どこからともなく心に触れる
懐かしい匂いがしてきて
ああそうか誰よりも春を待ちわびているのは冬なんだと気付く
太陽の下
月の下
眠りについていた新芽たちは
春のしっぽを追いかける冬の足音で少しずつ目を覚まし始めて
凍てる月から少しずつ溶け落ちていく水で春が咲き始める
だけど本当の春の始まりを知っているのは冬だけ
眠りにつき幸せな夢を見ている新芽たちは
眠りから覚めるともっと幸せな事が待っている事をまだ知らない
冬が残した足跡はあと何歩で春の足跡と並ぶのか
春を待ちきれずに走り始める冬
そんな冬を感じる時があるのは
本当はもう春が始まっているからなのかもしれない
#詩 #春