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涙の数だけそこにあった

多分泣くんだろうな、は
多分泣いたんだろうな、に変わっていた。
必要以上に抜け落ちた記憶を、人の手を借りて埋め合わせた。酔ってしまいたかった私と、あの場所でさえ“忘れる”を防げない、記憶の遺せない自分が手を取り合ってしまった感じ。

『あと5日しか会えないなんて嫌です』と本気で泣き崩れたようで、恥ずかしいような本音だからというような。

人を好きになる感覚を忘れているはずが、“敬愛”についてはしっかりと抱いて離さない感情のようだ。

思い出すだけであと3回泣ける、との私の冗談のような本音に、くしゃくしゃな笑みで笑う彼らがそこに居た。
そう、その顔好きだったんです。

零した涙の分だけ、大切だったんです。
いつまでも大切にしていたい。
そんな時間だったんです。
ありがとうございます。お疲れ様でした。
(2022/04/26)

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