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伝統を次世代へ 籠屋ハセガワ

今回取材させていただいたのは、宮城県東松島市にある籠屋ハセガワ。

山間部や寒冷地において古くから受け継がれているカゴ編みの魅力を、老若男女問わず感じ取っていただきたい。

伝統を次世代に

籠屋ハセガワの工房兼ギャラリーは、仙台市から車を約1時間走らせた東松島市にある。
そこは筆者の出身地だ。
山と海に囲まれたのどかな街に佇む一軒の蔵。
扉を開けると、山葡萄作家である長谷川さんがカゴ網の制作を行っていた。

カゴ網を製作する長谷川さん。

長谷川さんがカゴ網を作り始めたのは8年前。
元々もの作りが好きな性格であったこともあり、カゴ網の存在は知っていた長谷川さん。
当時インターネットで山葡萄のカゴ網教室を検索したところ全国で2件しかない教室が奇跡的に古川にあることを知り、通うようになった。

そこからカゴ網の魅力にどんどん取り憑かれていったそうだ。

「カゴ網の素材はいろいろなものがあるが、その中でも山葡萄はとにかく硬くて大変」と長谷川さんは話す。
長谷川さんがカゴ網の材料として使う山葡萄の蔦は頑丈ですごく硬い。

実際に使用されている山葡萄の蔦。
取材時に触れさせていただいたがとても頑丈で硬かった。


山葡萄の他にアケビや欅などの素材もあるが、山葡萄は最も硬いと言われている。
その硬さゆえに作業は大変だが、山葡萄で作られたバックは長持ちするそうで、親から子へ、子から孫への3世代に渡って受け継いでいける物だそうだ。

「人生に寄り添い、共に年をとっていける」山葡萄のカゴ編みにはそんな魅力があると感じた。

店内には山葡萄で作られたカゴ網やアクセサリーが並ぶ。

ところで皆さんはカゴ編みを知っていただろうか。
質問の回答をここで確認することはできないが、おそらく大半の人がその存在を知らなかったと答えるだろう。
私もはじめはそのうちの一人にすぎなかった。

だが、今気づけた。
こんなに素晴らしい文化を、伝統を絶やすのは勿体無い。

経済成長の恩恵を受け、大量生産が主流になってきている現代。
カゴ網に限らず、多くの伝統や文化が手間とコストがかかるという理由で衰退していく。

この現状に誰かが気づき行動していかなければ、「受け継がれてきたもの」が途絶えてしまう。

筆者は、伝統や文化を継承する人たちにフォーカスし取材を続けているが、この活動を通してより多くの人に関心をもっていきただきたいと改めて感じた。

築140年の蔵をリノベーション

籠谷ハセガワの工房兼ギャラリーは、築140年を超える米蔵を改装した物だ。

元々義理の父が所有していた米蔵だったが、長い間使われることはなく、東日本大震災の影響で蔵は傾き、津波による浸水被害もあったそう。
震災から数年経った一昨年、蔵の解体の話もででいたそうだ。
「歴史ある建物を解体し更地にすることは簡単だけど、もったいない」その思いから、蔵をどうにか残せないかと考え、改装し工房兼ギャラリーとして活用することに決めた。

築140年の米蔵(改装前)

蔵の傾きや外装は東松島市在住の宮大工が、内装は仙台市にあるアンティークショップアトリエモルソーの店主が手がけたそうだ。

一年の月日を経て長谷川さんの熱い想いと、二人の技術により蔵は生まれ変わった。

築140年の米蔵(改装後)

「東松島市のシンボルになるような蔵になってほしいな」そんな願いを呟いた長谷川さん。
充実感に満ち溢れた彼女の笑顔は、とても素敵だった。

おわりに

今回は東松島市にある籠屋ハセガワを取材させていただきましたが、いかがだったでしょうか。

「伝統や文化を次世代に受け継いでいきたい。」そんな思いが伝わっていただけたら嬉しいです。

これからも"つむぐ"を通して多くの方々と関わり宮城の魅力を発信できるように精進していきたいと思います。

"つむぐ"の活動についてご意見やご要望などございましたら、お気軽にご連絡ください。

これからもよろしくお願いいたします。

店舗紹介

籠屋ハセガワ
address  宮城県東松島市矢本字大林270
tel     070-8338-6052
営業日   不定休(営業日はこちらより)
営業時間  基本11:00~17:00(営業時間はこちらより)
instagram https://www.instagram.com/kagoyahasegawa/


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