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リズと青い鳥 感想

吹奏楽をテーマとした『響け!ユーフォニアム』シリーズの劇場版。

いつもは黄前久美子視点で物語が語られるのに対し、今回は3人称視点からの物語展開。更に、久美子とそれを取り巻く状況ではなく、みぞれと希美の2人に焦点が当てられているところが特徴的だ。

「吹奏楽」の話ではあるが、本作品は「2人の少女」のお話と言っても差し支えないと感じた。フルートの希美は、活発な少女で後輩や仲間との談話に花を咲かせるのが好き。片やオーボエのみぞれは、寡黙で一人でコツコツと練習に取り組むタイプ。同じ中学から同じ高校に入り、吹奏楽を続けてきた二人の間の感情、対比が丁寧に描写されていて素敵だった。

コンクールでの自由曲「リズと青い鳥」に自分たちを重ね合わせている場面はうるっときた。みぞれにとって希美はかけがえのない大切な親友。希美にとってみぞれは数ある友達の中の一人。希美に執着するみぞれという構図がとれるからこそ、リズ=みぞれ、青い鳥=希美のようにも感じられる。
その一方で、みぞれのことを内心羨ましく思って音大受験を言い出したシーンからリズ=希美、青い鳥=みぞれとも捉えられる。

物語の最後でリズは、その羽で羽ばたいてもっと広い世界に行ってほしいという気持ちから青い鳥を逃がす。色々な思い出を二人で作ってきて、お互いがお互いのことを好きなのになぜそのようなことをするのか、初めは理解ができなかった。でも、それも愛の形だと気づいたときにうるっとなった。

相手を大切に思う気持ちが強すぎるあまり、ずっと自分の傍にいてほしいと思ってしまう愛の形。でも、その気持ちが相手を縛っていることに気付いて、それを解いて相手を自由にさせてあげる。それも愛の形なんだね。

最近、小学校からの幼馴染に距離を置かれてしまったのだが、もしかしたらこれに近いものなのかもしれない。

あと、楽器庫で夏紀が、一緒にいた希美と優子に言っていた「距離が近いからってなんでも言うわけじゃないから……」という言葉が刺さった。人間関係の難しさを表しているなと感じた。距離が近くても、なんでも言うわけではないからこそ些細な事でもダメージが深くなるしなと……

「リズと青い鳥」というお話は、他の作品にも重ねて考えることができるような気がした。呪術廻戦0の乙骨くんと里香ちゃんとか、ラブライブ虹ヶ咲学園の歩夢ちゃんと侑ちゃんの関係性とかが近いのかも。

絵のタッチがTVアニメよりも優しい感じになっていたり、あえて音声なしの映像だけ流すシーンを作っていたり、影や表情で物語展開を描写しているところも魅力的でした。

本当に素敵な作品だった。

遠方

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