンター』のエンディングのような安心感が病みつきになってしまう。二人の関係性は友情であり、バディであり、そして百合としても読み解くことが出来る。本編では距離感の近いイチャイチャを繰り広げつつ、アイキャッチで二人の耽美な絵(必ず彼岸花が添えられている)を見せつけてくる辺り、制作陣から視聴者に対しては「ウソ」は無かったな、と思う。これが作りたかったし、これが観たかったんだろう?という一種の共犯関係。

 もちろんその反動として、「親元のいない孤児が治安維持の名の下に消費されている」というグロテスクな社会構造は、綺麗サッパリ隠匿されている。むしろその欺瞞を暴くために真島がいたわけだけど、その主義主張は千束の納得によって否定され、世界は見知らぬ誰かの犠牲の下で稼働する平和を享受し続ける、というバランスに収まった。

 先程、知ったような口で"制作陣から視聴者に対しては「ウソ」は無かったな”と語ってはみたけれど、ここだけは巧妙に印象操作されたな、という所感がまだ残っている。実際、現場で未成年の血が流れていて、その死はだれにも悲しまれることなく、DAの大人たちはそのことに追悼の意を捧げる描写すらない。倫理的にも当然許されるわけがないこの搾取構造に対し、作中では阿部刑事の口を借りて「ああいう子が安心して暮らせるなら、誰が何を隠蔽していたっていいだろう」と言わせてしまう。これズルいよな〜って思いながら、千束とたきなの関係性や「ジョン・ウィック撃ち」をキャッキャ言いながら楽しんでいる私にはすでに本作を批判できる立場にはないというか、要は「してやられた」「惚れた弱み」というやつだ。

 この、「社会を維持するためのコスト」を無垢な若者が担っている、という構図をさらに突き詰めると、偉大なる先行作品として『魔法少女まどか☆マギカ』がすでに存在しているわけで、そことの差別化として「現実はブラックだけどこの二人の関係性だけは何人たりとも犯せない尊いもの」としてキレイにポップにコーティングする、その試みは大成功だと思う。それも消費だろ、と言われたら言い返せないけれど。

 何にせよ、効率重視で周りを顧みないたきなの中で千束の存在が大きくなっていく過程や、二人が殺しの世界から離れて「普通の」女子高生のように買い物や甘い物を楽しむ時間がかけがえのないものに変わっていく心情を我々視聴者も共有できたからこそ、二人がハワイで笑って生きられる結末にホッと胸をなでおろす。問題は山積みだし倫理的な問題は巧妙にはぐらかされたままだけど、リコリコはこれで良いと思う。3話の噴水の前での掛け合いみたいなの、永遠に見ていたかった。

それはそれとして

 ちさたき良いよね〜〜で終われるほど、本作は浅いアニメでは無かった。殺し屋JK百合を釣り餌に中年男性激重感情を見せつけてくる『リコリス・リコイル』もう一つの顔は、私にとって2022年最萌えカップリングに選ばれてしまった。

萌え男その1
萌え男その2

 実は本編視聴時、焼酎を片手にスペースを開いて半ば実況しながらの視聴をしていたのだけれど、最もデカい声を出してしまったのはこの二人だった。思えば、喫茶リコリコは珈琲と和菓子がウリのお店らしいのに、それよりもウィスキーグラスが似合うこのイケオジはなんか浮いてるなぁとボンヤリ観ていたけど、この吉松という男がミカにとって色んな意味で「夜のお客」だったことがわかるシーン、めちゃくちゃ興奮しましたね。

いや、だってめちゃくちゃエロいんですよこの二人!!!

 次回予告そっちのけで「あらあら〜〜〜〜〜〜😀」な会話を繰り広げるお二人だが、実際の過去はもっと凄い。ミカは言うまでもなくDAの関係者だから殺しなどの裏世界に精通しているし、吉松はアラン機関のエージェントとして才能溢れる人材を世に放つ仕事をしていれど、まだ認可されていない人工心臓を千束に与えたり、真島のように才能を破壊などのアナーキーなことに使う人物がいる以上彼も決してクリーンな人物とは言えない。

 だからこそ!夜の高級クラブで!白いスーツを来たミカが!吉松と秘密の逢瀬を重ねていたッッ!!!!という事実が明らかになり、「なぜこれが地上波放送されたのか」マジで心配になりました。そしてこの二人、かつては恋仲であったことが示唆されると同時にお互いが「最強の殺し屋・千束」を生み出した父親でもあり、千束という共犯関係によって別れた後でも繋がっている元恋人という関係性が浮き彫りになっていて、何それすっげぇ……と天を仰ぎました。

 その上さらにミカさんは「自罰としてタバコを吸う」「サイレント・ジンとは過去相棒の関係性であったらしい」「フキに恋愛感情を向けられている」ということも順次明かされていき、もう満点です。萌えの過積載。何日徹夜したら思いつくんだこの人間交差点。

 ちなみに、ミカ役のさかき孝輔さんがインタビューでマイベスト演出を聞かれた際の回答が10話の千束との会話を挙げられていて、ここも良かったね……。娘への隠し事の懺悔として自らの罪を、泣きながら告白するシーン、観ていて情緒がめちゃくちゃになりそうでした。あそこで幼い千束の落書きが映るの、ズルいよ……。

さかき:第10話、喫茶リコリコでの千束とミカの場面。
ミカから懺悔の告白を聞いた晴れ着姿の千束の、手の演出が素晴らしい!

喫茶店に入り込んでくる光の加減も抜群ですが、これまで何百回も拭いてきたであろうカウンターを愛しげに撫でる画で、千束の気持ちが痛いほど伝わってくる……。

安済さんのお芝居が見事だからこそなんですが、終始千束は後ろ姿で表情は一切見えないのに、素晴らしい場面になっていますよねぇ。さらに、ずっと陰になっていたミカが千束の言葉に救われた瞬間、彼にも光が差すんです! いやぁ、震えました。

アニメ『リコリス・リコイル』第12話放送後インタビュー:小清水亜美さん(中原ミズキ 役)×久野美咲さん(クルミ 役)×さかき孝輔さん(ミカ 役)|みんなが愛し願えばきっと、未来が紡がれる。【連載 第12回】

 ただね……私はどうしても吉松との掛け合いのシーンの感想が聴きたいッッ!!!!!どう演じたか、何を意識したかなどの演技プランが聴きたいッッ!!!!!あと過去編のドラマCDとか欲しいし、ヒロインアーカイブはちさたきじゃなくてシンミカで出せ!!!!!!!!!!と言いたくなってしまう。

 いや〜〜〜〜〜、マジで最高のアニメでした。覇権を取るにはそれだけの理由があるというか、アクションなり作画なり関係性のフックなり、話題性とハマリへの切り口が多くて「そりゃあ売れるわ」ということを改めて意識させられました。そして可愛い女子女子の掛け合いを隠れ蓑にして激シブ男の罪を巡る共生関係を見せつけるの、マーケティングの勝利だと思います。近年の成功作でいうと『アイドルマスター シャイニーカラーズ』が現行でCV:津田健次郎のイカレ自罰中年アイドル事務所社長男性の物語を紡いでいるところですが、それに近いシンパシーを感じました。

 ……なんでこの方向性でエロい作品が多いんだ!!!!!

 以上です。2期とか劇場版とか過去編OVAとか、待ってます。「花の塔」のイントロが流れてきたので今日は店じまいです。

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