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読書要約#6 1分で話せ

ヤフー伊藤さんの著書。物事を人に伝え、動かすにはどうしたら良いのかについて、左脳的な観点から右脳的な観点までエッセンスが存分に詰まっている。

前提

人に何かを伝えたいとき、思うように伝わらなかった経験を誰しもしているのではないだろうか。
例えば、プレゼン発表の時。例えば、会議での発言の時。相手がつまらなそうに聞いていたり、どういうこと?と聞き返されたり。
でも安心して欲しい。それはいわば普通の反応だったりする。なんと人間は、人の話の"80%"を聞いていないらしい。その前提に立つと、伝わらないのはもはや当たり前で伝えるための工夫をしなくてはならないことがわかる。まずそこを認識することが大事だ。

また、伝えることのゴールを定めることも重要だ。これは「相手に理解してもらう」とかそういうものではない。理解してもらって結論なにをして欲しいのかまで掘り下げて決める。例えば、予算を決定してもらうとか、これについて社長にプレゼンする許可をいただくとか。ただのプレゼンではなくそのためのプレゼンだという認識を持って話をすることが大事だ。

左脳に訴える

いくら良いアイディアでも支離滅裂な論理構成だと相手に伝わらない。著者はピラミッドストラクチャーというフレームを薦めている。それは結論に根拠を3つつけるというもの。実にシンプルだが意外と実生活ではできていないことが多い。
例えば、「〇〇な点が良いと思っていて、△△な点も良いと思っています」。これを言ってしまうと「だから何?」という回答が返ってくるだろう。これは結論がないパターン。日本人は諸外国と比較して自分の意見を伝えない、忖度するという傾向が強いのでこのパターンが多いとか。
「考えるとは知識と情報を加工して結論を出すこと」という言葉を著者は残している。まさにその通りで結論なきことはなにも生み出さない。

また、「雨が降りそうだ。だから飴を舐めよう」みたいなパターンも。これは結論と根拠がつながっていないパターンだ。つまり結論と根拠を行ったり来たりして精査する必要がある。そこで「だから何?」「本当に?」「ファイナルアンサー?」の3つを自分に問いかけると結論と根拠の整合性、深みがでるとか。

右脳に訴える

ロジカルに相手に伝えたからといって全員がその結果動くわけではない。本当に切羽詰まってお願いをされたら断りづらいのが人間の性である。切羽詰まって伝えろというわけではなく、右脳にも訴えることが大事だということだ。

著者は「写真などのビジュアルを見せる」こと、「"例えば〜"のように想像を掻き立てる文言をつかう」こと、「"想像してみてください"と直接的に訴えること」をあげている。つまり、相手に自分と同じ絵をイメージさせることでより鮮明に深く伝わるので、結果、相手が意思決定しやすいということだ。

おわりに

ここまで書いたのはいわば、人に物事を伝えるための「テクニック」だ。それももちろん大事だが、そもそもその"伝える"ということに対してどれだけコミットできるか、技術だけでなく「想い」をこめられるか、相手が動くためにできることを全てやりきれるか、そこへの時間を惜しまずに行動できるか、ということに結局のところ尽きる。という感じで〆ている。

所感

これは物事の伝え方の本なんだろうなあと思って読んでいたが、結局これは仕事への取り組み方の本だなあと思った。「相手のことをどれだけ想像して接することができるか」この本が伝えたかったのはこのことかなと。伝えるってことは相手がいないとできないことで、伝えるってことは相手の時間をいただいてすることであって、その根底には相手へのリスペクトや配慮が必要だってことだ。相手のことをどれだけ想像できるかって、相手の目線から自分がどう見えてるかをどれだけ想像できるかとも言い換えられる。そういった意味で「メタ認知」には興味があるなあと。

転用

「メタ認知」について調べてみた。そもそもメタ認知とは「認知していることを認知すること」と定義づけられている。わかりそうでわからないが微妙な感じだが、「無知の知」をイメージするといいのではなかろうか。”私は知らないということを知っている”。自分を見ているもう一人の自分がいるイメージ、本田圭佑のいうところの「リトル本田」といったところか。この能力が高いと、自分の弱点をそもそも認識することができる、そして認識しているからこそ逃げずに向き合うことができて成長しやすくなる、といったメリットがある。

そしてメタ認知は「メタ認知的知識」と「メタ認知的技能」に分けられるとか。「メタ認知的知識」とは自分の長所短所など自分に関することを認識していることを知識として理解できているか否からしい。自己分析とも言い換えられるかもしれない。「メタ認知的技能」とは自分のことを認識した上で、現在の自分はどうなのか確認したり(メタ認知的モニタリング)、それについて対策を講じたりする能力(メタ認知的コントロール)のことを言うらしい。

特に「メタ認知的技能」がメタ認知スキルとして重要らしいのだが、これはどのように鍛えられるのか。それは自分の感情が湧き上がった理由やその結果自分はどのような行動をとったのかなどを書くのがいいらしい(特に怒ったとき)。すなわち「日記」だ。毎週のスプレッドシートの振り返りも入社してから書く日報も実はメタ認知を高める効果があるのだ。これを認識してやるのかやらないのかでは差がつくような気がする。

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