自制心を身に付けさせると学力が300%向上する
親は、子どもたちの将来を考え、よりよくなってほしいと願う。
特に、子どもの学力に関しては極めて重要な関心事だろう。そのため、色々と知育をしたり、いわゆる「お受験」の勉強を早期から取り入れたりすることがある。
しかしながら、このようなIQを高めようとばかりする努力よりも、もっと効率的に子どもの学力を伸ばす方法がある。それは、
自制心を鍛える
ということだ。
自制心とは、認知的制御、いわゆる実行機能のことである。次のような研究があるので引用する。
自制心と頭脳の両方がそろっていれば、それに越したことはないどころか、比べものにならないほどよくなる。ペンシルベニア州立大学のクランシー・ブレア博士が行った研究では、IQ値と実行機能がともに平均以上の子どもたちは、IQ値が高いだけの子どもたちより算数の成績が300%もよい傾向にあるという結果が出ている。(ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン(2011:208))
では、どのようにして自制心を身に付けさせたら良いのか、以下は、ポー(2013)の文献を参考にしつつ、その手法を考えていったものである。
①一日の計画を立てさせる。あるいは、活動の時間の目標なり計画を立てさせる。時間の使い方を考えさせる。
②役割を与える。自分の役割をどのように果たすかを文章化させたり、絵を描かせたりして、明確に意識させる。
例えば、2人1組のペアで読書をする際、「口」と「耳」のカードを渡す。「口」のカードの子は、本を読む。「耳」のカードの子は聞く、という役割を果たさせる。
「ごっこ遊び」の際にも、役割を明確化させ、たっぷりと遊ばせる。
③だるまさんがころんだ サイモン・セッズ などルールがはっきりした遊び
④グラフィック・プラクティス…音楽が鳴っている間、「お片付けの時間」「~~の時間」などにルール化する。
⑤課題を子ども自身に選択させる。
⑥ルールや自分の目標ができていたかを振り返る。
⑦お手伝い表を作らせ、お手伝いをしたら子どもにハンコを押させる。全部表が埋まったら、子どもと親で事前に話し合った報酬なり成果を与える。
教師や大人、親がいくら「~しなさい」と言っても、子どもの自制心は伸びない。
①~⑦に共通することは、ルールや役割が子どもに納得する形で、自然に入り、それを正確に実行させるというものである。
これらの教育の在り方は、”心の道具”カリキュラムと呼ばれ、アメリカで大きな影響を与えているそうだ。
家庭や学校にも応用したいものだ。
参考引用文献
ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン(2011)『間違いだらけの子育て―子育ての常識を変える10の最新ルール』インターシフト
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