仮置き場、または最終処分場


酷暑には思い出されぬ故郷を厳寒の日にふと懐古する

夕方の駅は困憊した人を指嗾し喰らう怪異のようで

給湯の温度を1°C上げた朝 秋晴れの空、青は遠くて

私には見えない微かな星たちもまた、網膜を静かに照らす。

茂るビルが月を切り分け食べるから、私は月を見れないままで

火傷した舌を口蓋に押し当てる 一人で冬を感じてる夜

家にあるティッシュが全部なくなった 今日は耳の裏まで洗おう

「それこそが生の実感よ」 夜、食道をのぼるニンニクのかおり

僕たちは心の間のエーテルで互いの心を伝えられるか。

君と僕もあの電荷のようにポテンシャルエネルギーを持っているかな

カラオケで夜を明かして、明け方のサンリオピューロランドを見に行く。

耳に入った水を抜くために半裸でブオンブオンと頭を振る

「三月で仕事を辞めようと思う」  みかんで黄色くなったささくれ

感染拡大防止のため、この座席には座らないでください。

2022年9月〜12月




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