OMORI サニー2種EDを終えて 感想
⚠ がっつりネタバレありの感想です!まだクリアしてない人は絶対に読まないでね。
この記事は身内用に書いたものを再編集し、アーカイブを目的にしたものとなります。
結論から言うとすんごい面白かった。
ただ僕はこのゲームを他人に「絶対やれ」と気軽には言えない。
全体的な感想
システム的な部分への感想
ユニークな舞台ばかりで飽きなかったし、感情によるバフ・デバフを考える戦闘も面白かった。ちゃんと考えながらやったらその戦術がちゃんと通るので気持ちいい。
ボスの形態変化後の連撃、うさかなちゃんなど増援即行動とかプレイヤーの思考から外れた調整もやや見受けられたけど、絶妙に歯ごたえがあり考えるのが楽しかったですね。
フィールド移動についてはスイハ城とか室内は若干ダルさを感じるものの割と親切に出来てるかなと思った。ファストトラベルも有るし。ただ仕様上ナナメ移動ができないのでナナメ移動を促すとこはちょっと面倒でした。
話やキャラ描写などについての感想
景観やイラストレーションは文句無しで100点でしょう。独自性とポップさを兼ね備えている素晴らしいものでした。派手な色使いでもあるのですが目が疲れないし見やすいバランス。
フィールドにおいて仕掛けなどがわかりにくいと思えるポイントはほぼなかったのも良かったですね。平面的なフィールドにおいていかに飽きさせず景観を見せるかという部分をクリアしていました。
マザーやマリオRPGなどのようにユニークな話とキャラが続々出てくる展開は王道で楽しい。確認したら・話しかけたらどんな反応が返ってくるだろう?と思えるテキストは魅力的です。これは地の文やNPCのセリフがユニークでかつ読みやすい文章でなくては発生しない感情ですから。
キャラ描写も全体的に「難ありだが憎めない」を徹底していましたね。これらは現代編でも同じです。徹底してユニーク系の王道RPGをリスペクトして作ったのが感じられたし、純粋に楽しいものでした。
でもこれだけだと、このゲームはよくできたSFC~GBA時代リスペクトのJRPGだなという感想で終わってたでしょう。
この作品の要である現代・ホラー・メインシナリオ内の感想に行きます。
謎が深まり、解かれるホラー描写と現代編の感想
このゲームが持つ魅力として「偽りの暖かさ」を持つ世界と「本当のこと」を持つ世界を行き来するという点があります。
プレイヤーは現代に帰ってきたとき、あの匂わせホラー描写たちは何だったんだ?というのを知りたいと思うはずです。伏線だけでなく夢の中での元ネタや細かな描写ふくめて、現代編がちゃんとそれらの謎解きパートとして機能していたのが面白く、そこからは一気にやってしまいました。
要は現代編はRPGというよりADV。そして何より本当にすごいと思えたのは現代編が持つ「本当の暖かさ」にだんだんと居心地の良さを感じる点。これがあるからサニーは己と向き合えたのですね。
そう感じさせる魅せ方が上手で、その暖かさに大きく機能しているのがお隣さんであるヒロとケルの一家。この一家のあるなしは本当に大きかった。
あの夢の中の6人がもう一度、向き合うために集う。その物語もまた王道で気持ちのいいものでした。また集って並んだあのシーンは胸が熱くなりましたね。お泊りもお墓参りも。
そんな現代編も一気に正解が出されるわけでなく少しづつドラマを通してわかっていくのが好きですね。シナリオによりキャラを動かすのではなく、キャラにより話しが動いてました。
でも、一抹の不安要素をサニーと真実に気づいたプレイヤーは抱えたはずです。手放しにこの暖かさを享受していいのか?という不安を。
その前に…ブラックスペースはやりすぎ。趣味悪すぎ!アウトレイジかと思うくらい殺し方に凝っててたまげた。これのせいでバジルくん大好きになっちゃった。
真実についての感想(ネタバレ注意)
丁寧に伏線を張っておいてくれたので終盤に行くまでにはなんとなく全容を把握できました。なぜマリの死が悲しみでなく悪夢として出てくるのか・・なぜバジルを頭から消そうとしたがるのか・・どうして「刺す」のか。
ただこの作品において大事なのは真実を明かすことだけでなく、真実と向き合うことです。その描写こそがこのゲームの真骨頂だろうとそう思って進めていきました。
その鍵が「アルバム修復」であることがわかったとき、本当にしんどい作業だな・・と胸を打たれましたね。
僕はとあるゲームでも似た体験をしたのですが…その時も今回も「よくこのシーンを作ろうと思えるな」と感心しました。だってこの真実は、頑張ってやってきたプレイヤーにとっては「プラスとなるもの」ではないのですからね。
この瞬間からプレイヤーにも問われるのですね。
サニーの罪を受け入れるか否か。
そして結末に付いての感想。
①バッドエンディング
正直僕はこの終わり方がかなり好きです。己の罪と向き合いきれなかった・・勝てなかった・・その結末がかなり人間臭いし、彼はまだ子供です。子供なんですよ。勝てるわけがない。
勝てるわけがない。そう思わせた「オモリは屈しなかった」演出は震えました。だからあの終わり方と演出は僕は一番カタルシスがありました。
要はコレって偽りではあるけどプレイヤー=サニーが一番幸せに終わるエンディングじゃないかと。皮肉なもんですよね。ただ他の人はいっさい救われません。
②グッドエンディング +水やりやった場合の映像
Final Duet………これはもう集大成という他ない。
初見時より思い返すとジワジワと胸に響くムービーでした。これを見るためにここまで頑張って、真実と向き合ってきたのですからね。
コレって結局誰にとってのグッドなの?という答えは間違いなくバジルにとってかなと思います。このゲームの目的ってずっとバジルを助ける事なんですから。
この結末も、手放しで喜べる幸せではないです。
でもあの現代編からの「本当のこと」を描ききった素晴らしいエンディングです。
僕は真実について「善意が全部裏目に出た悲劇の事故」だと考えています。皆の善意のプレゼントが全て裏目に出てしまい、サニーは疲弊し、マリはひどく傷つき動揺し、その後全員が傷ついてしまった。
これはすごく残酷な真実です。
でも皆にもマリにも、愛があったのも真実です。
それを胸に6人が、各々の因果を受け入れる終わり方なんだと思います。
総評
素晴らしいゲームですが、僕はコレを精神疾患を抱える人にはぜっっっったいに進めないです。
でもいつか触れたいと思えたとき、ぜひ触れてみてほしいとも思います。そんな優しさと残酷さを兼ね備えた痛みのRPGでした。