見出し画像

念願のキンプリ応援上映に参加したら笑顔を取り戻した話

世界は輝いていたよ

 そうやって何度も、画面の向こうのプリズムスタァたちは語り掛けてくれた。プリズムショーはいつだって超面白かっこいいし、シンちゃんは自分の中の感動を伝えようと一生懸命にステージを舞い、そこから始まった7人の物語はとてつもない奇跡を見せてくれた。

 そうは言うものの、心の底ではまだ信じきれていなかったのかもしれない。仕事は上手くいかないし、立場上、隠し事をする機会が増えてきた。誰かが嫌な思い、悲しい思いをするかもしれない決め事に関わることになり、近頃は気疲れの連続。疲弊する心と身体、消えることのない将来への不安など、自分が押し潰されていくような感覚に襲われることが増えてきた。

 そんな余裕がない日々の中、公開時間と都合が合わず一週目を見逃してしまった『KING OF PRISM ALL STARS -プリズムショー☆ベストテン-』を、ようやく観ることができた。場所は聖地・新宿バルト9、一日に通常・応援の両方を複数回上映する福利厚生の手厚さに恵まれ、今しかない!と飛び込んでみることにした。今となっては、東京遠征の締めくくりにこの映画を選んで本当に良かったと心の底から思える。明日を生きる活力をくれるのは、いつだって大好きなコンテンツだと再確認できたからだ。

納得のベストテンにひれ伏した

 今回の映画は、ファン投票によって選ばれた10本のプリズムショーとシンの新作プリズムショー、ブリッジとしてミニコーナーや惜しくもベスト10に漏れたショーを週変わりでお届けする構成となっており、全体を貫く物語のない「プリズムショー選り抜き版」に徹している。プリティーシリーズではこのようなベスト版の映画は過去も作られたというが、めちゃくちゃ攻めた企画としか言いようがない。

 ほぼプリズムショウだけを繋げて観るということは『キンプリ』の一番気持ちいいところだけを連続して摂取することになるわけで、推しアイドル楽曲のサビしかないヒットメドレーを聴いていることに等しい。はっきり言って、観ている間は多幸感しかなかった。ランキング形式で楽曲が発表される度に「わかる」と心の中で叫び、その楽曲に至るまでのドラマが走馬灯のように脳裏を駆け巡る。その繰り返しをひたすら10回。プリズムのオーバードーズで死を意識せずにはいられなかった。

 そう、今回のベストテンは「ファン投票」という部分が本当に大きい。10位からゼウス様の盛り上がるロックナンバー、タイガの「らっせーらー!!」が楽しいねぶた祭りと続き、SSSを中心に人気のショーがずらりと並ぶ前半部。ミニコーナーを挟んでの後半ではSSSを飛び越え『キンプリ』シリーズでも屈指の人気を誇るショーのつるべ打ちで、これを大画面大音響で浴びられる幸せに、ただただ打ち震えるしかなかった。

 1位と2位はアレだろうな、という事前の予想から外れることは無かったが、ファンの総意によってあの王位戴冠が1位に選ばれるというのは、キンプラのストーリーとも合致していてこれだけで燃える。その一方、天然ガスでおなじみのアレがまさかの順位に食い込んでおり、終盤の盛り上げをさらに押し上げていく。

 劇場という環境がそうさせたのだろう。シアターは暗く、携帯電話をOFFにすれば着信やSNSの通知に気をとられることもない。ただそこにあるのは画面いっぱいに跳躍するプリズムスタァと大音響で鳴り響くヒットミュージック、訓練されたキンプリエリートのお姉さんが奏でる、光と声援のシンクロ。

 これまで配信で観ていたときよりも解像度が高く、直接脳と網膜に焼きつくキンプリヒットメドレーは、言葉に表せないほど素晴らしかった。劇場でキンプリを観た先輩方が「観てくれ」しか言えなくなるのもようやく理解できた。この煌めきを表現する言葉が思い付かないのだ。だからこそ「キンプリはいいぞ」という定型句に落ち着いてしまう。その事を感じられただけでも、劇場で観た甲斐があるというものだ。

 個人的には、TVシリーズでも心掴まれたレオくんのプリズムショーで、すでに顔がぐしゃぐしゃになるくらい泣いてしまった。「好きなものは好きでいいし、ぼくはあなたの好きを肯定する」というメッセージを高らかに可愛らしく歌い上げる彼の姿が、PCのスクリーンで観たときよりもより眩しく煌めいていて、琴線に触れて泣きじゃくってしまった。また、ずっと応援上映したいと心望んでいた「pride -KING OF PRISM ver.-」は、事前の予想を遥かに越える興奮と感動で私を包んでくれた。圧倒、という言葉が相応しく、60分という比較的短い上映時間でも体感では15分くらいの、駆け抜けていくような一時だった。

