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俺ちゃん怖いもの無し。『デッドプール2』【ネタバレ無/短評】

 アメコミ映画としては異例のR指定映画でありながら大ヒットを記録し、主演ライアン・レイノルズにとっても雪辱を晴らすことになった『デッドプール』が、ついにスクリーンに帰ってきた。未来からやってきたサノス顔のターミネーターから、太っちょミュータントを守るべく鬼ヤバ新チームを結成。その名も「Xフォース」!!

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おそらく彼らもXフォース。Xは一心同体。

俺ちゃんが出て殺す。

 今作の監督を勤めるのはあの『アトミック・ブロンド』のデヴィッド・リーチ。俺たちのシャーリーズ姉さんを痛めつけた(注:本人もノリノリでした)鬼畜野郎だが、目まぐるしくも混乱しない殺陣の組み立て、重火器の扱いに長けた映像は文句無しで格好いい。しかもアクションの間でもストーリーは停滞せず、絶えずデップーは俺たちの腹筋を試してくる。ド派手なカーアクションや華麗に舞うスタントも、全ては増えた予算のおかげだとか。ケチな製作会社も重い腰を上げ、俺ちゃんに投資する気になったらしい。

俺ちゃんは児童虐待を許さない。

 ウェイド・ウィルソン。愛する者と出合い幸せの絶頂の中ガンを宣告され、そして邪悪なエージェント・スミスとリブート版トランスポーターの主演男優に改造され、死ねない身体と醜い容姿を得てしまった悲しき男。そんな悲運を笑い飛ばし、愛のために闘うヒーロー。それがデッドプールの物語だ。

 ヒット作の続編とは時に前作のテーマを蔑ろにしてきたが、俺ちゃんの製作陣はその辺抜かりがない。デップーの闘う動機は常に"LOVE"一筋。愛するヴァネッサの頼みなら地獄の閻魔様だって倒してみせる。

 愛するベイブの頼みでお子様ミュータントのお守りをすることになったデッドプールだが、不良少年を正しい道に戻すのもヒーローの使命。本作はさながらデッドプール先生の道徳の授業と化し、児童虐待、性差別、人種差別は絶対に許さないスタンスの元、悪い大人を次々に粛清していく。世直しデップー先生の心は海のように慈悲深い。人権教育にも最適な教材としてご好評いただいております!(R15指定)

俺ちゃんはお前たちを”見て”いる👀

 デッドプールの特徴と言えばなんといっても、次元を越えて映画を観ている俺たちに語りかける“第4の壁”の知覚にある。あのプロフェッサーXでさえ見通せない世界までもを感じ取れる俺ちゃんは、常に観客へのサービスを忘れない。

 本作におけるメタフィクションネタは、その密度も濃さも前作以上で、2時間ノンストップであらゆるものをイジり続ける。MCUやDCに代表される近年のアメコミ映画史、さらにはあのディズニーを標的にするなど、完全に怖いもの無しの独壇場と化したデップー劇場。その上、本作は「ライアン・レイノルズ」そのものすらネタにして、主演本人のキャリアを総括させる離れ業を成し遂げた。アメコミ映画と浅からぬ縁があるライアンだが、どこか苦い思い出であったに違いないそれらを、ある驚きの手法で成仏させてみせた。そのためならどんなカメオ出演さえ成し遂げてみせる、製作側の意地も垣間見える抱腹絶倒のシークエンス。ずっとしかめっ面のサノスも、きっと笑顔になるに違いない。

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俺には俺ちゃんを語る語彙力がないから終わる

 ところで、俺ちゃん曰く本作は「ファミリー映画」だという。たくさん血が出たり俺ちゃんが真っ二つになって臓物がポロリしたりするが、確かに本作はファミリー映画だった。いやほんと、マジでそんな感じなので騙されたと思って観に行ってほしい。あとライアン・レイノルズのwikipediaとか目を通しておくと良いかもしれない。コミックの予習も必要ないし、予告編以上の予備知識も必要ない。俺ちゃんは映画館でお前たちを待っている。フルチンで。

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サービスショット☆

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