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我が家の「忠犬ハチ公物語」【音声と文章】

山田ゆり
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※note毎日連続投稿1357日コミット中。1244日目
※音声・文章、どちらでも楽しめます。



おはようございます。
山田ゆりです。



今回は
我が家の「忠犬ハチ公物語」
ということをお伝えいたします。

**今日のお話は中学三年生の頃の二女の世界である。**



12年前の今日、9月28日は
私の大好きなNEWSの東京ドームのコンサートの日だった。

前夜にお父さんと一緒に深夜バスに乗って私たちは東京に行った。

私が生まれて初めて、東京のコンサートに行った日だ。
そしてお父さんは東京にほとんど縁のない田舎の人だった。
だから二人とも東京には慣れていなかった。


夜の8時過ぎに出発したバスは、翌朝5時半頃に上野駅近くに到着した。

私たち二人は慣れない都会で朝食はどうしようかと迷った。
少ししてお父さんと一緒にお蕎麦屋さんに入った。

やっぱりここでもお蕎麦だった。

お父さんはお蕎麦が好きな人で
お母さんとお付き合いをしていたころ
いつもお蕎麦だったとお母さんが言っていたのを思い出し、やっぱり、と思った。


今日のコンサートのチケットが当たって本当にラッキーだった。

今日は学校の文化祭の代休でお休みなのだ。
それでなければ月曜日に中学生が日中、
東京でうろうろしていたら何か言われそうだ。

お蕎麦を食べ終わって私たちはグッズ売り場へ向かった。
そして、お父さんと一緒に並んでグッズを購入した。



午後3時ころに、ネットで知り合ったNEWSファンの友達と合流し、お父さんと別れた。

コンサートが終わるのは午後8時過ぎになる。
およそ5時間、あなたがお父さんの立場だったらどうする?



私だったら、5時間もあるんだから
都バスにでも乗って都内観光をするとか
疲れたら喫茶店に入ってのんびりするとかするだろう。


あとでお父さんに聞いたら
その5時間、東京ドームの敷地内にずっといたそうだ。
お父さんのことだからきっと読書でもしていたのかもしれない。

いつものように、三国志とか雑学の本とかを読んでいたんだろうなぁと察しが付く。

どこかで食事をするとかそんなことは全くせず、東京ドームの周りを、まるでダフ屋のおじさんのようにうろついていた。



そんなお父さんの姿が想像できる。
お父さんは「待つ男」だった。

「辛抱強い人」とはお父さんのような人だと思う。



そもそも、なぜ、田舎丸出しのお父さんと東京ドームに来たかというと
本当は私一人で東京に行くつもりだった。

でも、お母さんが
「中三の女の子が、東京に一人で行くのは危ない。
何かあったら駄目だから大人が付いていかないと。

本当は私が付いていきたいところだが
どうしてもその日は休めない仕事がある。
だから、お父さんと行ってきて。」
ということになったのだ。

お父さんは専業農家だからいつでも自由に休める。

一人で行けるのに~と思ったが、お父さんと旅行できるのは楽しみ。
と、いうことで、田舎者の親子が深夜バスで東京にきたのである。



コンサートは大盛り上がりだった。
私は時間を忘れて楽しんでいた。
ふと、気が付いて携帯電話を見た。

当時の私はまだ携帯電話を持っていなかった。
お母さんがガラケーを貸してくれた。
お父さんもガラケーだった。

メールを見るとお父さんからのメールの着信がすごかった。
それはストーカーと同レベルのものだった。


まだ終わらないのか

あまり時間がないぞ

まだか


そんな言葉がたくさん出ていた。

そして、最後の最後に
「〇〇(私の名前)、まずい」だった。



もうここを出ないとバスに乗り遅れる。
私はアンコールで盛り上がって総立ちしている中を
皆さんの邪魔にならないように潜り抜けながら東京ドームを出た。



お父さんはやっぱりそこにいた。
そして二人は駅に猛ダッシュした。

その時、私のズボンがストンと下に落ちた。(*'ω'*)

コンサートでずっと立ちっぱなしでウエストが細くなってしまい、
なんと、ズボンが落ち、下着姿が見えてしまった。


不幸中の幸いで、暗かったこととまだアンコールが終わっていなかったから
私の周りにはお父さんしかいなかったので
他人に見られることはなかった。

私は片手でズボンを持ちながら駅へとダッシュした。



初めてのコンサート
初めての東京
初めてのお父さんと二人だけのバス旅行


お父さんは私がコンサートを楽しんでいる5時間、どこにも行かず
じっとドームの外で私を待ってくれていた。



我が家の忠犬ハチ公物語は
お父さんが亡くなっても話のタネに上がり
家族みんなで爆笑している。


お父さん、あれから12年も経ったんだね。

ありがとう
お父さん。






今回は
我が家の「忠犬ハチ公物語」
ということをお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。



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