憧れ

環境汚染に耐え、忍ぶように ひょろりと伸びた名前も知らない木。誰も見ない、気にもしない一本の木。そんな木に芽吹いた葉が一枚。強風に煽られて飛ばされた。

空を舞い上がる。憧れていた鳥になれた気分だった。その一瞬を誰かが見てくれた。憧れていた美しい花になれた気分だった。

風により 空の上を下を浮かんだり沈んだりしながら流された。そして着地した。そこでカラカラに乾き、枯れた。バリバリと誰かに踏まれ粉々になった。

強い風が吹けば、また舞い上がる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?