ひみつ~2019年「ペガサス」錬成20句より
ひみつ 瀬戸 優理子
1 うすばかげろうずきずきと笑う昼
2 小鳥来るぴくんと桃色の臓器
3 濃密な肉を剝き出す黒葡萄
4 鳳仙花夫には見せぬおんなの顔
5 無花果を囁き合って食べる庭
6 持て余す微熱糸瓜の水を取る
7 セミダブルベッド窮屈秋灯し
8 にせものの真珠を揺らし秋蛍
9 悪事知り尽くした指や檸檬絞る
10 曼珠沙華ほつれて恋は血を流す
11 冬蝶のごとし男の手の記憶
12 捨ててもいい合鍵冬薔薇二三本
13 冬日向埃のギターかき鳴らす
14 俎板に冬菜の残す青い傷
15 かつて母体いま風に乗る冬雲雀
16 六花会える会えない会いに行く
17 銀色の残響夜を翔ぶ鯨
18 ひともがきしてぐったりとなる兎
19 室の花誰かのものになる安心
20 買うたびに包んでもらう聖夜かな
※俳句同人誌「ペガサス」では、1年に1回、各自でテーマを決めた自由連作20句を作成、合評するという企画があります。誌上では、3回に分けて抄録として反映。ひとり8句と、作者が希望する1句についての短評を掲載しています。
2019年は晩秋が締切でした。大人の味の恋の句を……と詠んだ20句です。
2018年版はこちらで読めます。
俳句同人誌「ペガサス」のブログはこちらです。
この記事が参加している募集
いただいたサポートは、俳句創作への活力や「書くための講座」のバージョンアップに向けて自己投資し、さらに良いものを生み出して、皆さんに還元いたします♡