自販機で起きたトラブルの恥ずかしい顛末
「は〜!!今日もポテチポテチ!!」
すっかり定番となったリハビリ後の売店での散財。
もはや店員さんに顔も覚えられ、「これ美味しいんですよ〜☺️」と商品の紹介までされるようになってしまった。
もちろんその商品は即購入である。
いや〜勧められちゃうと断れなくてね!!(意志薄弱)
……次の体重測定が恐怖でしかない。
そんなお世話になりまくりな病院の売店だが、まさかの土日が休みというスーパーホワイトな営業形態となっており、正月なんかは世間で話題になっていた9連休を見事に実行していたりする。
利用者としては非常に大ダメージではあったが、そんなときに役に立つのが自販機の中にあるお菓子だ。
売店より選択肢は少ないものの、これによって売店が休みの日でもお菓子の補給が可能になるのである。
ありがとう自動販売機……!!
そんなこんなで、ある日の自分はいつものように自販機でポテチを買おうとしたのだった。
ポテチのボタンを先に押して、そのあとICカード読み取り部分にスマホを押し当てる。
思えば初めてSuicaを自販機で使ったときは本当に感動したものだ。
これに慣れたら、もう小銭なんて使ってられませんな!!
そしてピピッ!という購入完了のSEのあとに、ガシャコン!と商品が落ちた音がした。
思えばこのポテチにも随分お世話になっている。本音を言えば味のバリエーションがほしいところだが……それは贅沢というものか。
今ある環境に感謝をすることも大事なことである。
まあそんなことよりポテチポテチ!
(さぐりさぐり……)
……?
商品が、ない……?
明らかに商品が落ちた音はしたはずなのだが、なんと商品取り出し口にはお菓子が存在しなかった。
もしかしたらどこかに引っかかってるんじゃないかと可動部をカコカコ動かしてみるが、それでも商品が落ちてくる気配はない。
えっ……?
持っていかれた……?(160円)
人生で初めての自販機トラブルに衝撃を受ける。
いやまあ正確に言うと、この自販機の横にある面白い形式の自販機でも、つい最近トラブルが起きていたのだ。
商品を運ぶ機構が途中で止まるというトラブルが。
その自販機はトラブル発生後、完全停止して使えなくなってしまったのだが、なんとそういう場合にはちゃんと入れたお金は戻ってきた。
なかなかの安心設計だ。
そう考えると、今回ポテチが出てこなかった自販機も、もしかしたら現金払いならお金が戻ってきていた可能性があるのかもしれない。(形式が全然違うから微妙だけど)
だが自分が今回選んだのはモバイルSuicaでの決済である。
お金なんて戻しようがないのだ。
そして見事160円を無駄にした自分は、なんともう一度ポテチのボタンを押し、スマホを押し当てたのだった。
まさに盗人に追い銭というべき所業。
だが自分の頭の中には、『もう1個買ったら2つ一気に出てくるかも』という考えが浮かんでいたのである。
これは賭けだ……!
そしてピピッ!という購入完了のSEのあとに、ガシャコン!と商品が落ちた音がした。
商品の出口を見る。
そこにあったのは……
ポテチが1個だけ。
(´・ω:;.:…
そんなわけで、320円のチップスターSを手に入れた。
ドラッグストアなら100円で買える商品が、随分と高級品になったもんである。
……でもなんだろう、この体験、どこかで……?
ああそうか、『210円の牛乳屋さんの珈琲』だ。
長い人生、こういうこともある。
皆さんも自販機のトラブルにはお気をつけください。
お金を払ったからといって商品を必ず受け取れるわけではないという学びを得つつ、自分はポテチをかじるのだった……。
・・・
いや、泣き寝入りする必要なくない?
あやうく記事を終えようとしてしまったが、自販機にトラブルが起きた際は、自販機に記載されている電話番号に連絡すれば対応してくれるのだ。
そして流れがどんな感じになるのかを検索してみたところ、「郵便為替で返金された」という体験談を発見。
(郵便為替って何…?)
ちょっと自分の人生では馴染みのない単語なわけだが、まともな社会人だとそういうものに触れているものなのだろうか?
だがなんにせよ、そんな対応になるとすれば最高に厄介だ。
なにせ自分はリハビリ病院に入院中なのである。
何かを送ってこられるという対応は非常に困るのだ。
うーむ、なんかめんどくさそうな気配がしてきたし、もう160円くらい諦めるか……?
体験談が既にネット上にあるなら、自分が車輪の再発明じみた記事を書く意味もない気がするし。
そんなことを一瞬思ったが、実際にどんな対応になるのかは状況によっても変わるだろう。
それにもし郵便為替の話題になったら、「あ、やっぱいいです!!」と拒否すればいいのだ。(160円はダイドーに寄付するとしよう)
そんなわけで、とりあえず電話してみたのだった。
電話で行われた内容はというと、体験談にあったような「識別ナンバー」を答えたり、名前や住所を答えたりというものだ。
自分の場合は住所もなにも入院中なので、その旨を伝えた。
(なお識別ナンバーを告げた時点で、この自販機が病院内にあるものだということは把握できていたらしい)
そして注目の返金については、まさかの現金とのこと。
自分は郵便為替のことしか頭になかったので、「え、あ、それでいいです」と流されるままに答えてしまった。
その後も話はどんどん進んでいき、「面会は出来ないということなので、看護師さんに部屋まで持っていってもらえるようにしますね☺️」みたいな感じで話はまとまった。
思った以上にスムーズに解決してしまったことに拍子抜けだ。
でもまあ、160円が戻ってきて嬉しいな!
電話を切ったあと、じわじわと「いやこれ、マズいことしたか…?」という考えが浮かんできた。
そもそも自分は160円のために何をこんなに熱くなっているんだろうか?
自販機の担当者をたかが160円のためにわざわざ呼び出して、看護師まで使って小銭を病室に持って越させるなんて、どういう立場の人間なの……?
だが何を考えようが、もう後の祭りである。
……翌日、部屋に看護師がやってきた。
看護師「あの〜…aosagiさん、なんか電話とかしました…?」
看護師からは明らかに困惑した感じが伝わってくる。
自分は「アッハイ…」という返事をして、自販機の顛末を話した。
看護師は「あぁ〜…」とこぼしながら部屋を出ていき、再度戻ってきたときには、業者から受け取ったらしき160円の入ったポチ袋を持っていた。
そしてなにやら部屋に来た看護師の人数が増えている。
そう、こんなわけのわからん行動に出た入院患者なんて今まで一度も見たことがなかったのだろう。
「一体どんな人間がこんな所業を……?」ということで、確認しに来たんじゃないだろうか。
160円のために大人を何人も動かす、はた迷惑な入院患者を。
は、恥ずかしい……!!!
……おそらく自分は『入院患者なのに自販機にクレームをつけて小銭を回収した変人』として、看護師の間でひとときの雑談ネタになったことだろう。
たった160円を取り戻すために、自分はなにか大切なものを失ってしまった気がしてならない。
自分の行動は間違っていたのですか……?
そんなわけで、皆さんも病院の自販機でトラブルが起きた際は、自分の立場を考えて行動してほしい。
ノリで動くと平穏な生活が乱される可能性があるのだ。
まあ今思えば、「noteのネタになるな^^」くらいのことは考えていたかもしれない。
だがどんどん過激になっていく迷惑系Youtuberじゃあるまいし、本当に動くべきなのかどうかをしっかり判断していかねば……!
……これもまた、「学び」である。
(でもやっぱり160円は大事だと思う)