人類誕生童話 究極生命体生誕
サブタイトル『受け継がれるもの』
ナレーター「昔々ずっと昔のこと、人類が誕生する前この星に知的生命体が存在していました」
知的生命体A「我々も自然界のような気高い弱肉強食、そして美しい共生をするべきだ。それなのにどうして我々は馬鹿で醜い争いと結束をいつまでも続けるのか。こんな醜態を晒すくらいなら、いっそ自然に還るべきであろう。だから必ず作ってやる、我々が自然界に戻ることが出来る装置を」
ナレーター「それ以来、知的生命体Aは夢実現のために様々な知識を蓄えました。豊富な知識は実験と分析の積み重ねへと繋がり、念願の装置を完成させるのでした」
知的生命体A「凄い装置が出来たぞ。このボタンを押せば我々は自然界へ還元される。装置の発動には多少のデメリットがあるが気にせずに使うか。ポチットな」ポチ
凄い装置「ウインウインウイン、ガコガコガコ、ガチャッ」ボンボン
人類1「うっうぅぅ」人類誕生
知的生命体A「やっぱりデメリットで新たな知的生命体が誕生してしまったか」
人類1「こ、ここはどこだ?」
知的生命体A「地球、ボクの家の中だ」
人類1「オマエは誰だ? そしてオレは誰だ?」
知的生命体A「ボクはキミの産みの親だな。そしてキミは新しい知的生命体だ」
人類1「親、新しい知的生命体……」
知的生命体A「状況は飲み込めたか?」
人類1「ああ」
知的生命体A「この理解力、さすがは我々の後継者だとでも言っておこう」
人類1「オレが後継者ってことは消えるのかオマエ」
知的生命体A「いいねその思考力、でも消えるわけではない。キミたち新しい知的生命体が誕生したおかげで、我々旧知的生命体は究極生命体へと昇華できるんだ」
人類1「究極生命体? 変身するのか?」
知的生命体A「そうだよ、そろそろ変化が始まるころだ」
人類1「一体どんな姿なんだ?」
知的生命体A「ふふふ、どんな姿だと思う?」ニヤニヤ
人類1「その自信ありそうな表情、まさか神!?」
知的生命体「くくくっ」ニヤニヤ
人類1「やはり神になるつもりだな!」
知的生命命体A「不正解。正解は……」変身中
人類1「馬鹿なこれは……」
ネコA「これが究極生命体の姿、ネコだニャ」
人類1「か、かわいい」ニコニコ
ネコA「ここに新しい生命体誕生の宣言をするニャ」
人類1「撫でていい?」ニコニコ
ネコA「笑顔になっている場合じゃないニャ。キミたちはこれから知的生命体の愚かしさを味わって死ぬんだニャ」
人類1「はあ?」
ネコA「我々が行ってきた悪しき所業と背負ってきた罪を、キミたちがこれから経験していくんだニャ」
人類1「つまりオレがオマエの代わりに罪を償うってことか?」
ネコA「そんな風に聞こえるよね。デメリットで生まれたキミたちにとっては酷な話かもしれないから、キミたちが救世主ってことでも良いニャ」
人類1「それにキミたちだと? ふざけんじゃねえよ。オレと同様の奴らがいて、そいつらも苦しむってことかよ」
ネコA「うん。旧知的生命体の全てがネコに変身するんだけど、ネコに変身した数だけキミと同類の新知的生命体は誕生するニャ。文脈から自分と同類の知的生命体の存在に気が付くのは流石だニャ」
人類1「オレたちが何をしたよ。まだ何も悪いことしてないだろ。それなのにどうしてオマエらの道具にされなきゃならない。何を根拠にこんな卑劣な仕打ちをしてんだよ」
ネコA「理由なんて必要ないニャ」
人類1「オマエたちへの恨み絶対に忘れないから。必ず根絶やしにしてやる」
ネコA「キミたちには無理だニャ」
人類「吠えていられるの今の内だ」
ネコA「かわいいボクたちを本当に殲滅できるのかニャ?」
人類1「くっ、他の奴が……」
ネコA「他人任せかニャ。確かに新しい知的生命体もキミのような温和な奴ばかりじゃないからニャ。凶悪な奴もいるだろうニャ。でもネコのフォルムも一種類だけじゃないニャ。ボクみたいに可愛いのもいれば、キミたちよりも凶暴なネコもいるニャ」
人類1「それならオマエたちが残した武器を使えばいいだけだ」
ネコA「ふふふ、その点は対策済みだニャ。我々が残した文明は既に消滅を始めているニャ。それに例えキミたちが今残っている我々の文明を手に入れたとしても、消滅する仕組みになっているニャ」
人類1「準備が良すぎる」
ネコA(……この消滅は最初はただのデメリットだったんだニャ。でもそれが今では上手く働いてるだけなんだニャ)
人類1「くそおおおお」
ネコA「非力な力と知恵しかない、そんなキミたちが先に狩り尽されるかもしれないニャ」
人類1「……例えオレ達の世代で無理だとしても、生き残ってやる。そして次の世代が意志を継ぎ復讐する」
ネコA「どうせ数世代過ぎれば、その感情も薄れるニャ。それが知的生命体の宿命だニャ」
人類1「馬鹿にしやがって。覚えてろよな」
ネコA「無理無理、絶対に忘れるニャ」
ナレーター「それから時は移ろいました。遥か過去からの因縁、人類はネコとの壮絶な争いを今日も続けていました」
ネコ1「ごろにゃ~」
人間1「バッグからどいてよ、学校に遅刻しちゃうよ」
ネコ1「にゃお~」バッグの上で鎮座
人間1「はあ、動く気ないでしょ」
ネコ1「にゃ~」鎮座
人間1「こうなったら、キミの大好きなおもちゃを持ってくるしかないな」
ネコ1「ふにゃ~」
人間1「ほらおもちゃ持ってきたぞ」
ネコ1「……」鎮座
人間1「効果なしか」
ネコ1「ごろごろ」
人間1「これが駄目ならエサ餌作戦だ」
ネコ1「にゃあ?」
人間1「ほらエサだぞ」
ネコ1「ごろごろにゃ~」鎮座
人間1「全く効果がない。しょうがないから、今日は学校を休むか」
ネコ1「ごろにゃ~」
ナレーター「ネコと人は今日も平和に争っていました。おしまい……」
<END>
「おまけ」
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