 シンの新作ショーでは、シャインの介入によって「観客を笑顔にする」というプリズムショー本来の在り方を逸脱した罪を詫び、観客と一緒に盛り上がるためにクラップや掛け声を重視した楽曲になっており、彼の真っ直ぐな性格が伝わるショーでここでも涙腺を刺激される。応援上映向きのギミックに溢れた楽曲ゆえに、振付やコールを覚えて二度三度と観たくなってしまう、最高の新作パートだった。

 また、鑑賞した週はストリートルートだったのだが、ここは実質「大和アレクサンダー応援上映」のコーナーと化しており、彼のパワフルなダンスと美声を、ひたすら浴びることができる一時だった。TRF!シックスパック!会場破壊!!これらを最短距離でメドレーにされたら、こちらの語彙は死ぬ。元々アレク推しだったこともあり、あれもこれも応援上映させてくれるとあればもう抗えない。戴冠式が始まる前なのに公式に向けて「はは~っ」と頭を垂れる気持ちになってしまう。

 ファン投票だから当たり前かもしれないが、選曲も順番もその全てが「わかりみ」に満ちていたし、結果として完璧なヒットメドレーが生れたことに、スクリーンを出てから何度もその喜びを反芻してしまう。作り手の情熱、楽曲に付加されたストーリー、ファンの総意。これらが調和したベストテンを、今劇場で浴びることが出来るなんて。やはりキンプリは喜びに満ちていた。

応援上映でキミも映画の一部になろう

 元々応援上映によって注目されたキンプリなだけあって、その聖地で初体験を遂げられることは感無量だったが、その光景は驚きに満ちていた。冒頭の週変わりウェルカムムービー場面こそ静かだったため「おや?」と思ったものの、本編が始まるやいなやベストテンの順位を完全に把握したエリートたちがすばやくサイリウムの色を変え、劇場が同じ色に染まる瞬間の美しさたるや!その調和を乱してしまったのが初参加の私なわけで、ここはとても心残りだった。

 それぞれのキャラクターのイメージカラーに合わせて光るサイリウム、全力で挑むアフレコ、合間のミニコーナーでは方言に苦戦しながらも、まるで画面の中のステージの観客になったかのように、映画のリズムに溶け込んでいくエリートのお姉さんたち。後方の席を取っていたこともあり、先輩方の応援の作法を真似するだけでも自然と入り込めるようになるし、一体感が高まるほど作品とのシンクロ数も飛躍的に上がっていく。

 映画と観客がその時のプリズムショウを形作る、この工程こそキンプリ応援上映の醍醐味であると、肌で感じることができた。これは病みつきになってしまう。もっと応援したい!プリズムの女神の前で誓いたい!!劇場を出て一番にしたことは地元・九州の応援上映のスケジュールを調べることでした。

キンプリは最高

 元々、他のアニメのイベントに参加するために東京に遠征した三日間、楽しくて仕方がなかったのは事実だが、最終日のその日、翌日からの仕事のことがどうしても気になってしまい、昨日までの幸せな気分との反動でナーバスになっていた。

 そんな自分が笑顔を取り戻し、前向きな気持ちで東京を後にすることが出来たのも、キンプリのおかげだった。キンプリを観れば、鬱屈とした気持ちも、青空のように晴れていくかもしれない。今抱えている苦しみや悩みは消えないけれど、プリズムスタァがそばにいてくれる。プリズムショーを、プリズムスタァを愛する限り、彼らは私たちの笑顔のために最高のショーを何度だって披露してくれるだろう。

 それって、大げさでもなく私にとっては「救い」なんですよ。アニメが、いやこの世のすべての創作物が、誰かの人生を明るくし、救うことだってある。そのことを思い出させてくれたキンプリのことを、これからもずっと応援し続けていたい。

 スタァはファンを笑顔にすることを誓い、ファンはそんなスタァを応援すると誓う。相互関係の愛が形になった今回の映画を観て、世界の見え方が少しだけポジティブに変わっていく。だからこそキンプリは最高で、この世知辛い現実を生き延びるための祈りとなる。まさしく「観るセラピー」なキンプリベストテンは観られるうちに何度も劇場に駆けつけたいし、笑顔が減ったと感じたら彼らとの誓いを思い出して生きることにしよう。そして、なんだか生きづらいと感じている人に、どうか騙されたと思って、この映画を観に行ってほしい。

いいなと思ったら応援しよう!

ツナ缶食べたい
いただいたサポートは全てエンタメ投資に使わせていただいております。

この記事が参加している募集