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次回はしないであろう仕事を終えた【音声と文章】

山田ゆり
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※note毎日連続投稿1357日コミット中。1310日目
※音声・文章、どちらでも楽しめます。



おはようございます。
山田ゆりです。



今回は
次回はしないであろう仕事を終えた
ということをお伝えいたします。



5年に一度の許可更新の申請に出かけた。
その申請は一般的な申請とは違い
最低でも1回はやり直しを言われ書類を戻される厳しいものだ。

今回のお話は次のnoteの完結編である。

「申立書」
https://note.com/tukuda/n/n4f7af6babb63

「申立書」その2
https://note.com/tukuda/n/n3778bf662dc4




のり子は二週間前に一回目の申請に出向き
たくさんの訂正箇所を指摘されその書類を持ち帰った。


そして、今日の13:00に2度目の面談のアポをとっていた。

申請先に着き休憩所で時間を待った。
午後1時に館内に午後の仕事の始まりのチャイムがのどかに鳴り響いた。

あくせくと働くのり子の職場とは世界が違って見えた。


のり子は申請先のドアを開けた。

A氏に挨拶をし、すぐに書類の確認に入った。

シャープペンシルを持ちながら、
各所にチェックを入れるA氏の動きをのり子は見ていた。

「どうか、これで終わりますように」

のり子は心の中で祈った。



途中、車の運転免許証を見せてくださいと言われた。


のり子は免許証を両手に持ちA氏に差し出した。
A氏はそれを片手で受け取り、その場から立ち去りすぐに戻ってきた。


「本人確認の為に、運転免許証のコピーを取らせていただきます。」と相手にお断りをしてからコピーするものだとのり子は思った。


A氏は免許証を片手で持ちのり子の方に投げるように置いた。

のり子は両手で受け取ろうとしたが
それよりも早く免許証は机の上に落ちた。


心が折れそうになった。
のり子はそんな些細な事にも敏感だ。

我慢しよう。
気にしない。
仕方ない。
仕事なのだから。



「ここに線を引いてください。」
A氏はのり子に書類を向けてそういった。


線を一本?
のり子は
「線は一本でしょうか、二本でしょうか。」とお聞きした。

「二本」

ああ、そうか。訂正のための線か。

何も説明がなく突然線を引けとおっしゃったがそういうことか。


数か所、二本線を引いた。

ということは、もしかして、今回で終了なのかもしれない。


のり子は希望が湧いてきた。
もう、この案件は終了かもしれない。

この数か月間、取り掛かっていた仕事に終止符を打つことができる。



時間は14:05になっていた。
やはり、書類の面談は1時間くらいかかるのである。

一件につきそのくらいの時間がかかることを
毎回手作業でされているA氏も大変なことだろうとのり子は思った。



実はのり子は心配なことが一つあった。
それは車両の写真だ。
これまでのA氏の対応をみてきて
写真の出来具合がよくないと言われそうだとのり子は感じていたのだ。

撮り直してくださいと言われたらどうしよう。

車両はいつも現場に出払っていて
簡単に写真を撮ることができない。


どうか、この写真で許してくださいますようにと
のり子は心の中で祈った。



車両のカラー写真のページになった。
のり子はドキンとした。


しかし、のり子の心配とは裏腹に
A氏はページをさらさらとめくっていった。


「あれでいいのか。」
のり子は肩透かしを食らったように感じた。


長い時間が過ぎていった。


「はい、じゃぁこれで上に出してみますね。」
A氏は書類の束をトントンと揃えながら
そうおっしゃって申請書の一番上を手に持って一瞬消え、
コピーを持ちながら戻ってきた。

片手で差し出されたそのコピーをのり子は両手で受け取った。


そこには丸い収受の印が押されていた。
嬉しかった。

これまでの努力が報われた瞬間だった。


のり子はA氏にお礼を申し上げてその場を立った。
A氏は特に何も言葉を返してくださらなかった。


たぶん、A氏にとってはいつものことであり、何でもないことなのだろう。


しかし、のり子は本当に嬉しかった。

再度、出直すように言われて、期限に間に合わなかったらどうしよう。

この数日間、そのことが脳裏を横切り
日中、突然、動悸がするようになっていたからだ。


この更新手続きは、いろいろな面で
かなりメンタルがやられると感じている。



やっと解放された。


この更新手続きの件は
逐一、直属の上長には報告してあり
それがまっすぐ社長に伝わっている。


「ゆりさんの話をお聞きして
この仕事は忙しい事務係がするようなことではない。
次回からは行政書士に依頼しようと思っている」と
社長が先日おっしゃっていた。

私もそう思う。



大変な思いをして勝ち取った収受印。


「よくがんばりました」

のり子にはそう見える。


最後の仕事をやり終えた達成感にしばし浸ったのり子だった。




今回は
次回はしないであろう仕事を終えた
ということをお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。



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