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12月号

明るき話題これのみなのかと思ひつつ携帯に聞く今日の大谷

饒舌に仕事のことを話す夫中々カレーを旨しと言はない

丈低き草の覆ひし公園に数多の蜻蛉車椅子の母

蜻蛉を見つけられずにゐる母の車椅子にもほら止まったよ

母の記憶要らぬものから欠けてゆき言葉失ふ時遠からず

高校の同級生に幸せねと言はれて上手き返し浮かばず

老眼の眼鏡外せば薄ら呆ける手元しばらく眼を瞑る


○これが出るのは11月20日過ぎですが、短歌が詠まれたのは10月初めごろです。どうしてもタイムラグは出来てしまいます。

『長流』は地味な短歌誌です。メンバーも有名な誰それがいる訳ではありません。高齢な方々が多く、施設から出して頂いている短歌もあります。それぞれの人が日常を詠い、派手な言葉は使われていません。でも、みなさん丁寧に日々を暮らし、その中で気付いたことを歌にしている。編集委員も真面目に編集し、校正し、薄いページを仕上げています。

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