愛されることに臆病すぎて、
雨が降っていた。
音もなく静かに、零れ落ちていた。
雲の隙間からやっと顔を出した朝日が
ネオンのように眩しかった。
ホットコーヒーを飲んでいた。
注がれたお湯が渦を巻き
カップの中で描く模様を眺めていた。
カップの中に雨が降り注いだ。
今朝の珈琲は
いつもより少ししょっぱかった。
人はその“雨”を
“涙”と呼んだ。
心の海に降り注いだ雨が、
まぶたの防波堤を越えて溢れる。
雨の中なら、
この涙も
誰にも気付かれないだろう。
肩を叩く雫が囁く。
『あなた、そんな強いひとじゃないでしょ』
と
〖巡る水の詩〗
(2022/03/18)
Special thx: @UNotFound_404 (Twitter) https://twitter.com/UNotFound_404
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